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【ドイツ長期金利、世界最低の理由と異様さ】欧州もまた分断と混とんに向かう③

2020-12-21 00:02:54 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述した事情から、欧州中央銀行(ECB)は、現行の「パンデミック緊急購入プログラム」(PEPP)という名の(って、コロナ禍が収束した後も名前を変えて)量的緩和策を拡大し続けるしかないわけですが、そのせいでEU諸国の国債利回りがどんどん下がってきています。ちなみに先週末(18日)時点の10年物国債利回り(長期金利)は、独-0.576%、蘭-0.497%、仏-0.335%、西0.042%、伊0.531%、ギリシャ0.649%となっています(なお、以前から本ブログで指摘している「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」(国債価格の高い順=国債利回りの小さい順)の序列は引き続き保たれている)。

 で、上記の金利ですが・・・同日のアメリカの長期金利が0.945%ですから、何と!?あの(?)ギリシャ国債の利回りのほうがアメリカのそれよりも低いという、誰がどう見ても異常な状況となっています。これ、上記PEPPのもとでECBによるギリシャ債券の大量購入・・・が予想されるため、多くの投資家が、独仏などよりも相対的に価格上昇幅が大きいと見込まれる同国債に買い向かったことの反映でしょう。同じことはスペインやイタリアの債券にもいえるはず・・・

 このように、以前から重い対外債務に苦しみ、かつコロナ禍のダメージも大きく、本来の市場メカニズムのもとなら国債金利が急騰し、そのために増税やら年金カットやら行政改革等を断行しなければならないはずの南欧諸国が・・・難なく財政資金をゲットできているわけです、アメリカ以上にユル~い(?)事実上の「財政ファイナンス」(ECBによる国債の直接引き受け)で。となれば、かの国々がもはやこの「麻薬」(ECBの超低金利な量的緩和マネー)を断つことは絶対に無理でしょう(?)。

 なお、PEPPは、ドイツなどの(上記不等式で「フランス」以上の)国々にも中長期的には悪影響を及ぼすと考えています。上記のようにドイツの長期金利はマイナス0.576%ですが、これ現時点の世界最低値です。日本(プラス0.009%)はもちろんスイス(マイナス0.526%)よりもさらに低い水準です。これもまたPEPPのせいでしょう。つまり、ECBはイタリアやスペイン等の国債等をどんどん買い入れるわけですが、前述したキャピタル・キー(ECBに対するEU各国の出資比率)を維持しなければならない関係から、同出資比率がいちばん大きなドイツ(26.4%)や2番目のフランス(20.4%)等のそれらも、本来ならばその必要がないにもかかわらず同時並行的に購入せざるを得ず、その結果、独仏等の金利もまた実力以上に下がりすぎてしまうことになるわけです。これが上記のように今後、長期間にわたって行われたら、フランス等はもちろん、EU最強の(支払い能力を有する)ドイツでさえ・・・緩和マネーの「麻薬」効果にハマってしまい(異様なほどの低コストで財政資金が調達できてしまう金融環境になじんでしまい)、アフターコロナの金融正常化すべき局面での「禁断症状」(金利上昇)に対する耐性を失っていってしまうでしょう・・・(?)

 そんなこんなで、EU各国の国債利回りは現在、この10年間で最低レベルにあるわけです。そのあたり、まあ日本アメリカも似たような状況ではあるものの、上記ギリシャの長期金利が象徴するように、その不自然さは日米を上回るほどといってもいいでしょう。ということは、これを無理やり演出しているECBの量的緩和策の行き着く先は・・・すでに指摘しているとおり、やはり制御不能のインフレ以外に考えにくいところです・・・(?)

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