車谷長吉「武蔵丸」読了
しつこくも車谷であります。
表題作を含む6編の短編集。ちなみに武蔵丸とは著者が飼っていたかぶと虫の名前です。
相変わらずの私小説です。半分以上は事実でしょう。ただ、晩年の志賀直哉のような、ただ身辺雑記のような文章で、随筆との境目がないようなものとは、かなり趣きを異にしています。自分の内に潜む暗いものを白日のもとに曝け出すことでしか自分を表現できない、哀しい男の情念を強く感じます。
表題作の「武蔵丸」(川端康成文学賞受賞作)もなかなか読ませる小説でしたが、逆木大三郎という、新左翼くずれの男とのつかずはなれずの交際を描いた「一番寒い場所」という作品が印象に残りました。昭和40年台前半の、まだ若者が右翼だの左翼だの革命だの、ニーチェだのマルクスだのと真剣に論じ合っていた熱い時代の空気が、車谷の筆で見事に活写されています。
「車谷長吉の心象風景の旅」シリーズ(勝手に名前つけてるし)、ここらでひとまず終了と致します。
ふぅ…つかれたぁ
しつこくも車谷であります。
表題作を含む6編の短編集。ちなみに武蔵丸とは著者が飼っていたかぶと虫の名前です。
相変わらずの私小説です。半分以上は事実でしょう。ただ、晩年の志賀直哉のような、ただ身辺雑記のような文章で、随筆との境目がないようなものとは、かなり趣きを異にしています。自分の内に潜む暗いものを白日のもとに曝け出すことでしか自分を表現できない、哀しい男の情念を強く感じます。
表題作の「武蔵丸」(川端康成文学賞受賞作)もなかなか読ませる小説でしたが、逆木大三郎という、新左翼くずれの男とのつかずはなれずの交際を描いた「一番寒い場所」という作品が印象に残りました。昭和40年台前半の、まだ若者が右翼だの左翼だの革命だの、ニーチェだのマルクスだのと真剣に論じ合っていた熱い時代の空気が、車谷の筆で見事に活写されています。
「車谷長吉の心象風景の旅」シリーズ(勝手に名前つけてるし)、ここらでひとまず終了と致します。
ふぅ…つかれたぁ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます