Willow's Island

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マンガ金正日入門

2005年10月15日 10時16分08秒 | 

 図書館で借りたマンガ金正日入門を読んでみた。金正日はどういう人物か、また北朝鮮はどういう国なのか、マンガ形式で分かりやすく表現されている。北朝鮮の惨状は知っていたから驚くことはなかったが、この本で描かれた金正日の半生は興味深かった。
 最近になって姿を公にする前は、能なしのボンボンだと思っていた金正日が、実は熾烈な生存競争を勝ち抜いた狡猾な苦労人だったのである。日本では金日成の息子だから世襲制ですんなり後継が決まっていたかのように思われているが、実はそうではない。異母兄弟や、父の昔からの仲間などを蹴落とし、権力の座に就くまでには権謀術数のかぎりを尽くしたのである。権力争いの過程で金正日は冷酷ぶりを存分に発揮し、政敵を粛清しまくるのだが、北朝鮮では先に殺さなければ殺されてしまう、ということらしい。北朝鮮で唯一地位が安定していたのは金日成だが、彼も建国当時はライバルを殺しまくった上で絶対的地位に上り詰めたのだ。
 それほど苛烈な闘争を勝ち抜いた金正日が国際政治の舞台にデビューしたのだから、アメリカも韓国も日本も翻弄されてしまうのだろう。どこの国も政治の世界は権力闘争が厳しいが、少なくとも日本では争いに敗れたからといって死ぬことはない。小泉首相も今の権力を手にするために狡猾なことを色々やったんだろうけど、金正日のケースと比べればいかにも迫力不足だ。交渉のみによって北朝鮮問題が根本的に片づくとは思えない。
 この本を読むと実感するが、韓国も太陽政策なんてやってる場合じゃないと思う。日本ではベストセラーにもなったこの本が、韓国ではなんと発禁処分をくらったそうだ。韓国の漫画家が韓国で出した漫画なのに、日本でしか読めないのだ。こんなことをしてまで北朝鮮に気を使わなければならないのだろうか? 
 この本の巻末にある訳者の言葉が気に入ったので、下に引用する。

ほんとうの「太陽政策」とは金正日を延命させることではない。暗闇を好む悪魔に陽光を浴びせて焼き殺すのが正しい太陽政策である。