Willow's Island

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NHKから国民を守る党

2019年07月19日 06時43分53秒 | 時事

 次の日曜日は参議院議員選挙だ。今回の選挙でやたらと立候補者が増えたと感じるのは、言わずと知れた「NHKから国民を守る党」である。政策といえば、NHKをスクランブル放送にすること、のみのようだ。キャッチフレーズは「NHKをぶっ壊す!」である。そんな政党がNHKに出演して政見放送をしているだけでも十分面白いのだが、その内容というのがさらにすごい。特に、三重県選挙区に立候補の門田節代だ。この人は下手な芸人よりも遥かに面白いので、ぜひ上の動画を見ていただきたい。受信料を払っていない家はNHKを見られないようにすればいい、という考えには私も賛成である。
 じゃあN国党に投票するのかといえば、それは絶対にないのだが(^^)。私が投票するとすれば、やはり自民党である。何とかして改憲勢力が多数を占めていただきたいと思っているのだが、ちょっと厳しいだろうか。

産経新聞を止めて岐阜新聞を購読

2019年07月16日 06時23分03秒 | 時事

 我が家は現在の家に引っ越して来て以来、10年近くに渡って産経新聞を購読してきた。私の住む地域では大多数の世帯が中日新聞を購読しているにもかかわらず、産経新聞を読み続けた理由は、この10年前の記事にあるとおりである。
 ところが、今月から岐阜新聞に乗り換えた。なぜかといえば、理由は三つある。
 第1に、産経新聞では県内や地域の記事がほとんど掲載されていないため、私の職業上、ローカルな情報を手に入れないと都合が悪い、ということがある。産経は国際ニュースには明るいが、地域版コーナーというものを持っていない。その点、岐阜新聞なら、少なくとも岐阜県内の情報であれば最も詳しく知ることができる。
 第2に、岐阜県で配布される産経新聞では、情報が遅すぎるのである。産経新聞を印刷、発行している地点は大阪と東京だけなので、それ以外の地域ではほぼ1日遅れの版を手に入れるしかない、というのが現状だ。そのため、私が新聞で知ることのできるニュースは、常にほぼ1日遅れとなってしまう。これが10年も続くと、さすがに気になってきた。
 第3に、産経新聞に独特の、親米保守の論調には飽きてきた、ということがある。私もナショナリスティックな人間なので、そういう点が当初は気に入っていたのだが、あまりにもそれが一本調子であり、記事の書き方にも色眼鏡が濃すぎると感じられるため、最近はあえて読みたいとは思わなくなった。記事の記述には、あまり思想を交えるべきではないと思われる。
 その点、岐阜新聞であれば、全国ニュースや国際ニュースは共同通信の記事を載せているだけである。記事の記述は、共同通信のように淡々と事実を述べるのみに留めておくのがよい。発生した事象ををどのように考えるか、は基本的に読者の判断に委ねるべきだ。
 以上が、岐阜新聞を選んだ理由である。ローカルな情報を得るだけなら中日新聞でもいいのだが、中日新聞の記事から滲み出る左翼的な臭いがどうしても気に食わないため、対象から外した。

高橋留美子 フランスの漫画祭でグランプリを受賞

2019年01月30日 21時04分40秒 | 時事

https://www.sankei.com/entertainments/news/190124/ent1901240003-n1.html
 フランスのアングレーム国際漫画祭で、日本の漫画家・高橋留美子先生がグランプリを受賞したそうだ。それはいいのだが、漫画祭の主催者によると受賞理由は「出る 杭は打たれる社会でアウトサイダーや変人を全面に押し出し、彼らにもチャンスがあることを示そうとこだわった」ということなのだそうだ。こいつは本当に漫画を読んだことがあるのか?
 高橋留美子の作品を読めばわかるがそんな政治的なことに「こだわっている」とは到底思えない。あるのは、国際的に通用する普遍的なエンターテイメント性だ。私はイギリス、フランス、アメリカ、イタリア、中国、韓国、台湾、タイなど、いろんな国を旅行したが、どの国の本屋にも「らんま1/2」や「犬夜叉」は必ず置いてあった。普遍性が高いので、外国人にも理解しやすいのだと思う。高橋留美子が 世界的な賞を受賞するとすれば、こうしたことが理由であるはずだ。アウトサイダーや変人が出ているから、世界中で評価されているわけではない。そんなことは作品を読めばすぐに分かる。
 にもかかわらず、あのような薄っぺらいリベラリズム丸出しのコメントしか出ないのは、はっきり言って気分が悪い。思い出したが、アングレーム国際漫画祭といえば、5年前に韓国政府の後援を受けた慰安婦に関するプロパガンダ漫画が出展されていた。そして、それに反論しようとした日本の漫画は強制的に排除されていたことを覚えている。要するに、そういう漫画祭なのである。このような祭で受賞したところで、全く快挙にはならない。
 そもそもフランスなど、漫画文化については日本よりも進んでいるとも思えないし、規模もはるかに小さい。日本の漫画を読んでいるフランス人はたくさんいるが、フランスの漫画を読んでいる日本人などそれほど多いとは思えない。漫画に関してはフランスではなく、日本国内において権威のある賞を設けて、高橋留美子に与えるべきなのである。

外国人労働者の受入がダメな理由

2019年01月20日 12時35分53秒 | 時事

 本屋で久しぶりに「週刊東洋経済」を買ってみた。「日本の生存戦略」と題してデービッド・アトキンソン氏の長いインタビューが掲載されていたからだ。この中でアトキンソン氏は、私の期待通り目から鱗の落ちることをいくつか述べていた。少し長いが、25 ページから26ページまでの一部を以下に引用する。

 いちばんの問題は政策を考えている人に分析能力がないこと。 経営者の言いなりになっている。企業は、高度人材を積極的に受け入れると言う一方で、実際はフィリピンやミャンマー、ベトナムなどから安価な労働力を取り込もうとしている。これは明らかに矛盾だ。
 今の政策は日本が途上国に戻る道を作っている。途上国から人を受け入れれば受け入れるほど、それらの国の水準に収斂していく。そこまで考えている人があまりいない。
 もうひとつの重要な問題は、経営者が一般社員に対する配慮を欠いていることだ。経営者は自分の報酬が担保されるなら、日本が途上国になったとしても何とも思わない。「社長の腕の見せどころは、どれだけ安い給料でたくさん働かせるか」と考えている人が大半であることを、私は経営者の集まりなどに参加して痛感する。
 そもそも外国人を受け入れる必要があると言っているのは、外食産業や宿泊業など、生産性が著しく低く、過酷な労働条件の業種だ。これまで過度な価格競争を長く繰り返してきた結果、まともだ給料を払えなくなったところが「人手不足だ」と主張している。
  これは人手が足りないのではなく、ひどい労働条件なので働きたいと思う人がいないだけ。そこに外国人を入れるというのは、ばかげた政策だ。


 なるほど、確かに言われてみれば、その通りだ。日本はこれから人口が減少するのだから、国力を維持するためには移民を受け入れるしかないと私は思ってきた。いろんな国の外国人が増えることによって、日本の社会や文化の多様性にも貢献し、面白くなるのではないか、などとも思っていた。だから私は外国人受け入れ賛成論者であったのだが、これを読んで考えを変えた
  これからの日本に必要なのは、付加価値の高い産業しかない。発展途上国であった頃に必要とされた工業は、中国などの新興国に勝てるはずもない。そもそも、工業の後発国と製品の価格で張り合おうとしたことが、日本の大きな誤りであったのだ。
 付加価値の高い知的産業を伸ばすには、労働者の高い教育レベルが求められる。日本にとってはこれが決定的に重要となる。しかし外国人を受け入れるとなると、その外国人が従事する仕事はどんなものであるか? 高い日本語能力が求められない仕事、ということになる。 日本語能力が必要のない仕事というものが、高い付加価値を生むとは到底思えない。日本を成長させるために必要なものではない、ということだ 。
 介護に人材が足りないというのはよく聞くが、 それは介護報酬があまりにも低く設定されていることが根本にある。介護保険制度の抜本的な見直しも必要ということになる。

