今日は久しぶりに図書館へ行き、「そして中国の崩壊が始まる」という本を借りた。今の中国がかかえる問題や、中国が持つ性質などについて漫画形式で分かりやすく書かれており、一気に読むことができた。
しかし、ただそれだけである。読み物としては面白いが、「中国が崩壊するとして、じゃあ日本はどうするのか?」という疑問には一切答えられていない。中国の国内問題が非常に深刻であることはよく分かったが、それで暴動やクーデターによって中国が潰れたとしたら日本はどう対処するのか? 隣にあるあれだけ大きな国が崩壊すれば、日本も甚大な影響を受けるはずである。しかしこの本は「崩壊が始まっている」で終わってしまっている。責任感のある書物とは思えない。
私も中国に対しては好意的な考えを全く持っていないが、「日中友好を唱える日本人は中国のスパイだ」とでも言うような、この本の論調にはさすがに辟易した。著者によれば、中国とは付き合ってはならず、経済的な交流もしてはいけないそうだ。それならこれから日本は、中国を「そこに無い物」として扱っていけばいいとでもいうのだろうか。まったく話にならない。中国が厄介な存在であれば、日本にとってそうならないように手段を講じるべきであるが、この本にはその提言も無い。やはり無責任なマンガ本である。
しかしアマゾンのレビューによれば、ずいぶんと評価が高い。やはり日本人の嫌中意識が強い今では、こんな本でもそれなりに売れるのだろうか。