陥落直前のベルリン、総統官邸の地下につくられた防空壕における、ヒトラーと側近達の最後を秘書の証言をもとに描いた映画。ドイツ人の手による初のヒトラー映画ということで話題になった。映画というよりはドキュメンタリーという感じであり、あまりに多くの人物を登場させたため、知識がない人には最後まで誰がどういう人物なのか把握できなかったのではないか?ヒトラーを演じた役者(ブルーノ・ガンツ)は、ヒトラーの2面性を熱演していたが、個人的には手塚治虫の「アドルフに告ぐ」のヒトラーの狂気ぶりには至ってなかったと思う(漫画と実写を比べるのはどうかと思うが)。気になったのは、主人公である秘書の常にばっちりなメイクアップ。確かに地下壕にはヒトラーの愛人も住んでいたし、相当量の物資を貯蔵していたので、厚生施設はしっかりしていたと思うが、地下壕で暮らすにしては、あまりに血色がよすぎて健康的すぎた。この秘書が少年とともに敗戦下のベルリンを脱出し、自転車で故郷(バイエルン)へと向かうところで映画(本筋)は終わるのだが、この中途半端にハッピーで予定調和っぽいエンディングが折角の作品をチープにしていた。どこまでが実話なのかわからないが、もう少し他の演出があったと思う。
追い詰められた少年兵達がお互いを銃で撃ち合って自決したり(白虎隊を思わせる)、戦争の悲惨さを子供達を説いていた上記の少年の父親が、治安維持の赤狩りにあって殺されてしまうところなど、ショックなシーンはいくつもあるが、戦争映画にしては全体的に「綺麗」に作られている。最後に主人公がベルリンを脱出する際、士官から「ロシア兵と絶対に目を合わすな」といわれるのだが、どういう意味かをしりたければ(よほどの子供でなければわかると思うが)この本を読むとわかる。占領下のベルリン、および各地ドイツでの地獄絵図が書かれている。しかし、ロシア軍だけが悪いのではなく、同様のことをドイツ軍もロシアやポーランドでやってきた。日本もアメリカもイギリスも多かれ少なかれ同じことをやってきた。というより、歴史が始まって以来、戦争で敗北する、占領されるということは、一体どういうことかということを改めて認識させてくれる。「無防備都市宣言」などという脳天気なことをいう活動家は、一度読むといいだろう。もちろん、戦争なぞしないことが一番であるが、戦争というものはやる以上は、なにがなんでも勝たなければいけないと思わされる。「勝負は時の運」という感覚でやる戦争などはありえない。
追い詰められた少年兵達がお互いを銃で撃ち合って自決したり(白虎隊を思わせる)、戦争の悲惨さを子供達を説いていた上記の少年の父親が、治安維持の赤狩りにあって殺されてしまうところなど、ショックなシーンはいくつもあるが、戦争映画にしては全体的に「綺麗」に作られている。最後に主人公がベルリンを脱出する際、士官から「ロシア兵と絶対に目を合わすな」といわれるのだが、どういう意味かをしりたければ(よほどの子供でなければわかると思うが)この本を読むとわかる。占領下のベルリン、および各地ドイツでの地獄絵図が書かれている。しかし、ロシア軍だけが悪いのではなく、同様のことをドイツ軍もロシアやポーランドでやってきた。日本もアメリカもイギリスも多かれ少なかれ同じことをやってきた。というより、歴史が始まって以来、戦争で敗北する、占領されるということは、一体どういうことかということを改めて認識させてくれる。「無防備都市宣言」などという脳天気なことをいう活動家は、一度読むといいだろう。もちろん、戦争なぞしないことが一番であるが、戦争というものはやる以上は、なにがなんでも勝たなければいけないと思わされる。「勝負は時の運」という感覚でやる戦争などはありえない。