Willow's Island

since 2005

万引き家族

2018年06月26日 04時56分59秒 | 映画

 日曜日に、カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲ったという噂の「万引き家族」を長女と見に行った。その内容はといえば、こんな感じである。この映画はPG12ということもあり、9歳にはまだ早いようだったが、娘もよく分からないながら「楽しかった」などと言っていた。
 私がこの作品を見て感じたのは、ある意味これは「アウトロー映画」だな、ということだ。アウトローとはいっても暴力団とかではなく、法律など社会の体制をほぼ無視して暮らしている人々の物語、という意味である。現代の日本は法律や制度でびっしり埋め尽くされており、誰もがその存在を意識しながら生活しているはずなのだが、そういったものをほぼ意識せず行動すると、この映画のようになる。なるほど最底辺というのはこういうことなのかもなあ、と思った。娘にも異世界を見せることができ、刺激になったのかもしれない。「衝撃の感動」などというものは全く感じなかったが。
 ただ、家族っていうのは何だろうか、ということも考えさせられた。家族を形成するには、血の繋がりとかはさほど重要じゃないのかもしれない。そんな気にさせられた。

アウトレイジ 最終章

2017年10月28日 05時48分26秒 | 映画

 先週、待ちに待ったシリーズの3作目「アウトレイジ最終章」を見た。シアターに観客は私以外1名しかいなかったが。
 確かに面白く、2時間ほど飽きずに見られたのだが、やはり前2作に比べていまいち評価が高くないようだ。私も期待したほどではない、と感じた。アウトレイジといえば徹底した迫力と残虐な暴力が売りだと思うのだが、それが明らかにパワーダウンしている。
 バイオレンスも銃に頼るシーンが多すぎたと思う。これでは外国の映画と変わらないし、銃を使ったシーンならアメリカ映画の方が上だろう。登場人物には、銃で簡単に済まさずにもっとえげつない暴力をふるってほしかった。
 主人公の大友(たけし)は相変わらず大勢殺すのだが、なぜ殺すのか、という動機がよく分からなかった。それで感情移入ができないために、いまいちカタルシスにも欠けたと思う。前作までは、多少は恨みや義理というものがあって、説得力があったのだが。
 最も欠けていたのは、迫力だ。多くの人が指摘しているが、特に塩見三省さんだ。「ビヨンド」では語り草になったほどの関西弁の怒号が、すっかり鳴りをひそめている。どうも塩見さんは病気を患ったらしく、復帰されたばかりということだ。役どころも、怖いヤクザというより、組織の中で悩む中間管理職みたいになってしまった。
 これというのも、花菱会の会長が変わってしまったせいだと思う。元会長の娘婿だという理由だけで、証券会社を定年退職した只のサラリーマンがヤクザの会長なった、という設定のようだ。これはこれで大杉連の演技も面白かったのだが、そのせいで話が妙な方向に行くことになってしまった。やはり、神山繁さんの演じる布施会長がよかった。あれほど重みを感じるヤクザ役もない。
 つまり前作に比べてパワーダウンしたのは、神山繁さんが亡くなったこと、塩見三省さんが病気になったこと、に原因がある。「最終章」を作るなら、もっと早くやっておけばよかった、ということだ。

ハクソー・リッジ

2017年07月17日 06時41分09秒 | 映画

 今話題のメル・ギブソン監督「ハクソー・リッジ」を見た。あの町山智浩が「プライベート・ライアンを超えている」と表現したほどの衝撃的なシーンが満載の戦争映画だ。
 確かに、衝撃的かつ残虐極まりない映像のオンパレードだ。戦争で人が死ぬというのは、実際にこういうことなのだろう。決してきれいごとではない、というのがよく分かる。
 あのように死ぬことがほぼ確実視されるような戦場に自ら出向いて生き抜いた主人公、デズモンド・ドスは、信念のすごい人なんだろうけど、運の良さにもすごいものがあった、と思わせる。
 しかし日本兵にせよ、アメリカ兵にせよ、あのように狂ったとしか思えない戦いをやれるということは、本当にどこか狂っていないとできないんだろうなあ、と感じた。とても正気を保てるような場ではない。映画の前半部分でも描かれていたが、新兵を集めてまずやることは、とにかく洗脳することなのだろう。これは、日米どちらでも同じことだったと思われる。戦争で前線に送られるというのは、普通に社会生活を送っている理性的、合理的な精神ではまず無理だ。まずは洗脳して、上官の命令にはたとえ死んでも服従させるようにしないことには、話にならないのだろう。
 それにしても、この映画の感想には「主人公の信念に感動した」という声も多いが、私にはひどく偽善的に思える。この映画が表現したかったのは、どう考えても戦争の残虐シーンの方だろう。観客の多くも、最も楽しんでいたのは、そうした映像の方ではなかったか。「うわっ、ひどすぎる! 残酷だ」と感じることだって、感動の一種だ。そういうシーンを楽しみながら、「デズモンド・ドスの精神に感動した」とかいうのは、いかにも胡散臭い
 実際のドスにしても、よく理解できない人だ。「人を殺してはいけない」という教えを守るのであれば、普通に考えた場合「自分も戦争に協力する」という判断にはならないはずなのだが。自分の手は下さなかっただけで、他の兵隊に日本兵を殺してもらっていただけじゃないのか? 彼はこれで、神様が満足すると思っていたのだろうか? 宗教というのはよく分からん。

美女と野獣

2017年06月04日 17時10分20秒 | 映画

 最近、2つの実写版「美女と野獣」を見た。エマ・ワトソンが主演して現在ヒットしているディズニー版と、2014年に公開されたフランス・ドイツの合作版だ。ディズニー版は映画館で、ヨーロッパ版はテレビで見た。
 2つは完全に別の作品であり、それぞれに良さがあったが、私(と妻)はヨーロッパ版の方が良いと感じた。
 まず意外だったのは、ヨーロッパ版は、有名なディズニーアニメ「美女と野獣」とは全く違う話となっていることだ。多少違和感は感じたが、もともとこれはフランスの話なので、アメリカのアニメと違うからといっておかしい、ということはないのだろう。
 それよりも、普段外国映画といえばアメリカ映画ばかり見ているせいか、ヨーロッパ映画独特のセンス、テイストを強く感じて新鮮であった。30年以上前に見たドイツ映画「ネバー・エンディング・ストーリー」を何となく思い出させる。ファンタジー作品として、「美女と野獣」の世界観にすんなりと入り込むことができた。やはりヨーロッパの話は、ヨーロッパ人が作った方がリアリティがある、ということなのかもしれない。ヒロインはエマ・ワトソンほど美人ではないが、私が人に薦めるならヨーロッパ版の方だ。
 その一方で違和感といえば、ディズニー版の方が違和感がひどかった。中世フランスが舞台の話であるはずなのに、普通に黒人がフランス人役として登場していたのである。いくらなんでもそれはないだろう、と思う。「我々は黒人差別をしていませんよ~」と言いたかったのかもしれないが、差別をしない、というのはそういうことじゃないだろう。アメリカのリベラルも行き着く所まで行ってしまった感がある。裏にあるアメリカの政治事情ばかりが気になって、私は最後まで世界に入り込めなかった。

君の名は

2016年10月10日 05時38分37秒 | 映画

 今、非常に売れていると評判のアニメ映画「君の名は」を見に行った。岐阜県を舞台としており、あまりに話題になっているので、県議会でも取り上げられたほどだ。
 確かに、映像、物語、キャラクター、どれをとっても最高の映画だった。これからも日本アニメの水準は上がっていく一方なのだろう。これからアニメ映画の世界を引っ張っていくのはジブリではなく、新海誠監督なのではないか、とさえ思った。
 私が何といっても素晴らしいと感じたのは、舞台となっている飛騨の、風景や言葉が見事に表現されていたことだ。私が住む美濃地方とは少し異なるが、キャラクターのしゃべる言葉は確かに岐阜の方言なのである。しかもしっかりと方言指導がしてある。こんなアニメ映画は今までに無い。また、この映画のおかげで飛騨市を「聖地巡礼」するファンが急増しているのだそうだ。岐阜県人として嬉しいかぎりである。
 これからの時代は、観光産業が経済において大きな位置を占めていく。岐阜県のように従来の工業が不振を続ける地方においては、観光によって国内外から多くの人を呼び込むことが、なおさら重要になる。そのためのカギとなる地域が、何といっても飛騨だ。飛騨市だけでなく、白川村の合掌作りなども、外国人には分かりやすい魅力がある。大いにアピールしなければならない。
 映画「君の名は」は中国でも公開される可能性が高いのだそうだ。そうなると、中国からも「聖地巡礼」する観光客が大量に押し寄せる可能性がある。これを岐阜県の経済振興に役立てない手はない。県議会でアニメ映画が取り上げられたのも、そのためだ。県は飛騨への観光客誘致に向け、今こそ真剣に力を入れるべきではないか。

女子高生スタイルもアメリカ起源

2016年07月17日 06時05分25秒 | 映画

 ウーピー・ゴールドバーグ主演の「天使にラブソングを 2」は日本でも有名となった1993年のアメリカ映画だ。私も好きな映画の一つで、20代の頃に何度も見た覚えがある。先週だったかにテレビで放映されていたので、懐かしさを覚えて久しぶりに見てみた。上の動画はその中のワンシーンで黒人霊歌「Oh Happy Day」を生徒役達が歌っているところだ。
 久しぶりに見て今さら気が付いたのが、この映画に出てくる、ローリン・ヒルを初めとする女子高生たちの制服スタイルだ。90年代後半以降に日本で流行った女子高生スタイルにそっくりなのである。中にはルーズソックスを履いている生徒役もいた。おそらく、90年代前半のアメリカでは、女子高生の間でこのようなスタイルが流行っていたので、映画にも反映されていたのではないか。
 短いスカートにルーズソックスというスタイルは日本で生まれたものだとばかり思っていたが、どうやら違っていたようだ。日本の「女子高生文化」も、アメリカの影響を強く受けていたのである。

チーム・アメリカ ザ・ワールド・ポリス

2015年10月17日 23時58分37秒 | 映画

 「チーム・アメリカ ザ・ワールド・ポリス」は2004年のアメリカ映画である。あの大人アニメ「サウスパーク」を作ったトレイ・パーカーとマット・ストーンが監督を務めた。一見「サンダーバード」のような人形アニメであるが、この二人が作っている以上、上の映像のような強烈なギャグが基本となっている。
 なにしろ、メインの悪役があの金正日なのである。当然、公開当時は北朝鮮に怒られ、国際的に物議をかもした。しかし金正日はまだ愛嬌がある方で、マイケル・ムーアやアメリカのリベラル派俳優などは、悲惨な扱いをこの映画では受けている。私もそうなのだが、この二人はリベラリストが心底嫌いなのだろう。見ていて、実に溜飲が下がる作りとなっている。(笑)
 それにしても、アメリカ人のギャグセンスというのは、私と相性が合う。こういう皮肉の効いた強烈なギャグは最高である。

ザ・タイガース 「ハーイ! ロンドン」

2014年10月13日 06時38分07秒 | 映画

 酔狂に、TSUTAYAで何気なく見つけたザ・タイガース主演の「ハーイ! ロンドン」とかいうDVDを見てみた。1969年(今から45年前)のアイドル映画である。
 まともに映画として見れば、しょうもない内容であったが、当時の世相や流行などをうかがい知ることができ、非常に面白かった。若い頃(まだ20歳そこそこ)の岸辺シローや岸辺一徳(この時は「サリー」などと呼ばれていた)は、今では考えられないほどさわやかで、見ているだけで何だか笑えてきた。ジュリー(沢田研二)は英語で歌を歌っていたが、意外とかなりうまかった。若い頃(30代半ば)の藤田まことが怪しげな役(悪魔?)で出演していたのも面白かった。
 不気味な中高年を演じることの多い俳優の岸辺一徳や、「元・金持ち」として貧乏生活を送る岸辺シローにも、キャーキャー言われていたアイドル時代があったのである。

万能鑑定士Q 映画版

2014年05月31日 06時39分07秒 | 映画

 今日5月31日は、映画「万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」が公開される。しかし、私は見に行かない。なぜかというと、昨日にテレビでこの映画の予告編のような番組を見たからだ。30分弱の番組であったが、それすら途中で見るのをやめてしまった。綾瀬はるかがヒロインの凜田莉子を演じていたのだが、それがあまりにもひどい出来だったのである。凜田莉子というより、普通に「綾瀬はるか」が鑑定士の真似をしてしゃべっているだけ、という印象であった。原作を知らない人はそれなりに楽しめるのかもしれないが、小説が好きな人にはイメージが壊れるだけじゃないか、と思った。綾瀬はるか自体は別に嫌いじゃないのだが、なぜ主演を彼女にする必要があったのか。理解に苦しむ。やっぱり「大人の事情」があったんだろうな・・・。

アナと雪の女王

2014年03月15日 23時37分09秒 | 映画

 ディズニーの「アナと雪の女王」字幕版を映画館で見た。これはアメリカでも歴代第3位の興行収入を誇る大ヒット作なのだそうだ。さすがにその評判どおり、完璧なアニメ映画であった。完成度、クオリティが尋常ではない。あのディズニーが総力を上げて作ったであろうことがビンビンと伝わってくる。アニメーションという表現手法も、ついにここまで発展したのか、と思わせるほどのこだわりを感じた。
 日本のアニメは国際的にも評価が非常に高く、少なくともTVアニメに関しては世界中で広く受け入れられていると思う。しかし興行収入、商業的な成功という意味においては、まだまだディズニーの足元にも及ばないのではないか。「アナと雪の女王」の圧倒的な完成度を見て、余計にそう思った。
 それにしても、主題歌である「Let It Go」は涙が出そうになるほどの超名曲だ。私の頭にこびりついて、しばらくは離れてくれないと思う。吹き替え版ではこの歌を松たか子が歌っており、こちらも非常に評判が良いらしい。ぜひ吹き替え版の方も見てみよう。