無意識日記
宇多田光 word:i_
 



Hikaruが自ら「音楽をやろう」と初めて決断をしたのは、Hikaru曰く“大学を辞めた時”だったと。それまでは周囲からの依頼や家庭環境の中で必然的に音楽に携わる事になってきていたのを、生まれて初めて"自分で環境を選んだ"という事なのだろう。えぇっと、もう13~14年前の話になるのかな。

ここは、所謂"世間"とは価値観がズレる所だ。コロンビア大学といえば名門で、そこに入学したからにはというのが"一般常識"であり、そもそも大学休学や大学中退は誉められたものではない、というのが真っ先にくるようだ。どうも、ここらへんからヒカルと日本の大衆との間に"意識のズレ"みたいなものが出てきていたように思う。多分、"堂々と交際する為に結婚する"という意図も伝わっていなかったし、交際が終わったから離婚したというのも伝わっていないだろう。今私は私でちょっと端折り過ぎてるけれど。

それでも次々と大ヒットを飛ばし続けた…というか、真の意味で、バブルも消えていたのにヒット曲を連発した2001年以降の方が凄みがあった。ただ、シングルコレクションの発売を急いだあまりあそこで宇多田ヒカルの時代に一区切りがついてしまった感は否めない。


話が逸れた。そっちじゃなかった。もしHikaruが次に復帰するならば、それは大学を辞め(て音楽に集中しようと決断し)た時、人間活動宣言した時に次ぐ、Hikaruの人生の中で大きな決断になるだろうという事だ。正直、結婚と離婚と結婚についてはわからない。どちらから切り出したのかが判然としないし。なのでそれは置いておいて。


今思えば、"宣言"をして大学を辞めていたらどうなっていたか、ちょっと考えてみたくなる。点に書いてある通りの事を、あらたまった態度でMessageにしていたら。「大学を辞める事にしました。音楽に専念する為です。」と。うーん、確かに、入学してから日が浅すぎたかもな。実際、当時は大学を辞めたかどうか、ファンの間でも暫く議論になったほどだ。要はハッキリとした発表がなかったのである。UU06が終わった時に「あーこれから2年間休むのかー」と思っていたら新曲リリースペースが加速していったのと同様に、大学に入った頃も「あーこれで暫くは、まぁポツポツと新曲を出したりするかもしれないけど、アルバムやツアーは当分先かな」と一旦思ったのだ。それが2年連続オリジナル・アルバム発売(更にそこから結婚)である。嬉しい驚きだった。で、どちらのケースでも「あれれれれ? 休むんじゃなかったの?」と思ったのは、我々だけでなくHikaruもだった訳で、人間活動宣言は要するに「もうダラダラとせずにちゃんと言ってから動
こう」という事だったのだ。


となると、今年にもあるかと期待される(いや毎年期待してますねけどね)復活宣言もまた「これからこんな事します」というハッキリしたものになる筈である。そこにHikaruの"意志"があるかどうかだ。と同時にプロフェッショナルとしてオファーの存在は不可欠であり、ここからはバランスの勝負となる。

果たして、今年を逃して大丈夫か。知名度というのは10年でも20年でも維持できるものだが、オファーを出す方はリスクをより大きく抱える事になる。即ち、オファーはなくならないだろうがペースは落ちていくだろう。デビュー何周年とか節目の年は多少復活するだろうが。Hikaruにとっては、オファー密度の減少は、自分の望むタイミングでの復活を妨げる要因たりえる。

そこもまた"意志"の問題である。「注文が無いのに料理を作って道行く人に売り込む人」になる気があるのかどうか。プロフェッショナリズムのどの様態を"選ぶ"のか、だ。ぶっちゃけ、Hikaruに何のオファーがなくたって、レーベルに「アルバム作りたいんだけど」と言えば"待ってました!"となるし、梶さんの営業力をもってすればタイアップは確実に(楽に、ではないだろうが)決まる。物事の順序が入れ替わるだけだ。

しかし、音楽にとって重要なのはその"意志"の力である。大学を辞めてまで「やってやるぜ!」と打ち込んだ「DEEP RIVER」以降、Hikaruの音楽家としてのレベルは確実に上がった。まさに、"本当にやりたいことをやれている"状態だったのだ。次の復帰もそれがいちばん望ましい。更にここからレベルが上がるとか悪い冗談かと思うが、シンコレ2から桜流しに折れ線グラフを引くとどうしたってにんまりしてしまう。もうあとは、Hikaruが本当に「やりたい」と思ったタイミングを逃さない事だけだ。Hikaruにその気があるならば。


…今週ずっと、そういう話だったのだ。It's up to U, 総てはUtada Hikaru次第なのだと。明らか過ぎる程明らかだが、だからこそ極めて重要な論点なので、これだけ字数を割かせて貰った。後悔はしていない。Hikaruも後悔しないようにじっくり考えてあっさり決断して欲しい。

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ヒカルは「必ず戻ってくるから。」と約束してくれているのでそれはいいとして、では、具体的にどうやって戻ってくるのだろう?

ヒカルの場合、前回例に出したFlavor Of Lifeのように「休もうと思ってたのに、依頼が来て、受けちゃった」りする。活動を続けるか否かはオファーの有無に掛かってるといっても過言ではない。逆にいえば、オファーが無いのにヒカルが復帰する事は有り得ない。

昨年までメジャー・リーガーだった黒田博樹が広島カープに戻ってきたと今年は話題になっているが、それが可能だったのも、まず、広島側がダメ元でも何でもいいから毎年欠かさず黒田にオファーを送っていたからだ。幾ら黒田が自分のタイミングで広島に復帰したいと思っていても、オファーがなければどうしようもない。トライアウトとか入団テストとか、そういったものに応募するしか手段が無いだろう。それらは彼にとって現実的な選択肢ではなかった。

ヒカルの場合も同じで、どれだけ休業が長くても仕事のオファーが来続けているから復帰時期を"選べる"のである。今は、来続けているオファーを総て断っている状態である。

一度だけ例外があって、それが桜流しなのだが、その時は一切顔写真を使わない、取材も受けないというスタンスで未復帰である事を印象づけた。

極端な話、これからもずっとこの方法で行く事も可能である。一曲作っては本人の露出なしに売りまた引っ込む。ずっとこれの繰り返しでも破綻は確かに、ない。

一方で、現実には「必ず戻ってくる」約束があるんだから、どこかで顔を出してくるだろうが、問題は、いつまでオファーが"ひっきりなし"でいるか、だ。各タイアップ先は勿論宇多田ヒカルの知名度をアテにしてくる訳で、その点は5年経とうが10年経とうが大して変わりはないだろうが、旬であるかどうかとなると別である。果たして、それでもオファーは来るのかな?

で、ここで「マスメディアの情報淘汰不全」の話が出てくるのだが、まぁここでは省略しようか。話が(更に)長くなる。


それらとは全く別に、ヒカルが「新曲作る!出す!」と自ら言ってくれば、これは本当に新しい展開となるだろう。そして仮にそうなった時に、どのような方法でプロモーションをするのか、その点もまた懸念材料となる。過去にそんな例がひとつあって(他にもあったかどうかはわからない)、それが「ぼくはくま」なのだが、インタビュー等を総合すると、どこにも明言されていないが、ヒカル側からNHKにアプローチしたとも思える話が散見される。あの曲くらい本人が気に入っていればそういう可能性もあるという事だが…今はただひたすら待ちましょうか。

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