昨日はWOWOWで韓国映画「オアシス」を見た。「ペパーミント・キャンディ」と同じくイ・チャンドン監督、ソル・ギョング主演であり、前々から見たいと思っていた作品を、ついに見ることができた。
これは端的に言ってしまえば、社会に適応できないチンピラ男ジョンドゥと脳性麻痺にかかった女性コンジュとの恋愛物語である。いや、恋愛などと言ってしまうと安っぽくなってしまう。もっと美しいものだ。これは私が最近見た映画の中で、最も美しい映画であった。
社会からのけ者にされている二人の愛は、決して周囲から理解されることはない。二人が出会っている間は、完全に彼らだけの世界だ。そして脳性麻痺のコンジュは時折、ジョンドゥの前で健常者の姿で現れるようになる。映画ならではのファンタジックな表現なのだが、突如健常者として現れるコンジュの姿は、知的でかわいらしい、実に良い女なのである。一見どうしようもないチンピラに見えたジョンドゥは、外見にとらわれることなくコンジュの本質を見抜いていたのだ。
ジョンドゥがコンジュの美しさを見抜き、コンジュがジョンドゥのやさしさを知ったとき、二人は幻想の中でインド舞踊を踊り、そしてキスをする。私がキスシーンなどを見て涙が出そうになったのは、これが初めてであった。
周囲に理解されない二人の愛は、やがて悲劇を生むことになる。二人の性行為は強姦としか理解されず、ジョンドゥは再び刑務所に入ることになるのだ。しかし二人の愛は決して終わることがなく、日差しの明るい部屋でジョンドゥを待ち続けるコンジュの姿を見ることで、この映画は終わる。
それにしても、主演女優であるムン・ソリの演技力はすごすぎる。私には完全に脳性麻痺の女性にしか見えなかった。彼女はこの映画によって、ベネチア国際映画祭で新人女優賞を受賞した。まさに本物の演技派女優である。