昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

運が悪いことから全てが始まった(67)貿易会社(25)

2013-12-19 04:34:14 | 小説、運が悪いことから全てが始まった
「何となく危険な物件だというのはみんな感じていたんだ。・・・おそらく内部告発があったんだろうな」
「内部告発?」
「でなきゃ警察だって調べようがないんだ」
 大崎はボクを見て、そうだろうがという顔をした。
「誰が垂れ込んだんですかね?」
「岩田さんと仲の悪い奴だよ」
 大崎は室内を見回して言った。
 あちこちで仕事にならない連中がかたまりを作ってしゃべっている。

「誰なんですかね・・・」
 ボクも辺りを見回し、大崎に訊いてみた。
「そんなこと自分で想像してみろよ!」
 中野学校出身の彼は軽蔑したようにボクを見ると、その場を去って行った。
 ・・・機械2課の高木課長かも・・・
 課長が専務室(当時は常務室だったが・・・)で岩田としゃべっているのを見たことがある。
 
 常務室は営業部に隣接していて、ガラス戸越しに営業部を見渡せるようになっている。
 常務の要求で仕切り壁を取り払ってガラス張りに張り替えたのだ。
 ワンマン常務と対等にしゃべれるのが高木課長だ。
 年齢が同じだと聞いたことがある。
 課長は常務の座っているデスクに腰を乗せて何かいちゃもんをつけるようにしゃべっていたのを見たことがある。
 頭越しに部下を叱咤する常務も、高木課長だけは苦手にしているようだった。

 ・・・社内から常務を告発するとすれば高木課長しか考えられない。

 ─続く─

 テレビ東京に<YOUは何しに日本へ>という番組がある。
 先日ポーランドから来た男に密着取材していた。
 
 日本の歴史に関心があり、今回は古戦場めぐりに来たのだという。
 以前、かの有名なCIAのメンバーも修行に訪れることがあるという<武神館>で修業したことがあるとのことで、早速忍者スタイルに変身。
 
 伊賀、甲賀や戸隠の里を訪れる一方、古戦場を求めて、川中島、そしてついには夜を徹して山中を登り、高台から早朝の関ヶ原の古戦場の絶景を眺め感激していた。
 
 
 
 世界にはこんな<やる男>がいるんだ。