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【FRB、引き締めできず、口先だけ…】超~理解できるFRBの政策スタンス③

2021-07-07 20:42:15 | アメリカ
前回からの続き)

 本稿では、米不動産価格の、とりわけ昨春以降の急上昇ぶりにローレンス・サマーズ元米財務長官がコワい(scary)と戦慄し、それでもなおFRBが超緩和的な金融政策の一環で(不動産価格をいっそう押し上げる方向に作用する)MBS(不動産担保証券)の購入を続けることに「理解できない」と語ったことについて思うところを綴っていますが、FRBのこの政策スタンスは超~理解できる・・・どころか、さらに拡大するべきだ、ともいえるわけです。米経済は、この間の上記価格のスゴい上昇幅とかを前提に回っているわけで、これがちょっとでも下がったりしたら、たちまち消費が急落して景気が悪化し、不良債権が急増して・・・といった経済・金融危機に陥りかねません。なので、この前提を揺るがすようなこと、すなわちMBS購入額縮小みたいなことはFRBにはできません・・・ってことは理解してあげないとね・・・

 このあたりは、たとえば2017年のこちらの記事を含め、本ブログではもうずいぶん前から指摘していることではありますが、ということは遅くとも4年前の春にはとっくに手遅れになっていた、つまりFRBは、それよりかなり前から金融緩和しかできず、逆の金融引き締めはできなくなっていたことになるわけです。以前から書いているように、緩和・引き締めが臨機応変にできてはじめて中央銀行といえるわけですが、前者、すなわちマネーのバラマキしかできなくなってしまったらもはやそれは中銀≒インフレファイターではありません。その先に待つのは、歴史は繰り返す、のとおり制御不能のインフレだからです。

 とまあ、そのあたりはFRBも分かってはいるでしょう。でも実際には上記のとおりFRBにはインフレ抑制には動けない。そうなると、それでも中銀か?みたいな批判的な見方が広がって最悪、FRBは中銀としての特権「通貨発行権」を(米連邦政府に?)奪われかねません(?)。それではマズい、ということでFRBは金融引き締めに踏み切る・・・っても口先だけ、ってな策を講じるわけです。つまり「近々テーパリング(緩和縮小)するからね」などということで、FRBとしては、自身に緩和・引き締めの双方向の政策運営ができるかのように市場に思わせる・・・とともに、上記不動産価格そして株だのジャンク債だのといったリスク資産の急騰の勢いを少しでも抑制したい、という狙いです。このあたり、最近の報道によると、FRBのジェローム・パウエル議長がテーパリングについて今後のFRBの政策会合で検証していく意向を示したほか、FRB当局者は、これまでの想定よりも早く、2023年に2回の利上げの可能性があると語ったとのこと・・・

 ・・・って、これ、しょせん「口先」でしょう。上記によれば引き締めは2年「も」先です。ということは、市場はリスク投資を手控える・・・どころか、あと2年「も」できる!と解釈して緩和マネーの借金でリスク投資にまい進するでしょう。そして2年後、資産・借金バブルは、すでに超バブリーな現状と比べようのないくらいのメガスケールに膨張し、これを破裂させるわけにはいかないから、やはり引き締め不可能、となるのがオチと思われます(?)。

 こちらの記事で4年「も」前に、上記をFRBの「口先利上げ」と名付けて書きましたが、そのとおり口先だけで、この間、利上げは実質的にできなかった・・・どころかその逆にFRBは現在、さらなる緩和(実質マイナス金利誘導)を進めているような有様です。そしてこの4年間の不動産価格の上昇率は30%を優に上回っています(約32%、S&P/Case-Shiller U.S. National Price Index)・・・

 ということで、FRBにできるのは口先引き締めだけで、実際には金融引き締めはしない、というより、できない、ということになりそうです・・・

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