「北方領土・竹島・尖閣、これが解決策」というタイトルに惹かれ、一体どういう解決策があるのかと思って読んでみたのが誤りであった。あんまり腹が立ったので、勢いで amazon に低評価レビューを投稿してしまった。私はたまに amazon にレビューを投稿するのだが、そうするのは、大体がその本を書いた著者に腹を立てた場合だけなので、結果として私の書評は辛辣なものばかりとなる。(^^)
以下が、その本文である。
著者はナショナリズムが嫌いなのだろう。「領土に関わる問題はナショナリスティックな感情を排し、地元目線に立った解決を」と訴える。それは立派な考え方なのかもしれないが、しかしいくら日本側がそう思ったところで、中国、韓国、ロシアがこうした問題についてナショナリズムを排してくれることなど、絶対にないのである。それこそ著者の言うところの「希望的外交」だ。
だいたい、尖閣や竹島が紛糾しているのは、漁業の問題ではない。尖閣は中国の長期的世界戦略、竹島は韓国の歴史に根ざした対日コンプレックスが問題の元となっている以上、いくら地元漁民の利益に配慮したところで、まったく意味がないのである。
それから、著者の提示する「解決策」とやらには、アメリカというアクターが全く登場しない。「アメリカは関係ない」とでも言いたいのであろうが、いくら「関係がない」と言ったところで、実際に米国が密接に関与してくるのが東アジアの現実である。それを完全に無視する考え方こそ「希望的外交」に過ぎない。