先週末の土曜、東京国立博物館・平成館で開催されている「聖徳太子と法隆寺」展に行ってきました。いや、実に素晴らしい展覧会でしたね。
今年は聖徳太子遠忌(おんき)1400年記念ということで、法隆寺の宝物を一堂に会する大イベントになったようですが、いや〜さすが法隆寺はん!
お持ちになっているものが違います。
特に素晴らしかったのが、白鳳時代、飛鳥時代のお持ち物です。
飛鳥仏というのは、実に独特のお顔をされています。
切れ長で、やや面長。口元はアルカイックスマイルと呼ばれている微妙な笑顔。
これは歴史的な関連性は薄いと思いますが、レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」などに共通する、神聖さが極まった人の顔とでも申しましょうか。
これは到底、現代人に描くことのできないお顔でしょう。
対照的だったのが、鎌倉時代以降に太子を模した作品群です。
聖徳太子が生きた時代というのは、西暦でいうと574〜622年。
一方で鎌倉時代は1185年〜1333年ですから、600年から700年の隔たりがあります。
600年から700年という期間というのは、ちょうど鎌倉時代のはじまり(1185年)から明治維新(1868年)にあたります。現代の令和の時代から見ると、鎌倉末期から室町時代に至る昔が700年前です。
つまり鎌倉時代の人たちから見ても、聖徳太子というのは大昔の人だったわけで、それだけに神格化された存在と言えるでしょう。
聖徳太子と一緒に空海、太子の子・山背大兄王(やましろのおおえのおう)らが、全員一緒に描かれた曼荼羅など、思わず「見たんか?」と言いたくなるような作品が展示されているのもご愛嬌。
ここまで神格化されると「聖徳太子は実在しなかった」説などが出てきても、仕方ないかなという感じです。
残念ながら、トーハクにおける「聖徳太子と法隆寺」展は昨日が最終日。
見られなかった方は、トーハクに行った時に法隆寺館にぜひ足をお運びください。
設計は谷口吉生によるモダンな建物。
先日、新美の巨人でもこの人の特集が組まれていましたね。笠井臨海水族館や鈴木大拙記念館、土門拳記念館などを手がけた方です。
収蔵品は、明治時代、廃仏毀釈の難を逃れるため、皇室に献上された宝物がここに納められていますが、どれも圧巻です。
柿食えば鐘がなるなり法隆寺。
最後に行ったのは30数年前、40数年前?
もう一度ゆっくり足を運びたいものです。