浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

インセプション観ました、つーか体験しました、死ぬかと思ったわ。

2010-08-29 16:06:40 | DVD、映画
映画インセプション観てきましたよ~。

「以下、ネタバレ」ってところまではネタバレしないんでご安心を。

話としては、人の夢(というか潜在意識)の中に忍び込める工作員(レオナルド・ディカプリオ)が、大会社の御曹司の夢に入り込んで操作しようとする、ってことなんだけどまーこれがすごかったね。

まず元々の着想が完璧。たぶんほとんどの人が「あ、こういうの俺思ったことある!」ってことだと思う。

その上で、脚本が完璧。ほとんど矛盾が無いし「ああ、こうなってこうなって、、、そりゃこうなるよね~」と思う。ありきたり、ってわけじゃないんだよ、ぜんぶ「ああー、なるほどー」って思うってこと。

そして俳優陣もいい。主演のディカプリオ、渡辺謙は言うに及ばず脇のアーサー、イームス最高。この二人は本当に良かったなぁ。設計士として出てくる女性の名前が「アリアドネ」ってのもね、ギリシャ神話とか好きだとちょっとニヤリ、という感じでいい。

更に映像もいい。冒頭少し日本が出てくるけどよくある「ちょっと変な日本描写」じゃなく普通の日本だったのがいいね。変な日本出てくると突然冷めちゃうもんね。

少なくとも観て損はしない映画だと思う。大作らしいドッカンドッカンのシーンもあるからね。

あ、観る前にこの画像を見とくといいかも。

エッシャーという画家の有名な「無限回廊」の絵です。

上の部分の階段が終わりが無いようになってる。

映画を錦糸町のショッピングモールに観に行ったんです。あんまり行き慣れないところだし、エレベータの位置が独特なんでちょっと出るのに迷ってさ。「あれ?このショッピングモールって夢?『設計士』が作ってる?」と思った。

ほいでコーヒーでも、と思ってフードコートでコーヒー買うときに財布から100円玉がチャリーンと落ちて
少しだけ転がったのね、コロコローっと。これほんと「あ、この100円止まらなかったらどうしよ…インセプションじゃん」とすっげー怖くなって死にそうになりましたわ。

さて、以下、ネタバレ。


































こんくらい来ればいいかな。

たぶんこの映画って3つの見方があると思う。

1段階目は産業スパイの話。ストーリーの根本ですね。レオナルド・ディカプリオはサイトーの指示通り御曹司の深層心理を操作することが出来るのか、という話。ま、これだけ観てもどきどきするしおもしろいよね。

そしてその奥にある2段階目が夫婦の話。これがね~、僕は興味深かったなぁ。主人公は奥さんと夢の世界の奥底まで入っていく。夢が深まれば深まるほど時間は早く進むわけだから二人で濃密な、二人の思い通りの愛の時間をたっぷりと過ごすことが出来る。劇中では50年過ごした、とか言っていたよね。
でも、「夢の中で過ごしたって意味が無い」と思い出して「これは現実じゃない」と主人公が奥さんに教えちゃって…。教えるどころか主人公が奥さんに「インセプション(植え込み)」しちゃったことから悲劇が始まる。うーん、良くできた話だ。
これって人によってこの部分から感じることって違うと思うけど、僕は「パートナーの深層心理なんて分からないほうがいいし、ましてやそれを操作しようなんて考えない方がいい。二人の夢のような時間を過ごすのもいいけどちゃんと現実に生きないと大変なことになるよ」ってことだと感じた。

笑われるの承知で言うけど僕、(実在の)レオナルド・ディカプリオは共感するんだよね、年齢が一個違い(向こうが1個年上)だし、独身だし。そんな彼がこんな、奥さんのことで悩む、って役柄やってるとすごく共感してしまう。前作「シャッター・アイランド」だってそうだったよね。彼がこういう役にキャスティングされるってことは僕ら世代の未婚の男性をすごく象徴している気がする。なんて言うんだろうな、結婚もしたことないくせに結婚ってすげー大変なんじゃないか、と思ってるところが。本人はどうか知らないけどね。

そして3段階目が「現実って何さ?」ってこと。これは最近、僕が考える「近頃、人々に蔓延する『自分が主役じゃない』感覚」ってことにも繋がるのでこれはこれでまた書きます。

すっげー映画ですよね、しかし。