北方領土問題はいよいよ大詰めか

2018年11月17日 20時15分42秒 | 時事

https://mainichi.jp/articles/20181117/k00/00m/010/138000c
 北方領土問題を巡る日露交渉で、安倍晋三首相が北方領土を非軍事化することをロシアのプーチン大統領に提案していたことが判明した。1956年の日ソ共同宣言に沿って歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)両島が返還された場合、日米安全保障条約に基づく米軍基地や自衛隊の基地を置かないと伝えることで、ロシア側の懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがある。今後の交渉では、ロシアによる軍事化が進む択捉、国後両島の非軍事化も求める考えだ。ただ、米国が日本の方針に賛同するかは見通せない。ロシアが択捉、国後両島の非軍事化に同意する可能性も低く、交渉は難航しそうだ。
<以下略>
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 長い年月に渡り膠着してきた北方領土の問題であるが、最近になって急に、最終決着を付けようとする動きが顕著になってきた。しかも今後数年以内にだ。これほど急展開になったのは、プーチンの方から本格的に事を進めようと、日本側へ積極的に持ち掛けてきたことによる。実は日ロ両国の外務省の間では水面下で話が進められており、プーチンは自分の役割を果たしただけなのかもしれないが、ロシア側からのアクションから始まった可能性は高い。
 ではなぜ、プーチンは今になって「すぐにでも平和条約を結ぼう」などと言ってきたのか。私が思うに、安倍首相が9月の総裁選に勝ち、連続三選を果たしたことが影響しているのではないか。これを見て、安倍の日本における立場は完全に安定しており、真に交渉に足る相手である、と見なされたのではないか。安倍はプーチンの目にかなった、といえる。逆に言えば、それ以前の日本の首相は立場が非常に不安定であり、そのような者は信頼をおいて交渉ができない、と見なされていたのだ。また、アメリカも現在のトランプ政権であれば特に邪魔をしてこない、という見通しもあったのだろう。
 それで北方領土問題は最終的にどういう決着を見るか、というと、おそらくプーチンの言うとおり「歯舞、色丹の2島のみ返還」となると思う。現実的に考えて、4島一括返還というのは可能性がゼロに等しい。択捉、国後が返ってこないのは何ともやりきれないが、1956年の日ソ共同宣言(日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡し(譲渡)する。)があるから、としか言いようがない。
 安倍政権は国内をどう説得するのか分からないが、ロシアと平和条約を結べるのは今しかいないだろう、とも思う。正直言って私も個人的に、今までのように問題を放置し続けるより、こうした不本意な形であっても解決をした方がいいと考えている。

野菜を食べると本当に健康に良いのか

2018年10月20日 23時35分26秒 | 時事
ぎふ県政ほっとライン「1日350gの野菜を食べよう~野菜ファーストプロジェクト~」(2018.10.04放送)

 まずは上の動画を見ていただきたい。毎日必ず野菜を食べよう、食事の最初に野菜を食べようと呼びかける、岐阜県の野菜ファーストプロジェクトなるものについての報道だ。健康のためには野菜が重要だと強調している。世間一般でもそのように認識されており、我が家でも意識して野菜を多めにとるようにしている。
 しかしふと気になったのが、前回の記事で扱った健康寿命についての統計だ。健康寿命の長さということで言えば、山梨県に次いで愛知県が全国上位にランクされている。2016年の厚生労働省の調査においても、愛知県は女性で1位、男性でも3位という健康寿命の長さである。
https://www.nhk.or.jp/gogoradi-blog/200/296924.html
 ところが、この愛知県であるが、野菜の摂取量という点では全国最下位なのである。これも統計調査で明らかになっている。
https://www.ryutsuu.biz/promotion/k082429.html
 野菜の摂取が最も少ない愛知県民が不健康であると言うのならわかるが、逆に健康寿命は全国トップクラスという結果だ。これは果たしてどういうことか。野菜を食べることと健康はあまり関係ない、ということか?
  同じように野菜の摂取量が低いとされる岐阜県民の健康寿命も、男性は4位、女性は7位と全国でも上位なのである。これはもしや、野菜よりも赤味噌の方が健康に良い、ということだったりして。赤味噌は塩分高いのにな。

