小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

かれーな印度カレーを召し上かれー、続きをUPします!

2014-10-22 09:20:38 | Weblog

本日もネタなしなので、医食同源「かれーな印度カレーを召し上かれー」をUP・・・というワケでもありません。これって、トップページのリンクや過去に使われた写真やイラストをはめてく作業など、わりと手間がかかるのですよ。

最近は外食に行くと、必ず出されたお皿の写真を撮るのでみなさまからウザがられますが、クライアントに食の関係が多いことで、ご了承していただいてます。

こちら「医食同源」のソースも、ずっとお蔵入りになっていたものですが、300話前後あるエピソードをUPしないのはもったいないというもの。独自にhpに作っても良いのですが、それよりは露出が大きいブログで発表して、まとめた方が効率よかろうということで、このような形で再生いたしました。

どうぞ、みなさま。末永いお付き合いを♪

 

かれーな印度カレーを召し上かれー・5
インドにはカレーは存在する? しない?

掲載日:2005年10月12日

 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

いやはやまったく・・・先日バリ島で起こったテロには、驚きとともに怒りがわいてくるぜ! 世の中、あんなことを許す神さまがいる筈はねえもんで、一刻も早く、卑劣きわまりない首謀者の割り出しを願うとともに、テロの犠牲になった方々のご冥福を祈るほかはない。

先日もエビの買い付けと養殖場の管理に、インドへ行ってきたんだが、イスラム教徒の取り引き先が、2001年の9月11日以降、商売がやりにくくなったとこぼしていた。真面目に働いてるムスリムのみなさんには、どうにも気の毒な話で――特に欧米人の中にはイスラム教徒だというだけで、商売を控えるそうで、まったくもってテロリズムの根絶を願うばかりだ。

さて、こちとらゲンさんはテロなどに負けず、世界中の食材をかき集めている。

先日は、早々お正月向けお試し企画として、数の子各種一挙ご紹介キャンペーンを行ったところ、こいつが大好評だった。お客さんがたも、連休が過ぎて次の休日や年末の準備に余念がないだろうが、今後のスイサンドンヤ・ドットコムさんのキャンペーンにぜひとも注目していただきてえもんだよ!

 インドの洋食シズラーはいかが?

 さて、今回の「かれーな印度カレーを召し上かれー」。いよいよ5回目にして、ようやくカレーの本場、インド亜大陸に上陸だ。

あっしも商売がら、何度かムンバイ(旧ボンベイ)あたりを訪れるんだが、この辺は行くたびに大きく変化しつつある。こないだもインドに行ってきて、町の様子ばかりじゃなくインド料理自体が大きく変化しつつあるのに、あらためて驚いた次第だ。

昔からインドの訪問者が閉口する原因には、暑さやしつこい物売りばかりじゃなく、食べるものがカレー以外に見当たらないことがあった。

なんせ、どこに行っても香辛料がイヤというほど効いたカレー、カレー、カレー!

そりゃあ、本格インドカレーは美味しいが、さすがに毎日となると日本人にはキツいものがある。ましてや、腹をこわした時にカレーとなると、ちょっとねえ・・・。中華に逃げようと思っても、それも辛くてスパイシーとくれば食べるものがない。

つい4~5年前までのインドは、そんな状況だった。ところが、ここ数年――大都市に限っていえば状況が変わりつつあり、カレー以外に食べる物の選択肢が増えてきた。

その中でもおすすめはシズラー(※1)と呼ばれる鉄板焼ステーキだ。こいつは、ムンバイを中心にしたインド大都市の高級店で人気のメニューだ。

一般的なインド人はビーフもポークも食べないので、使われる肉はチキンが主流。肉だけでなく付け合わせの野菜も豊富で、食べる直前ジューッと鉄板から煙をたてる演出が、実に食欲をそそる。

シズラーはまったく辛くないので、インドの子供も大好き。日本でいえばハンバーグステーキみたいなもんで、いわばあちらの洋食さね。そんなワケで、シズラー料理は大都市に住む中産階級以上の富裕層が、家族で外食を楽しむ時の定番料理となっている。まあこの国の食も、徐々に変わりつつある。インドもずいぶん居やすくなったもんだよ。

加えて言うと、マズくて仕方なかったミネラル・ウォーターがおいしくなったのも、時代の変化だろう。種類も増えたし、昔は仕方なしに飲んでいた国産ものも、格段に味が良くなった。やはり、失礼ながらインド人も美味しい水の方が好きってワケだね。

※1 ”Sizzler”は肉汁がジュージューする、といった意味。あ

 

インドにはカレーは存在する? しない?

「インドにカレーライスは存在しない」

「インド料理にはカレーしかない」

お客さんの中で、こんな矛盾した2つの噂を聞いたことがないかな?

