・シンガポール人は商売熱心だ。店に入れば、店員が積極的に声をかけてくる。ヨーロッパ人や少し前までの中国人、韓国人にはない特徴である。
・値引き交渉などで買値が決定するわけではなく、日本と同じように商品の価格がかっちり決まっているようである。その方が楽だ。
・チャイナタウンの出店で、私が「商品を間違えて買ってしまったので、返品する。申し訳ないが、代金も返してもらえないか。」と頼んだところ、「それはできない。受け取った代金はレジに入れてしまったので、今からそれを取り出すことはできない。監視カメラが設置してあり、レジを開けているところをボスに見られると、私がまずいことになる。金は返せないが、同じ金額の別の商品を代わりに持っていってもらうことはできる。それで勘弁してくれ。」と店員に言われた。いい加減そうに見える出店であっても、管理はしっかりしているようである。基本的に人を信用しない社会なのだろうか。
・日本の繁華街にありがちな、怪しげな店とか客引きとかは皆無である。あくまでも健全そのものだ。規制が相当に厳しいと見られる。
・本屋は少ないが、DVDショップは多い。売られているのは主に、台湾・香港・中国などで放映された中国語ドラマのDVDだ。次いで、韓国ドラマのDVDもかなり多い。非中国語系のDVDの中では、圧倒的な存在を占める。アメリカ映画のDVDがそれに次ぐ。日本のドラマやアニメのDVDもあるにはあるが、明らかに少数派である。
・有名な「マリーナ・ベイ・サンズ」の1階及び地下には大きなショッピングモールがあり、どの店も非常にきらびやかであったが、歩いている客はやけに少なかった。日本では土曜日のショッピングモールといえば、常に賑わっているような印象があるのだが。
・CDショップにおいては、中国語系(台湾、香港等)の音楽及び洋楽が主流であるが、J-POPコーナーも設けられており、そこそこ人気があるようであった。日本で人気があるのはAKB等のアイドル系音楽だが、シンガポールではJ-POPでも実力派系のアーティストの方が人気がある様子。
・K-POPコーナーもあるが、J-POPよりも目立たない隅の方にあった。一時期のブームほど人気はなくなっているようである。
・庶民的なホーカーズは、はっきり言って不衛生である。シンガポール政府の検査により衛生基準を満たしている店には「A」や「B」などのステッカーが掲げられているが、そういう店は数えるほどしかない。合格基準に満たない店が大半であるにもかかわらず、現地市民は一切気にせず食事をしていた。
・私が選んだのはステッカーのない店で、案内されたテーブルは食べ物がこぼれた跡が付着したままであった。地面はさらに汚く、生ゴミのような臭いが充満していた。このような状態で店は放置しており、周りの人間も平気で食事していた。いくら政府が一生懸命になっても、当の市民には衛生観念を改善する気などさらさら無いようである。
・シンガポールの名物は「チキン・ライス」や「フィッシュ・ヘッド・カレー」などがあり、私も食べてみたが、はっきり言って人にお薦めできるようなメニューではない。値段も安いわけではなく、日本で食べるのとほぼ同程度である。
・こうしてみると、改めて日本の食文化はすごいと感じる。市民の衛生観念、店側の衛生基準はともに高く、しかも料理の味は良い。それでいて、値段もリーズナブルな店が多い。いくらシンガポールに金持ちが多く移り住むようになったとはいえ、私に言わせれば、日本の方がよっぽど暮らしやすい社会だ。(まあ、金持ちはホーカーズになんか行かないんだろうけど)
・庶民的なエリアが汚いとはいっても、オーチャード・ロードやマリーナ湾周辺など外国人が多く訪れる地域は異常なほどきれいで、塵ひとつ落ちていない。この落差が、まさにシンガポールだ。
・街の所々にはゴミ箱が置いてある。ゴミはここに捨てろ、ということか。日本は町中にゴミ箱など置かなくなって久しいのだが。
・テレビ局は、主に英語放送と中国語放送に分かれているようである。英語放送はアメリカやイギリスのテレビ番組を、中国語放送は台湾や中国大陸の番組を流用していると見られた。シンガポール独自のコンテンツはまだ育っていないのだろうか。
・ドラマやアニメなど比較的柔らかい内容の番組は中国語放送の方が多い。「ドラえもん」の中国語版なども放送されていた。
・中国大陸で制作されたと見られる子ども向けアニメもあった。話の内容はあまりに教育的で気色悪いものであったが、作画のレベルは高い。中国アニメも馬鹿にできなくなったようだ。
・写真の紹介でも書いたように、中心から少し外れたゲイラン地区は「ほぼ中国」であった。看板の大半は中国語であり、住民の話す言葉も中国語で、現地人が道端で外食をしている様子は、まさに中国式のライフスタイルそのものであった。
・ゲイラン地区は中心街に比べ、明らかに風紀は乱れている。通りには真昼間から「立ちんぼ」の女性が何人も並んでいた。油断すると声をかけられそうになるので、必死に目をそらしていた。
・国際的に著名なチャンギ空港は、とてつもなく広い。国際線だけでターミナルが3つもあり、その一つ一つが大きい。おかげで帰りの飛行機に乗るだけで、少し苦労した。
・私が乗った飛行機は「ターミナル3」であり、「ターミナル1」からは空港内鉄道を利用して行かなければならなかった。ターミナル3に着いても、チェックインカウンターだけで非常に広く、ずいぶん歩いてからチェックインした。そしてさらに、私が乗るゲートはまた空港内鉄道に乗って行く必要があった。どんだけ広いんだ、チャンギ空港!