ク・ハラ 暴行疑惑

2018年09月21日 06時13分20秒 | 時事

https://news.nifty.com/article/item/neta/12189-20161799984/
 先週、ハラが元彼に暴行したとして、警察に通報されたらしい。元彼がハラの家を訪れて別れ話を切り出したところ、喧嘩になりその男が怪我をしたというのだ。 現在は警察の事情聴取を受けており、どのような結果になるのかまだ分からない。元彼はハラが一方的に暴力を振るったと言うのだが、ハラは自分も暴力を受けたと否定しているそうだ。
 真相は完全に明らかになっていないが、別れ話が元で暴力沙汰になったのは本当のようだ。ハラ本人も否定していないことから、きっかけは元彼が別れようと言ってきたこと、ハラが先に手を出したことは間違いがないのだろう。とはいえ、こうした喧嘩を暴行だとして警察に通報したその男も、相当に腐ってはいるが。
 KARAが事実上の解散をしてから2年以上経つが、ハラの韓国での活動はそれほど順調でもなかったようだ。当初は歌を出したり、バラエティ番組に出たりしていたが、今現在はあまり目立った活動がない。そこに来て、この暴行疑惑である。少し前には、自殺未遂をしたという噂や、薬を飲んで病院に運ばれた、などという噂まで出回ったらしい(本人側はもちろん否定しているが)。このままでは、韓国での芸能活動も非常に困難になるだろう。
 ここ最近の噂や、今回の暴行事件を合わせて考えると、ハラは精神的に不安定な状態にあったのかもしれない。
 ハラは幼い頃に両親が離婚しており、親戚をたらい回しにされたあげく、祖母に育てられたらしい。それでも大人になってKARAのメンバーとして大活躍をし、現在はカンナムの豪邸に住んでいる。私もネット記事で見たことがあるが、本当にすごい家であった。今は幸せになったと思っていたのだが、そうではなかったということだろうか。
 彼女は、愛情を求める気持ちが誰よりも強かったのかもしれない。それが今回の事件に繋がったとすれば、あまりに不憫だ。私ごときが言うことではないが、ハラは早く本当の幸せを掴んでほしい。

失敗に終わった米朝首脳会談

2018年06月13日 05時29分48秒 | 時事

 昨日は史上初めての米朝首脳会談がシンガポールで行われたわけだが、結果はひどいものだった。失望としかいいようがない。出された共同声明というのが、以下のものである。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31689760S8A610C1910M00/
 新たな米朝関係の確立が、朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与すると確信し、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を促進できることを認識し、トランプ大統領と金委員長は次のことを言明する。

 1 米国と北朝鮮は、両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する

 2 米国と北朝鮮は、朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する

 3 2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束する

 4 米国と北朝鮮は(朝鮮戦争の米国人)捕虜や行方不明兵士の遺体の収容を約束する。これには身元特定済みの遺体の即時帰国も含まれる



 つまり、「約束する」とか「努力する」という空虚なスローガンがあるだけだ。トランプは会談を一時期キャンセルしかけて北朝鮮を慌てさせ、アメリカ側が主導権を握ったため、「こいつ意外と頭いいのかもしれない」と思ってしまったが、全くの勘違いであった。やっぱり何も考えていなかったようである。
 北朝鮮の非核化ということであれば、外部からの査察が可能な核廃棄というのが最低条件となる。それに全く触れず、カリアゲ頭を喜ばせただけであれば、最初から会談などすべきではなかった。そもそも、易々と北朝鮮とは交渉しない、というのがアメリカ政府の方針だったはずだ。それをトランプの素人外交が引っ掻き回した、ということのようである。
 唯一の希望の光といえば、ポンペオ国務長官が行うという今後の北朝鮮との交渉だが、あまり期待しない方がいいだろう。北朝鮮が一旦手に入れた核を手放す、などということはそもそもありえないからだ。

