韓国でかなりの物議を醸した「親日派のための弁明」の続編、「
親日派のための弁明2」を読んだ。筆者の
金完燮氏は韓国人でありながら、歴史認識は保守派の日本人とほぼ同じであり、韓国社会の歪んだ歴史認識、反日思想には非常に批判的である。韓国社会のタブーに思いっきり触れているため、氏の著書は韓国ではビニ本扱いであり、一般の青少年は読めないようになっているのだという。韓国社会がいかに非理性的で異常であるか、
金完燮氏の来歴をざっと読むだけでよく分かる。この本の売り上げもおそらく日本版がほとんどであり、韓国ではほぼ無視されていると思われる。しかし読んでみると分かるが、韓国の歴史教科書やらマスコミが垂れ流す反日史観に比べれば、はるかに史料に基づいて具体的、かつ論理的に記述されている。どちらが正しいのか、理性的に判断すれば分かりそうなものだが。
中でも私が納得させられたのは、第二次世界大戦後の日本の領土処分についての記述である。日本は第二次大戦に敗北した後、戦時に取得した領土だけでなく戦争が始まる前に領有していた領土まで手放すことになったのは、同じ敗戦国のドイツやイタリアと比べてもおかしいのではないか、というものだ。
確かに言われてみればそうである。朝鮮、台湾、満州、南樺太、千島列島などは、第二次大戦とは関係なく日本が取得した領土だ。つまり日本は、明治維新以降に日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦などで取得した領土まで一斉に放棄させられたのである。ドイツやイタリアでも第二次大戦が始まる前の領土に戻っただけというのに、日本に対するこの扱いは明らかにおかしい。よくよく考えると、連合国との戦争を始める前には明確に日本の一部であった朝鮮や台湾を手放す必要があったのか。「日本は明治維新以降、一貫した軍国主義によってアジア諸国を侵略した」というGHQが作った歴史観に日本人が毒されたため、特に疑問に思う日本人が少ないのかもしれない。しかし、あの時代は軍国主義が今で言う「グローバル・スタンダード」であり、日本だけが戦争や侵略を繰り返していたわけではない。
こう書くと、いかにも私が「現在に至っても日本が朝鮮や台湾を支配すべきだ」と考えているかのように思われてしまいそうだが、そうではない。理屈からいっておかしいのでは、と思っただけだ。海外領土など持たない方が、国土の安全保障上よっぽど楽で、その分経済発展に専念できる。台湾や朝鮮など持っていたら、大量の核兵器を持つ中国やロシアと直接対峙せざるをえず、日本も徴兵制が敷かれる可能性が高くなってしまう。