Willow's Island

since 2005

深い河

2008年08月31日 22時04分42秒 | 

 遠藤周作の晩年の作品「深い河」を読んだ。学生時代は大学がカトリック系だったこともあり、キリスト教に強い関心を持ち、遠藤周作の本をよく読んでいた覚えがあるが、卒業してからはほとんど読まなくなった。長編小説を読むこと自体が、本当に久しぶりである。なかなか読みやすく、私にしては早く読み終わることができた。数ある遠藤小説の中でも、この「深い河」は代表作と言われることが多いようである。
 遠藤文学の主要テーマといえばキリスト教だが、特にこの小説において、彼のキリスト教(というか神そのもの)に対する考えが色濃く反映されている。自分にとって神とは、日本人にとってキリスト教は、ということを絶えず問い続けてきた彼の、70歳において出した結論がこの「深い河」だといえるのだろう。どのような内容であるかは、少し長いがこれを読んでいただきたい。
 主要登場人物である大津のセリフを通して、遠藤周作の神に対する考えが述べられており、日本人にとって分かりやすいキリスト教の解釈となっている。しかしそれはあまりにもオリジナルで汎神論的な考え方ともいえるせいか、どうやら遠藤周作はカトリック教会からひどく嫌われているらしい。(^^;) 熱心な信者ほど彼のことを嫌う傾向にあり、彼がノーベル文学賞を逃したのも選考委員に敬虔なクリスチャンがいたためだ、と言われている。日本人にとってキリスト教を身近なものにした彼の功績は大きいと思うのだが。しかしまあ確かに、カトリックというのは教会の権威が重要な宗教であるだけに、教会の考え方を否定してしまっては、それはカトリックとしては異端ということになるのだろう。
 この「深い河」を読んだ人のレビューを見ると、実に多くの人が「インドへ行きたい」などと言っている。しかし私は逆に、インドへは絶対に行きたくないと思った。残念ながら私は、ガンジス河とまともに向き合えるほど真面目に生きていないのである。(^^) それだけ私はシアワセな奴だということだ。しょせんは豊かな先進国でぬくぬくと育ったお坊ちゃんなのである。

ネット接続10周年

2008年08月16日 09時59分17秒 | 機器

 正確に何日だったのか忘れたが、ちょうど10年前の1998年8月中旬に、私は初めてインターネットに接続した。それ以前にも職場のパソコンでネットを経験していたが、自宅で接続するのはこの時が初めてであった。26歳の時である。
 この当時はブロードバンド時代ではなく、電話回線を使ったアナログ接続が一般的であった。私も、インターネットのために電話加入権と電話機を購入し、アナログで接続を試みた。電話機とパソコンの間には機器(名前を忘れた)を設置し、接続するたびにその機器が「ピィーッ、ガッ、ピィーーーーッ・・・」というような音を出していた。今思えば懐かしい音だ。しかも、ナローバンドであったため、テキストのみのメールを受信することでさえ、1分近くかかっていたように思う。数百KB程度の画像でも、完全に表示されるまで数分は待たなければならなかった(上部から順に少しずつ表示されていく)。その後、3万円以上もかけてISDNを導入したが、それでも3MB程度のMP3ファイルをダウンロードしようと思えば、1時間以上は待たなければならなかった。光回線で30MB以上ある動画ファイルでさえ数秒でダウンロードできてしまう今と比べると、隔世の感がある。この頃は接続時間イコール電話の通話時間だったので、電話料金を少しでも安くするために「テレホーダイ」なんてシステムを利用し、朝早く起きてネットをしていたことも思い出される。
 とにかく、10年前初めてインターネットに触れた瞬間は感動した。典型的なインドア派で読書好き、好奇心の旺盛な私にとって、インターネットは完璧なツールだ。こんなに面白いものはない。10年前の夏、メール交換なるものを初めて経験したが、最初にメールをくれたのは、日本のアニメが好きなアメリカの女子高生であった。地球の裏側にあるフロリダ州から英語のメールが届いた時は、「おおっ、本当に来た!」と感動したものである。彼女のホームページはもう無くなっているが、今どうしているだろうか。この後、メール交換の他にも、チャット、掲示板への書き込み、P2P、youtubeなど色々なことをネットで経験できた。ネットがなければ出会えなかった人達や経験できなかった出来事もかなり多い。ネットは確実に、私の人生に大きな影響を与えたのだ。
 もちろん、中でも最も大きな影響を与えているのは、私自身のブログWillow's Islandだ。自分の人生の重要な記録となっており、なおかつそれを多くの人々と分け合うことができるからだ。

ブログ通信簿

2008年08月11日 23時14分08秒 | その他

 今日初めて知ったのだが、gooのサービスでブログ通信簿なるものがあるようだ。さっそく私もやってみた結果が、上の通りである。しかし、ブログ性別が女性とは? 私の文章はそんなに女性的なのだろうか。前の記事で育児について長々と書いたせいかもしれない。年齢の36歳というのは、ぴったりそのまんまだ。本当にプロフィールとは関係なく出された数字なのだろうか。だとすれば、すごい。私のブログの特徴といえば、主張度が高いことであるようだ。これは、自分では良いことだと思っている。何の意見の表明もなければ、ブログを書いている意味などないではないか。それにしても、「政治家を目指しましょう」とは、大きく出た話だ。政治経済の知識さえあれば、政治家になれるもんなのか?(^^;)

北京オリンピック開幕

2008年08月09日 23時56分13秒 | その他

 史上最大規模、かつ最も良くない噂の付きまとう北京オリンピックが昨日の夜、派手に開幕した。私もテレビで開会式を見たが、かつてこれほど豪華なセレモニーは見たことがない。「いったいどれだけ金かけてんだ」と思わず口にしてしまいそうな開会式である。まさに中国の国力を結集したオリンピックだ。中国の歴史、文明、人海戦術、チャン・イーモウ監督の演出、経済力、などあらゆるものを出し惜しみせず、全力で中国の存在を世界へとアピールしまくった感がある。これからオリンピックの各種競技は華やかに営まれ、中国の選手はメダルをとりまくることだろう。
 さて、では中国は世界から尊敬される存在へと変わっていくだろうか。もちろん、そんなわけはない。(^^) オリンピックなど、しょせんは大規模なスポーツ大会に過ぎない。これをやったからといって、国そのものが変わることなどない。経済的な効果はあるが、それは大会が終わるまでのことだ。どうも私には、オリンピックが過大評価されているような気がしてならない。大体、こんなもの「平和の祭典」でも何でもない。オリンピックにあるのは平和の精神ではなく、各国のナショナリズムが渦巻いているだけだ。スポーツをやって平和を実現できるというなら、最もスポーツが盛んな国(アメリカ、ロシアなど)が最も平和的ということになるが、現実はまったく正反対である。(^^) 北京オリンピックを主催する中国からして、「世界平和のために」なんてことを露ほども思っておらず、自分の国の国威発揚しか頭にないことは余りにも明らかだ。