なぜ日本に米軍がいるか

2018年05月28日 05時16分49秒 | 時事

 5月26日(土)にテレビ朝日で「池上彰のニュース そうだったのか!!」を見たが、その中で「アメリカ軍が海外において、最も大規模に基地等を展開している国はどこか?」という話題があった。答えは、1位ドイツ、2位日本、3位は韓国であった。あと、イタリアにも基地が多いらしい。
 なぜそうなるかというと、池上さんによると「ドイツやイタリアは第2次世界大戦の相手国だったので、二度とアメリカに歯向かえないようにする必要があったから。それから韓国は、朝鮮戦争は休戦中という扱いなので、まだ駐留しなければならない。」ということであった。それで池上さんによる解説は終わり、次の話題へと移っていった。
 私はそれを聞いていて、「ちょっと待て」と強く思った。肝心の日本について、なぜこんなに米軍がいるのか、完全にスルーしていたからだ。
 しかし、世界で米軍が多い国としてドイツ、日本、イタリア等がある、という話の流れからいって、日本に米軍が展開されている理由は、ドイツやイタリアと同じだ、と考えるのが自然だ。つまり、旧敵国である日本は、米軍を派遣して押さえ込む必要があるから、ということになる。「アメリカが日本を守るため」という理屈は、明らかにプロパガンダっぽく思える。
 今や日本はアメリカの立派な従属同盟国なのだが、そんなことは関係ないのだろう。第2次世界大戦で勝ったことによる既得権益だ。戦争にでも勝たないかぎり、すんなりと基地を恒久的に置いておくことなどできない。ロシアや中国などにも睨みを利かせておける基地の配置、というメリットは、そう簡単に手放さないだろう。
 誤解のないように書いておくと、私は米軍の駐留に反対しているわけではない。むしろ肯定的だ。日米による安全保障体制は、アメリカの都合により始まったものだが、日本にとっても非常にメリットがあると考えている。
 それにしても池上さんは、なぜあれほど完全にスルーしてしまったのだろうか。やっぱりこれはタブーだから、ということか。

杉原千畝のリスト、世界記憶遺産に落選

2017年11月04日 07時01分22秒 | 時事

 八百津町や岐阜県が申請をしていた杉原千畝の資料は、ユネスコの世界記憶遺産には登録されなかった。町や県は垂れ幕まで作ってすごく期待していただけに、失望は大きい。
 しかし考えてみれば、落選したのも分かる気がする。今でこそ杉原は人権、人道の精神を実現した者として国内で賞賛されているが、彼が現役の外交官だった時代はどうだったか。ナチス・ドイツは敗戦するまで日本の同盟国であり、日本の外務省は彼の行動を全否定していたのである。日本国民も戦後しばらくは杉原の存在など知らず、無関心だった。
 それが平成の世になって「日本のシンドラーと呼ばれる人がいたらしい」と噂になり、急に世間では彼が賞賛されるようになった。今になって地方政府(local government)が杉原の功績を世界遺産に、と言ったところで、確かに虫のいい話ともいえる。
 なお、一部の市民団体が申請していた慰安婦に関する記録も落選したようだ。代わりに世界記憶遺産に登録されたのは、高崎にある石碑群と、朝鮮通信使に関する記録なのだそうだ。慰安婦問題など国際間で揉めそうな話は敬遠して、それよりも、どこからも文句が出そうにない朝鮮通信使の記憶を残すことによって、日韓はもっと仲良くしてね、というユネスコの計らいなのかもしれない。単に歴史資料として見れば朝鮮通信使にそれほど重要な意味があるとは思えず、私にはそういう計らいがあったようにしか見えない。
 ところで朝鮮通信使といえば、本国からろくな資金を持たされていなかったせいか食料などは日本で現地調達していたそうだ。それでやむなく日本人の家から鶏を盗もうとして、町民から棒で叩かれていた、という記録もあるらしい。こうした記録も含めて、ぜひ「世界の記憶」としていただきたい。(^^)