高橋源一郎「さようなら、ギャングたち」読了
本書は1997年に講談社文芸文庫より発刊されたものです。初出は1981年といいますから、今からおよそ40年前に書かれた小説ということになります。
しかしすごいですね、これは。っていうか、ブローディガンの影響をまともに受けていると感じるのは私だけでしょうか。それほどブローディガンを読んだときのインパクトと同等のものを受けました。目指すものは全く違うと思うんですが。
かなりポップなタッチで書かれた断章の積み重なりでできた作品なんですが、最初はこれをどう受け止めたらよいものやら少し戸惑いましたが、読み進むにつれ、これはこの世界を楽しめばいいんだと思い、そして充分楽しませてもらいました。
詩人の「わたし」と恋人の「S・B(ソング・ブック)」と猫の「ヘンリー4世」の二人と一匹が繰り広げる数々の出来事が綴られていくんですが、読んでいて思ったのはこの小説は「死」という概念が一般的に自分達が思うものとは少しずれたところにあるということ。「わたし」と「S・B」の間にキャラウェイという女の子が生まれるんですが、その子が幼いうちに亡くなってしまうんです。しかし、死んでもまだお話ができるという不思議。
また、途中にギャングたちが出てくるんですが、その中の一人、「美しいギャング」がナイフを自分の体に突き刺し、心臓を取り出して放り投げる場面があって、「あれえ?まだ胸の中がドキドキしてらあ」と言わせるシーン。
死に対する概念をくつがえし、読み手に登場人物の死に感傷的にさせないような企みをしているかのようです。もしそうであるとするならば、そういった意味でもかなり斬新な作品といえるのでは」ないでしょうか。
しかし、こういったアヴァンギャルドなやつを読むと楽しいですね。こういうの、好きです。
てなわけで次もそんなようなテイストのやつをいってみたいと思っております。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます