北朝鮮によるミサイル発射を受け、日本の与党でも先制攻撃論を主張する政治家が増えたようだ。しかし私に言わせれば、あんまり深く考えた上での主張とは思えない。今回のミサイルは、一線を越えたとはいえ、いつもながらの北朝鮮による恫喝政策である。国際社会が北朝鮮を六カ国協議に引き戻そうとしている今、それに対して日本のみが先制攻撃論を唱えることは、無駄に極東地域の不安を煽るだけだ。第一、自衛隊は先制攻撃なんぞをできるような軍隊ではない。
この日本の一部政治家による主張に対して、やはり北朝鮮は猛反発だ。下は、時事通信による今日の記事である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060712-00000119-jij-int
【ソウル12日時事】北朝鮮の平壌放送は12日、額賀福志郎防衛庁長官が9日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、日本として敵基地攻撃能力保持を検討すべきだとの考えを示したことを報じ、「日本の再侵略の野望がどれほど危険な水準に至っているかを改めてはっきりと示している」と非難した。ラヂオプレス(RP)が伝えた。
また、韓国の通信社・聯合ニュースによると、労働新聞も12日、「日本の軍国主義勢力の再侵略の第1目標はわが国だ」と報じ、ミサイル発射後、日本国内で強まる北朝鮮に対する強硬姿勢を批判。「日本反動支配層は米国の保護下に軍事大国化、海外膨張の野望を実現しようとしている」と強調した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まあ、北朝鮮ならさもありなん、という内容だ。特に新味はない。ところが、下は
韓国の朝鮮日報による今日の記事である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/12/20060712000006.html
韓日両国の葛藤(かっとう)が深刻化している。準敵対国化するのではないかという懸念さえ持ち上がっている。大統領府の高位当局者も最近の両国関係に対し、「非正常的」と言及している。
日本の政治家らが北朝鮮に対する先制攻撃論を主張しているのに対し、11日に鄭泰浩(チョン・テホ)大統領府スポークスマンは公式ブリーフィングを通じ、「日本政府の閣僚たちが相次いで韓半島(朝鮮半島)に対する先制攻撃の可能性と武力行使の正当性を取り上げているのは、それ自体が深刻な事態」とし、「韓半島と北東アジアの平和を損なう重大な脅迫的発言」と、日本政府を真っ向から批判した。
鄭スポークスマンは「これは、日本が侵略主義的な性向を現したものとして大いに警戒する必要がある」とし、「北朝鮮のミサイル発射を口実に“先制攻撃”のような危険かつ挑発的な妄言で韓半島の危機をさらに増幅させ、軍事大国化の名分にしようとする日本の政治家のリーダーたちのごう慢さと妄動に対し、強く対応していく」と話した。
(以下略)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうだろうか。北朝鮮政府とほとんど似たような反応である。うーん、大丈夫か、韓国。だんだん言うことが北朝鮮と同じになってきてるぞ。(^^;) 確かに日本の先制攻撃論はしょうもないが、「強く対応していく」国をどこか間違えてんじゃないか?