たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

習慣と論理を…

2013-12-27 02:59:54 | Weblog
 自分が過ごしてしまった履歴や習慣を無理矢理に正当化しながら生きていくことはツライ。
 誤魔化し続けることで隠れていた現実を、俺はきっと、容赦なく明るみにさせてしまっている。そう、俺に対して、権威やノリや体裁よく取り繕うことで、隠し通せると思ったら、大間違いだ。

 『ねぇねぇ、この問題、すごく早く解けたんだね。僕まだわからないから、教えてよ。』
 ≪え?≫
 『だって、ほら、みんなのなかで一番早く答えがわかってたじゃん。』
 ≪そうだっけ??≫
 『まぁ、いいや。ところでさ、さっき授業のとき、服の中に、何隠してたの?』
 ≪えー、私、何も隠してないよー。ほらー。何もないでしょ?≫
 『…。今はね。』

 11歳の頃の俺は、正義感の塊みたいな暑苦しい鎧がとれかかっていて、誤魔化そうとしてる相手にオフェンスすることが楽しくなっていた。
 中学受験の算数は、やたら難しい。おそらく、暗記や慣れを一切無くして、純粋な思考力だけでいえば、大学受験数学の標準問題くらいは、ごろごろ出る。そりゃ、授業中に、解答のひとつでも見たくなる。そして、それを先生にバレないように常備したくもなるわな。

 【これ、全然わかりません。こっからどうすんの?】
 『あ?じゃぁ、さっさと、解答見ろよ。』
 【えー、したらマルつけにくいじゃないですか。】
 『数学や理科は、、いや、ホントは全部の学問そうなんだけど、きちんと理解して、心からそれらを納得することが一番大事なのね。だから、あってるとか間違ってるとか、自力でどこまでできたとか、本来どうでもいいの。』
 【でも、マルとかバツとかつけにくいじゃん。】
 『マルバツつけることがあなたに託されているんだったら、自分が納得したら、マルすればイイだけの話でしょ。もう高校生なんだから、俺や他の誰かや解答集がマルバツを判断するんじゃなくて、自分で好きなタイミングで解答みな。んで、納得できないなら、いつでも、俺に助けを求めろ。』

 誰の評価基準でもなく、自分が納得したなら、それで良いじゃん。こういうスタイルこそが、研究に必要だと思っている。
 実証しようが、論理で考究しようが、判定基準は自分であり、自分(たち)が納得したものを、公の場に持っていけばイイ。誰かが認めないからとか、類似の他の研究ではこうやってるからとか、そんなこたー、一切関係ない。

 自然科学のなかで、物理学だけは、ニュートン力学から脈々と続いている論理のバトンが最前線の現代物理学にまで届いている。これほどの精緻な論理体系を、俺は、他の分野(化学、生物学)の、切手集めでしかない、枚挙主義と同一の価値としては扱えない。
 それを否定する人間のほとんどが、ただ自らが数式を理解できないことに起因している。そして、物理学のことを、「細かい」とか「定量的な」とか「一般大衆にわかりにくい」とか、勝手なイメージで話し始める。

 習慣を排除して考えられない、履歴を無視できない、自らの歩いてきた道を肯定せざるをえない。なんと、悲しいことよ。

 俺もそうなのか?物理学科出身だから、単なるヒトの脳の産物でしかない論理的思考を、物理学によって高めることができたから、だから、物理学を無視できない??
 いやいや、だって今や俺は物理から所属を距離を置いている。習慣からは脱しているさ。

 習慣による問題は他にある。
 好きな人を選ぶとき、そこに想いを馳せるとき、習慣から解離させることが大切だと思い続けている。今まで好きって選び続けてきたからこれからもずっと好き、なんて幻想でしかなく、きちんと現実を観ながら、自分の気持ちを確認しなきゃね。

 俺は、それこそがホンモノだと考える習慣そのものに、囚われているのかもしれない。
 数式を追うことができない人が物理学を無価値なモノだと不当に扱うように、何かを自らで選びとる勇気が無いことを、習慣に依らないことをホンモノだと決めつけて、ただ隠しているだけなのかもしれない。

 考えることを習慣にしてきて、実を伴う論理が必要になる分野を選び続けている。そして、その即物的な目標を達成する過程で、さらなる思考力を得てゆきたい、本来の理由を忘れては、研究者の卵としても、人としても、徳が高くないぜ?

 「お前がずっとしていたことは、カンニングと一緒だぞ!!」
 ≪ごめんなさい。≫

 っと泣いている姿を横目に、11歳の俺は自分がトリガーになっていることに気がついていた。
 『…でも、その先、、受かって欲しいもん。』

 系をより良くするために、思考力を身につけていく。より良い方法を常に考えられることが習慣となるように。
 それだけは、いつも忘れないでいたい。
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