小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

興福寺の阿修羅像は“阿修羅のごとく”

2016-09-23 11:06:55 | Weblog

21日、22日と京都・奈良出張に行ってまいりました。
今年は何かイベントをするたび、台風に重なりますが

京都も奈良も久しぶりでしたが、初日に訪れた奈良は20年前に飛鳥取材、30年前に旅行で行ったきりだったかもしれません。

広大な奈良公園は鹿と外国人でいっぱい。
私は小学校5年の時に、ここの鹿をからかって前足で蹴られたことがありまして、同じ目に遭ってる外国人の姿もいたようです。
まったく、神さまの遣いをからかってはいけませんね(笑)。

奈良は見所が点在していて、法隆寺にしても薬師寺にしても交通の不便なところにあり、奈良公園内だけの散策。それでもとても一日では足りません。

この日は春日大社と奈良国立博物館、そして興福寺の宝物館という、公園入り口をウロウロするだけというシブいメニューになりました。

とはいうものの、関西の寺社の大きさというのはあなどれないもの。
春日大社も山全体が境内ご神体という、その大きさには終止圧倒です。

さて、見笠山を拝する境内に入った途端、百人一首の句が頭に・・・

「三笠の山に出でし月かも」

あれれ、この句の上の句なんだってけ?
わたくし、祖母の影響で百人一首は上の句を言えば、大抵下の句が出てくるのですが、逆はなかなか難しい。
するとガイド役の友だちが

「天の原 ふりさけ見れば 春日なる。
 阿倍仲麻呂の句じゃないですか?」 

おお! なかなかやるじゃん、と感心した瞬間、阿倍仲麻呂が唐にあって、日本に帰れず故郷を懐かしむ句であったことを思い出しました。

仲麻呂さん、日本の晁卿(ちょうけい)は、1300年近く昔のこの景色を思い出しながら、さぞ帰りたかったのだろうなと、あらためて見笠山を眺めてしまいました。

奈良国立博物館では、まるで上野国立博物館なみの仏像展を堪能したあとは、阿修羅像を擁する興福寺宝物館へ。

教科書にも出ている大仏の頭部や、巨大な十一面千手観音やらが圧倒的。

だけど、びっくりしたのが阿修羅像が、さりげなくひっそり佇んでいたことでした。上野で見た時とは対照的に、かの有名な阿修羅がほかの展示物と同様、たいして多くもないギャラリーに囲まれて、ひっそりしていたことでした。

本場で見るというのは、こういうことか!

阿修羅像は上野平成館の展示も含めて何度も見てますが、見るたびに印象が違うのですが、この日見た阿修羅はまた格別で、お顔の美しさは見ていて飽きることがありません。

不思議なことに、右側から見た時はやさしいお顔なのに、左から見たお顔はまさに阿修羅! 微妙に正中線から左にズレた合掌の手が、こちらに向かって突き刺すように見えるのも、戦闘的。

この日見た名品は数あれど、やはり阿修羅像は日本の至宝だと深く感動した次第です。

 
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