東京文化会館での公演。金聖響指揮によるオールリヒャルトプログラム。曲目は、7つのヴェールの踊り、メタモルフォーゼン、ドンキホーテの3曲。5階席テラスの最安席(1800円)で聴いたのだが、申し込みが早かったお陰で最前列だった。文化会館のテラスは、椅子を一段高めにしており、さらに手すりがないので、障害なく舞台を見渡せる素晴らしい造りなのだ。文化会館は私の一番のお気に入りのホールである。設計したのは前川國夫氏だが、氏の設計したもう一つの素晴らしいホールに、神奈川県立音楽堂がある。学生以来ここで演奏をしたことがなかったのだが、ある縁で近々ステージに乗ることができそうだ。楽しみである。また氏の自宅が江戸東京たてもの園に移築されて残っているので、来月あたりに見学にいこうかと計画している。
全体を通してまとまりのある良い演奏会だったと思う。弦楽器群が随分と磨かれたなと思った。うーん、でも随分とエキストラが多いようにも見えたのだが・・。金聖響氏の指揮は初めてみたのだが、大きな体でてきぱきと指示を出しテクニシャンさを感じさせた。前プロのサロメダンスでは、その指揮ぶりがリズミックな曲調にあって壮観だった。メタモルフォーゼンは夢の曲の一つだ。エロイカの葬送行進曲をテーマにした弦楽合奏曲なのだが、これは純粋西洋音楽への鎮魂歌だと思う。これほど弦楽器としての響きを求められる曲はないのではないか。23台の楽器がそれぞれ独立して動き、信じられないようなハーモニーを次々に構成していく魔術的作品。惜しかったのは、気合いが入りすぎて、たまに雑音や荒い音が飛んできたこと。この曲だけは完全に純粋な音程だけで作り上げて欲しかった。バスは3本なのだが、やはりバスが入ってくると音楽が暖かくなる。コンロが着火してボウ!と音を発する光景を連想してしまった。演奏終了後、指揮者が黙祷を捧げるように俯いたまま固まってしまい、待ちきれなくなった客がぱらぱらと拍手と始めてしまった。折角そこまで待ったのだから、そのまま待っていればいいものを。確かにあの黙祷はちょっとやりすぎだとは思うのだが。ドンキホーテのチェロは、フィンランドの名手アルト・ノラス氏によるものだった。長身のすらっとした初老の奏者で、雰囲気がドンキホーテぽかった。長谷川陽子の師で、チェロ業界では有名な人らしい。出だしのほうは、大きく音をはずして、荒い音で高音を弾いたりしていたので、あまり上手ではない人?と思ったが、曲が進むにつれて安定感が増し、音色も甘く輝いてきた。最後のドンキホーテの死のシーンは鳥肌が立つほど見事だった。ヴィオラのソロは首席の鈴木氏。先日のシュターツカペレのソロより上手だったように思う。そして意外に大変なのが、ソロヴァイオリン。コンマスの矢部達也が弾いていたが、ヴィオラよりこちらのほうが目立つし、技術的にも格段に難しいのではないか?これに限らず、リヒャルトの交響詩のソロヴァイオリンはどれも大変なのであるが。聴衆は8割ぐらい入っていたか?極端なブラボーはなかったが、さすがこのプロを聴きにくるお客さんだけあって、きちんと聴いていたように思う。
在京オケでは、N響と都響ぐらいしか聴きにいかないのだが、この2つの楽団は個性が正反対で面白い。官僚的で、恐ろしくつまらない演奏をデフォルトに、たまにとんでもない名演をする前者。倒産寸前に追いつめられた状態から見事に再生し、「のだめ」ブームを武器に上げ潮気味の後者。そういえば、音楽監督のデプリーストってなぜかまだ聴いて無いんだよな(たいして通ってないじゃないか)。来年で退任(後任はインバル)らしいから、一度聴いておくか。そういえば、年末にやるインバルのマラ6は完売らしい、7番はまだ残席があるそうだが・・・どうする?
全体を通してまとまりのある良い演奏会だったと思う。弦楽器群が随分と磨かれたなと思った。うーん、でも随分とエキストラが多いようにも見えたのだが・・。金聖響氏の指揮は初めてみたのだが、大きな体でてきぱきと指示を出しテクニシャンさを感じさせた。前プロのサロメダンスでは、その指揮ぶりがリズミックな曲調にあって壮観だった。メタモルフォーゼンは夢の曲の一つだ。エロイカの葬送行進曲をテーマにした弦楽合奏曲なのだが、これは純粋西洋音楽への鎮魂歌だと思う。これほど弦楽器としての響きを求められる曲はないのではないか。23台の楽器がそれぞれ独立して動き、信じられないようなハーモニーを次々に構成していく魔術的作品。惜しかったのは、気合いが入りすぎて、たまに雑音や荒い音が飛んできたこと。この曲だけは完全に純粋な音程だけで作り上げて欲しかった。バスは3本なのだが、やはりバスが入ってくると音楽が暖かくなる。コンロが着火してボウ!と音を発する光景を連想してしまった。演奏終了後、指揮者が黙祷を捧げるように俯いたまま固まってしまい、待ちきれなくなった客がぱらぱらと拍手と始めてしまった。折角そこまで待ったのだから、そのまま待っていればいいものを。確かにあの黙祷はちょっとやりすぎだとは思うのだが。ドンキホーテのチェロは、フィンランドの名手アルト・ノラス氏によるものだった。長身のすらっとした初老の奏者で、雰囲気がドンキホーテぽかった。長谷川陽子の師で、チェロ業界では有名な人らしい。出だしのほうは、大きく音をはずして、荒い音で高音を弾いたりしていたので、あまり上手ではない人?と思ったが、曲が進むにつれて安定感が増し、音色も甘く輝いてきた。最後のドンキホーテの死のシーンは鳥肌が立つほど見事だった。ヴィオラのソロは首席の鈴木氏。先日のシュターツカペレのソロより上手だったように思う。そして意外に大変なのが、ソロヴァイオリン。コンマスの矢部達也が弾いていたが、ヴィオラよりこちらのほうが目立つし、技術的にも格段に難しいのではないか?これに限らず、リヒャルトの交響詩のソロヴァイオリンはどれも大変なのであるが。聴衆は8割ぐらい入っていたか?極端なブラボーはなかったが、さすがこのプロを聴きにくるお客さんだけあって、きちんと聴いていたように思う。
在京オケでは、N響と都響ぐらいしか聴きにいかないのだが、この2つの楽団は個性が正反対で面白い。官僚的で、恐ろしくつまらない演奏をデフォルトに、たまにとんでもない名演をする前者。倒産寸前に追いつめられた状態から見事に再生し、「のだめ」ブームを武器に上げ潮気味の後者。そういえば、音楽監督のデプリーストってなぜかまだ聴いて無いんだよな(たいして通ってないじゃないか)。来年で退任(後任はインバル)らしいから、一度聴いておくか。そういえば、年末にやるインバルのマラ6は完売らしい、7番はまだ残席があるそうだが・・・どうする?