昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

運が悪いことから全てが始まった(56)貿易会社(14)

2013-12-04 03:41:52 | 小説、運が悪いことから全てが始まった
「天下のM造船の係長さんだもんな。反発するわけにはいかないし・・・」
 佐賀係長はへへへと媚びたように笑った。
「接待麻雀なんだから・・・」
 高木課長がつぶやいた。
 
「接待麻雀って負けるようにしなきゃいかないんでしょう?」
 ボクは訊いてみた。
「負けるのが見え見えの打ち方はかえってお客さんに失礼よ!」
 ママがタバコをふーっとふかして口をはさんだ。

「だって、相手は麻雀という勝負事が好きなんでしょう? 手を抜いていることが分かったら楽しくないでしょう!」
「ママの言う通りだ。真剣に打つ! しかし相手があまり負けないように気を使うってことだな・・・」
 大崎さんがボルシチの肉を口にいれながら言った。
「だけど仲間内でやるときは上司といえども遠慮しちゃダメよ!」
 ママがボクを見つめて言った。

「落合さんは修繕船課の係長さんておっしゃいましたよね? 修繕なんて仕事があるんですか?」
 
 ボクは話題を変えた。
「あるさ、けっこうおいしい仕事なんだ。このボルシチみたいにいろんなものが入っていてね・・・」
 大崎さんがマダムを見てにやっと笑った。
「細かい仕事の積み重ねだけど、定価があるわけじゃないし、支払いも延払いじゃなくて現金で振り込まれるし・・・」
「スペックヲホンヤクシテタラ、ベッドトカ、ナベナンテノモアッタヨ!」
 とつぜんテーブル席からだみ声の日本語が大崎さんをフォローした。
 カラリヨフさんだ。
 翻訳を仕事にしているが、しゃべるのはあまり得意ではないようだ。

「いろんなお仕事があって楽しいわね」
 マダムがぼくにウインクをとばしてきた。
「このボルシチおいしいですね」
「でしょう? たくさん作るからおいしいのよ!」
 ボクはシチューの中のジャガイモみたいにハザマトレーディングの一員として溶け込んだ幸せを感じた。

「司くん、いる!」
 スイングドアがばーっと開いて永野の顔がのぞいた。

 ─続く─

 昨日はコメダ珈琲店で友人ふたりと月2回の雑談会を楽しんだ。
 医療のことや時局の話をコーヒー一杯で2時間半。
 ここではゆったりとした時間を提供してくれる。
 「うまい、はやい、やすい」でおなじみの吉野家で「ごゆっくり」を楽しんでいただける「牛すき鍋」と「牛ちげ鍋」がコンロにのせて提供されるそうだ。
 
 回転すしのくら寿司ではこだわりのコーヒーや食後のスイーツなどデザートも回ってくるという。
 
 「ごゆっくりサービス」の新しい流れがきている。