昨日は東京ミッドタウンのサントリー美術館で開催中の「琉球 美の宝庫」展に行ってきました。いやいや、なかなか興味深い展覧会でしたぞよ♪
当然ながら、琉球王国の歴史というのは、私たちが学校で習う日本史と違った立ち位置にあるのですが、それを実感する意味でも面白い展示がなされていました。
まず目を惹くのが紅型(びんがた)や絣(かすり)などの服飾品です。
朝廷を中心としたところであれば、禁色(きんじき)として許されない黄丹や黄櫨染(こうろぜん)に近い、鮮やかな黄色や橙を使った染めが印象的です。
この黄色は当時、交易があった中国でも皇帝のシンボルカラーですから、これまた当然禁色のはずですが、堂々と使っているところが面白い。
よく沖縄の人は「島津にやられた!」ということを言うそうですが、年表を見ると首里城は1609に陥落されたようで、ちょうど関ヶ原から10年後くらいのことですね。
関ヶ原で島津が家康の陣のど真ん中を突っ切って逃げたのは有名ですが、日本の中央政治からはずれるのがわかっていたのでしょう。
大阪夏の陣が1615年ですから、中央がゴタゴタしている中での絶妙なタイミングだったのかもしれません。
大河ドラマ「西郷どん」では、奄美大島に圧政をかける悪役の島津家ですが、年表を見ると当時、明朝が琉球を狙っていたのは間違いありませんから、長い日本の歴史を見れば「天晴れ、島津」というところかもしれません(沖縄のみなさん、ごめんなさい)!
この後の1644年に明朝が滅び、清朝に変わっていますから、その意味でも島津は時を読む目があったのかもしれません。
地政学的に微妙なポジションにある沖縄ですが、徳川幕府や島津家にも、明や清の皇帝たちにもさまざまな献上品を送っていて、その気遣いたるや大変なものだったのでしょう。
面白いのが琉球漆で、厚く塗った漆を削っているのは清朝などの様式と同じなのですが、その彫った跡に沈金をほどこしています。これは見たことないなあ。
鮮やかな朱色が見事!
螺鈿も江戸や京都のものはアワビなどを使いますが、琉球のものは近海で取れる夜光貝を使っています。見る角度によって色が変わるメタメリックカラーは、アワビを使ったものとは、またひと味違いますね。
また掛け軸などは、縦に串刺し状態になっているような……見たことのない構図の取り方をしているものが多いのが驚きでした。
縦に串刺し状態といってもわからないと思いますが、参考になる絵の資料がないので、ご興味ある方は足をお運びください。見たら意味がわかると思います。
また、反対に江戸の人が琉球の使節団を見た絵も展示されていて、そちらも興味津々。当時、江戸の人から見たら、エキゾチックな外国だったことが伺えます。
あの北斎も琉球百景みたいなシリーズを描いていて(十景だったか?)、当然、行ったはずはなく、もとになった資料も合わせて展示されているのが面白かったです。
展示の最後は戦前の首里城の写真があったのですが、朽ち果てる寸前のようで、意外にみすぼらしい。首里城は何度も焼けていたようですから、現在の再建された首里城は全盛期のものを模したものかもしれません。
ちょうど、今週末の土曜から沖縄に行く予定なので、その意味でも興味深い展覧会でした。
▼こちらは東京ミッドタウンにあるイートイン、デリーのカシミールカレーとインドカレーです。猛暑で連日カレーでも全然大丈夫♪
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