なんだい、ゲンさん。どっちだかハッキリしておくれよ、ってかい。だが、こいつは言葉が足りないだけで、どちらもある意味で本当の話なんだ。

前回までお話したように、日本の「カレーライス」ってえのは、イギリス経由でやってきたもので、インドのそれとはかなり異なったシロモノだ。

よく言われるカレーのジョークに、インド人に日本のカレーライスを食べさせたところ、

「美味しい日本料理ですね。何という名前ですか」と聞かれた、なんて話がある。

多分これは作り話だろうけど、それくらいカレーライスとインドカレーは違ったものなんだ(どう違うかは、後でお話いたしやしょう)。

ともかくもカレーの文字、上下どちらかに「ライス」がついたら別の食い物になるって意味で、「インドにカレーライスは存在しない」というわけさね。

一方「インド料理にはカレーしかない」だが、これはビジターがそう感じるだけの話だ。日本料理が味噌や醤油で味つけするように、インド料理はスパイスと塩によって味つけと香りづけをする。

つまりカレーというのは、日本料理における味噌や醤油にあたるものだ。たとえば茄子の炒め物やチキンの煮込み、豆のスープなど・・・それがスパイスを効かせたインドの味で出されてくる、と思っていただけば良いだろう。

外国人が日本料理をみな茶色っぽく感じるように、慣れてない人にとってはインド料理はカレーしかない、と思ってしまうわけだ。

どう違う? カレーライスとインドカレー

 日本のカレーライスは、海軍のまかない料理として発達した経緯から、一皿がオールインワンになっている。つまり、肉と何種類かの野菜、それを米を一緒に食べるため、カレーライス一皿で完全食品になる。手早く食えて、栄養も十分摂れるというわけだ。

それに対してインドのカレーは、1種類の主菜を中心に料理が組み立てられる(多くて2種類)。肉にせよ野菜にせよ、その食材に最適なスパイスを調合するためだ。

たとえばマトン、あるいはマトンのレバーのようにクセのある食材の場合には、香りの強いクローヴやカルダモン、シナモンなどを十分効かせる、といった塩梅に、材料に合わせてスパイスの種類や分量を加減するのさ。

その場合、あくまでマトンを主役にした調合で、それ以外の食材――たとえばジャガイモなどを丸のまま一緒に入れてしまうと、どうしても全体のバランスがわるくなる。メインの食材は1種類の方が持ち味がより生かされるというワケだ。

他の食材においても同様で、日本のカレーのように何種類もの肉や野菜を、丸のまま一緒に入れることはない。インドカレーはメインの主菜以外に、サラッとしたカレースープ以外入っていない。そいつをご飯やチャパティ、ナンといったインドのパンと一緒に食べるんだ。

日本のカレーに比べて、一皿における栄養バランスは若干バラつきはあるが、何種類かの小皿をとれば問題ない。おまけにスパイスってえのは漢方の材料だからな~。こいつは体に良いことはもちろんで・・・以前にも話したように、そのおかげかインドの胃ガン発生率は世界でいちばん低いとも言われているのさ。

インド文化はマサラ文化でい!

 インド映画のことを俗にマサラ・ムービーなんて呼び方をするが、マサラ(※2)ってえのはもちろん香辛料のことだ。インド料理はそれを抜きにして、考えることはできない。

マサラ――つまりスパイスを定義するとしたら、こんな風になる。

熱帯から亜熱帯、温帯の植物の種子、果実、花、蕾、葉、茎、木の皮、根っこなどを用いた薬味にあたるもの。その中で香りや刺激があり、風味づけや着色、食欲増進、消化吸収効果のあるものの総称、てな具合かな。

ハーブというのは、その中で葉っぱと茎を使った香草類と考えていただけば良いだろう。

カレーはもちろん、さまざまな総菜やスナック、お菓子に至るまで、インド料理はマサラを中心に組み立てられている。

インドの古代医学アーユルヴェーダでも、スパイスは切り離せない存在で、いわば健康の秘薬ともいえる存在と言って過言ではないだろう。

※2 Masalaというのはヒンディー語でスパイスのこと。カレーを意味する時にも使われる。たとえば「チャナ・マサラ」といえば、チャナ豆のカレーを意味するといった具合である。

辛さの帝王レッドペッパー

  ところで、インド料理=辛いというイメージがあるが、実はそれは正しくはない。

なぜなら、辛みのマサラ(※3)というのは、ざっくり言うと唐辛子と胡椒の2種類だけだからだ。

さらに突き詰めて言うとカレーの辛さは、ほとんどが唐辛子、つまりレッドペッパーで決まる。胡椒――ペッパーは料理によっては使われないこともある一方で、唐辛子を使わないインド料理は探す方が難かしい。

そのレッドペッパーの辛味の主成分こそ、カプサイシンと呼ばれるもので、その辛味は味覚の神経ではなく、おもに痛みの神経を直接刺激することによって感じられる。つまりカプサイシンの辛味は味というより、痛みに近い感覚なんだ。

よく激辛食品を「辛いというより、痛い」と言う人がいるけど、それは物理的にも感覚的にも正しい表現なんだ。だからこそ、辛いだけのカレーでは本当のインド料理と呼ぶことはできない。巷によくある10倍20倍カレーというのは、レッドペッパーを増量させているに過ぎないのさ。

日本人でも、辛いモン好きを自認するご仁であれば、インドカレーの辛さは楽にクリアできるものだ。インド料理にとって、辛さはあくまで脇役だと考えていただきたい。

インド料理の醍醐味は何と言ってもスパイスの香りであり、辛味はそれを引き立てるひとつの要素なんだ。つまり辛い=インド料理というのは、嘘ではないが正しいイメージではないということだ。

とはいえ、レッドペッパーの持つカプサイシンには種々の効能があることがわかっている。体脂肪を燃焼させるダイエット効果を筆頭に、代謝を良くして持久力増進、便秘解消による美肌効果、炭水化物の消化補助、免疫賦活化で発ガン抑制、etc・・・。

これらカプサイシンによるいくつかの健康効果は、酷暑期には気温が45℃前後にも上昇する、この国の人たちにとってなくてはならない要素だ。いやはや、インドで生きていくのは大変だからな~。インド人の持つスタミナの原動力には、レッドペッパーの力が秘められているのかもしれねえよ。

さーて、時間がきやがった。

それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!

 

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