近年稀に見る混雑の展覧会の若冲展、行ってきました!
11:30上野駅で待ち合わせ、いつものハリマ・ケバブ&ビリヤーニで腹ごしらえをしてから、いざ東京都美術館に行くと、このミュージアムではかつて見たことのない長蛇の列。見ると90分待ちとあります。
いや~、5人の大所帯で待ち合わせて行って良かった。
独りでは、とても持ちません。
伊藤若冲の展覧会。
実は皇居内にある宮内庁三の丸尚蔵館では、文字通り宮内庁所蔵の若冲作品を意外とマメに展示されることがあり、今回の展覧会も多くは見たことのある作品。
それでも外国人所蔵のモザイクの鳥獣花鳥図屏風など(これも東北で最近展示されました)、初めて見る作品も多いということで、1日かけて見ることにしました。
入場者制限をしてるとはいえ、場内はものすごい人出。
有名な作品の前ではピクリとも列が動かないところもあって、「空いてるところからご覧ください」という場内アナウンスが鳴り響きます。
人に”ドン!”とぶつかって謝らない、マナーの悪いおじさんやおばさんも多く(なぜか、若い人より中高年以上が目立ちます)、展示を全部見るには、かなりの気合いと根性、体力が必要です。
これから行こうという方は、それなりの覚悟を持って行ってくださいませ(笑)。
若冲を最初に見たのは、今から30年ほど前でしょうか。
↑ 右上のサボテンと鶏が描かれた屏風を、まだ元赤坂にあったサントリー美術館で見て、びっくりしたのが最初でした。
学生か、まだ卒業したてくらいの時で、日本画の学生が「若冲、若冲」と騒いでいて、それで美大生仲間では流行りはじめたものでした。
千載具眼の徒を竢つ(私の絵は千年後に理解される)という若冲の言葉からすると、今の混雑は早いのか、遅いのかわかりませんが、銀閣寺などに屏風絵が残されてることなど、実は生前から評価が高く、円山応挙と並び賞される絵師であったようです。
先日、NHKで若冲の番組(ナレーションがヘタくそでしたが)をやっていたのを見て、このキッチュなサボテン屏風の裏側に、枯れた蓮を描いた水墨画があったのを初めて知りました。
それが、今回の展示でも見ることができ、天明の大火のあとに住処を失った若冲の心中を見たような気になりました。
それまで裕福な暮らしをしていたろう若冲が、古希を過ぎて、家も財産もすべてうしない、大阪のお寺に身を寄せていた時の作品なようで、表の華やかさと対照的な水墨画には何か心打たれるものがありました。
そして圧巻はモザイクの鳥獣花鳥図屏風。
正直、私もTVで見た時は「なんでこんなことしたんだろう?」と思った、江戸時代のデジタル絵画ですが、これが描かれた当時は誰も理解できなかったでしょうね。
「千載具眼の徒を竢つ」
この言葉も、この絵について言った言葉じゃないかと思うほどです。
この絵だけは本物を見ない限り、その真価はわかりません。
この絵を見るだけで、この展覧会。苦行の行列に並ぶ価値があります。
興味のある方は、若冲展。ぜひ足をお運びくださいませ。
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