稲葉真弓「海松(みる)」読了
以前、中日新聞の書評で絶賛していたので手に取ってみました。
一読して、「うーん…そんなに?」っていうのが素直な感想です。ちょっと井上荒野に雰囲気が似てなくもないんですが、荒野をもうちょっとインテリっぽくして、融通きかなくした感じかな?(わかりずらいっすね 笑)
でも、文章の表現力は卓抜したものがあります。例えばこんな文章。
「遠いところで銅鑼が鳴らされる音がして、森のざわめきが風に乗って運ばれてくる。きっとなにかが罠にかかったのだと女は思う。思いながら、突っ立ったまま自分を見下ろしている男の腕を、きつく自分の体に引き寄せた。ざらついた音を立てて網籠が崩れ、女は板の隙間から上がってくる濃い潮のにおいを嗅ぐ。男の手が女の素足をつかむ。無言の均衡が破れ、やがて女は声を上げる。自分も罠の底に横たわる動物のように思う。もがきつつ男にしがみつく。動物の視線で見上げる夜の空は深く、同時に、沈んでいく体は明るいのだった。」
なんか、ぞくぞくします(笑)まぁ、この文章のうまさで川端康成文学賞を受賞したんでしょうが、僕にはちょっと合わなかったかなぁ…うまいんですがね。
以前、中日新聞の書評で絶賛していたので手に取ってみました。
一読して、「うーん…そんなに?」っていうのが素直な感想です。ちょっと井上荒野に雰囲気が似てなくもないんですが、荒野をもうちょっとインテリっぽくして、融通きかなくした感じかな?(わかりずらいっすね 笑)
でも、文章の表現力は卓抜したものがあります。例えばこんな文章。
「遠いところで銅鑼が鳴らされる音がして、森のざわめきが風に乗って運ばれてくる。きっとなにかが罠にかかったのだと女は思う。思いながら、突っ立ったまま自分を見下ろしている男の腕を、きつく自分の体に引き寄せた。ざらついた音を立てて網籠が崩れ、女は板の隙間から上がってくる濃い潮のにおいを嗅ぐ。男の手が女の素足をつかむ。無言の均衡が破れ、やがて女は声を上げる。自分も罠の底に横たわる動物のように思う。もがきつつ男にしがみつく。動物の視線で見上げる夜の空は深く、同時に、沈んでいく体は明るいのだった。」
なんか、ぞくぞくします(笑)まぁ、この文章のうまさで川端康成文学賞を受賞したんでしょうが、僕にはちょっと合わなかったかなぁ…うまいんですがね。
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