Wilhelm-Wilhelm Mk2

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ハザール

2007-10-18 | Weblog
 友人から頂いたアルハンブラ宮殿でのバレンボイム指揮による演奏会の映像を観た。プログラムに、ボッテジーニ作曲のバスとチェロによるダブルコンチェルト(モーゼ幻想曲)というものがあった。バス奏者は最近ベルリンフィルのトップになったクウェート人の若者なのだが、目もくらむようなハイテクニックと、歌い方の上手さに圧倒された。さすがである。メインはブラームスの1番だった。熱い演奏ではあるが、やはりこれも先日のバレンボイムと同じで、なぜか安っぽい。まあ、今日はバレンボイムの話をするために書いているのではない。書きたいのは、伴奏のオーケストラのほうだ。妙なことに、このオケは白人とアラブ人との半々の混成なのである。一体どういうオケなのか調べてみると、「ウェスト=イースタン・ディヴァン・オケ」という名前で、バレンボイムによって作られたアラブ各国とイスラエルの優秀な若手奏者による楽団ということだ。バレンボイムは、イスラエルでワーグナーを演奏したり、サイードと親交を深めたりと、イスラエル政府に意義を唱えているのは知っていたが、これもその一環だろうか。私個人としては、音楽を政治的な意図のために用いるのは反対なのだが、それで誰かが幸せになるのならそれも良いことだと思う。しかしアラブ側で西洋楽器を演奏している家庭なんてのは、貴族とか財閥系の子息たちばかりなのではなかろうか、あまり普通ののアラブ人の人には縁遠いことなのでは・・・とかあまりよろしくない妄想で勘ぐってしまった。

ここで少々微妙な話題をする。歴史を勉強していた時から疑問だったのだが、ユダヤ人って何で白人なんだろうか?。歴史的には、ユダヤ人はイスラエルの地を追われ、2000年近く流浪していた民ということになっている。だからこそ「シオニズム運動」でイスラエルへ帰還したということになっている。しかし、あの辺りの現地の人々は肌も浅黒く、決して白人ではない。リンクに貼ってあるが、あるサイトでその裏事情を知った時、驚愕した。なんとカスピ海北部に6世紀に出来たハザール帝国なる国があり、その国は国王自らの命令で国ごとユダヤ教に改宗したのだそうだ。そして、その帝国が崩壊後、ハザール人達はロシアー東欧へと流れ定住し、「東欧系ユダヤ人」として現在に至っていると言う。研究によると、世界の90%のユダヤ人はこの「タタール系」ハザール人を起源としているらしい。つまり、彼らにとってイスラエルの地は、遠い祖先の故郷でも何でもないということにある。ただ、ユダヤ人の定義がユダヤ教を信じるものであるということになると、ユダヤ教の聖地が故郷ということになるので理屈は通る。しかし、だからといって、すでに定住しているアラブの人々を追い出して建国する大義名分に値するのか私には疑問に感じる。勿論、同じように疑問に感じているユダヤ人の人々も多く、多くの研究書物はユダヤ人自らによるものだ。シオニズム運動の中でも、イスラエルの地のこだわらず人のいない広大な土地に移り住もうという案もあったそうだ。また、この教義さえ同じならみなユダヤ人というのも建前であり、イスラエル国内では白人優位主義が蔓延しており、黒人のユダヤ人やアジア系のユダヤ人は差別を受けているという。難しい問題だ。(続く)