スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

読者の位置&2回目の接種

2022-03-04 19:08:18 | 歌・小説
 『漱石と三人の読者』の中で,漱石が三人目の読者,漱石からみれば顔が見えないような読者のことを意識し始めたのは,漱石が朝日新聞に入社して小説を書くようになってからだという主旨のことを石原はいっています。少なくとも新聞社に入社しなければ,この種の読者の存在に気が付くということはない筈ですから,これは当然といえば当然です。ただし,新聞小説を書くようになれば,この種の読者が存在するということに必ず気付くというわけではありませんから,漱石にはそうした存在を察する力があったということはいえるでしょう。
                                        
 この種の読者の存在に気が付くようになって,漱石は小説の書き方を変えたと石原はいっています。それは,小説の中に読者の位置といえるものを置くようになったということです。石原によればそれは,『三四郎』以降の小説に顕著な傾向で,とくに新しい女といわれるような登場人物に対して,読者の位置を確保することに漱石は意識的になったと指摘しています。
 この読者の位置というのは,主人公の死角とでもいうような位置のことを意味します。小説というのをひとつの物語としてみれば,主人公を中心に展開していくことになります。しかし主人公が知り得ないようなこと,あるいは主人公が実際にはなさなかったことなどは,主人公を中心として物語を展開してしまうと,小説の中に組み込むことができません。しかし,もしもこのときに主人公,たとえばAの身に,このときにもしもこうしたことが生じたら,Aはこのようにしたであろうというような文章は,小説の中に組み込むことができます。これがAの死角となる位置であり,同時に読者の位置でもあります。なぜならそのようなことは,Aには実際には生じなかったというだけでなく,Aには知り得なかったことでもあるからです。Aは自身には起こらなかったことが起きたとき,どうしていたかは確実に知りようがありません。
 『三四郎』の場合,三四郎には美禰子の内面が見えていなかったということを語り手が語る部分がいくつか含まれています。それは主人公の三四郎の死角であり,三四郎の死角であるがゆえに読者の特権的な位置なのです。

 8月4日,水曜日。新型コロナウイルスのワクチンの2度目の接種の日でした。会場や,会場内での手順などについては,1度目と同じですからここでは割愛します。ただこの日は全体的に1回目より早く進捗しましたので,予約した午後2時より,5分ほど早く接種を終えることができました。この日もウォーキングを兼ねて徒歩で会場まで行き,帰りはバスを使いました。帰途に弁当を購入して夕食としたのも1回目と同様です。
 1度目のときは注射した当日の夕食前の血糖値が高騰するという身体的反応がったのですが,この日はそれはありませんでした。むしろ75㎎/㎗と,低くなっていました。この程度の血糖値であれば身体に大きな影響はありませんが,80㎎/㎗未満は低血糖とされていますので,これは低血糖の範疇に入れられることになります。入れられることになるというのは,血糖値測定器が自動的にそう判断するということであり,通院の日のサマリーの低血糖に含まれるという意味です。なお,現時点で使用中の測定器は,79㎎/㎗以下の値が計測されると,警告音のようなブザーが鳴り,医師の指示に従ってください,という文字が出るようになっています。就寝前も150㎎/㎗でしたから,正常値よりは高いとはいえ,問題があるような数値ではありません。接種部位の痛み,これは前にもいったように,僕が実際に痛みを感じたのは接種した肩に近い部位よりは,もう少し下の,より肘に近い部分ですが,この痛みはこの日の夜からありました。夜というのは,ベッドに入ってからという意味で,横になっているときの方が痛みを感じる頻度が多くなるのです。なお,2日に薬局で入手することができなかったヒューマログというインスリンは,この日の午後8時40分に配達されました。
 8月5日,木曜日。この日の朝食前の血糖値は216㎎/㎗と,上昇していました。これは副反応の出始めです。昼食前には336㎎/㎗と高騰していました。事前にいわれていたように,やはり2度目の接種の副反応は,接種した翌日がピークになるようです。このときには発熱しているという感じもありましたので,計測すると,38.5℃でした。
コメント (2)
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