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ロイヤラクチンのこと

2018-12-03 | Weblog
ロイヤラクチンとは女王バチへの変態を誘導する決定的な因子として鎌倉昌樹氏によって2011年に報告されたタンパク質である。極めてわかりやすい方向性に加えて、単著によるNatureへの掲載ということで大変話題なった。ところが、一昨年ドイツの研究グループにからこの成果を否定する論文がNature誌に掲載された。100%近い確率で女王バチを誘導できたという鎌倉氏の手法に再現性がないとのことで、ロイヤラクチンは女王バチ誘導の因子ではないと断じている。鎌倉氏も同誌で反論し、使用したロイヤラクチンの純度が悪いことや実験系の違いのためと指摘している。最初の発表から7年も経ちながら、再現性の報告が他所から聞こえてこない。疑いたくはないが、これはやはり・・・との気持ちが持ち上がる。捏造とはまだ言えないし大きな勘違いの可能性もある(小保方事件も発端は勘違いだった)。ここはやはり鎌倉氏自身がロイヤラクチンの再現性を示さない限り、勝ち目はないだろう。個人的には、大腸菌で発現させたロイヤラクチンによって誘導に成功したという鎌倉氏の報告が真実なら、これが決定的だと思し、他人にとっても最も再現しやすい方法だと思うのだが。ただ、鎌倉氏自身、2011年のNature以降ロイヤラクチンに関する新たな英語論文を1報も出していない。

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