Wilhelm-Wilhelm Mk2

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リュート歌曲集 John Dowland

2006-02-12 | Weblog
 新しい世界に踏み込みました。バッハよりもっと前の時代、エリザベス女王とシェークスピアが活躍していた頃の作曲家John Dowland (1562-1626)のリュート歌曲集を購入しました。日本人同士のデュオによるアルバム「Sorrow Stay」ですが、このアルバムを買ったきっかけは、フィリップ・ディックの傑作SF "Flow my tear, the policeman said."(『流れよわが涙、と警官は行った』早川書房)を読んだ際にその"Flow my tear"が有名なリュート歌曲であると知り、前から是非聴いてみたいと思っていたからです。ネットで調べるとこのアルバムの評価が高かったのでHMVから購入しました。アルバムにはDowlandの代表曲が15曲選ばれており、つま弾かれるリュートの素朴な響きとメゾソプラノの女性の声との重なりが何とも透明に澄み切っていて、そしてどことなくはかない感じで愁いに満ちていて、寝る前に暗い部屋で聴いて一日の心の垢を落としてもらいたい曲集です。バッハ以前にもこんなに素朴ながらロマンチックな曲があったのだなとひどく感心。アルバムの装丁も染絵がデザインに使われていたりして格調高い仕上がりになっています。純正調とかハーモニー、音が溶けあうというのを感じる力をつけるにはこういう音楽をたくさん聴くことも大事なのかなと思いました。日頃の実験で使う機械に「核磁気共鳴」というのがあるのだけど、この「共鳴」の考え方は音楽にも人生にも大事なのだなあと考えているこの頃。