浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

かっこいいのはいわなかったとこ

2010-08-04 20:32:53 | 注目サイト
期せずして町山智浩の話を続けまーす。

言っときますが今回もそうだし、たぶん次回もこの人の話です。

一個前の動画もそうなんだけど、町山智浩関連の動画を見て「うん、やっぱり僕はこの人が好きだな」と思ったんですよね。この人の著作はかなり読んでるほうだと思うけど、いくつかの動画を見て「ああ、僕はこういうところがこの人に共感できるから、この人の本も好きなんだなぁ」と思ったんです。

本当に本当の意味でこの人に共感した部分は次に書くけど、今回は一個前の動画(歌人枡野浩一の離婚について説教してる話)の中で「ちょ!それはかっこよすぎるよ!」という部分をご紹介。

動画はこちら。→【町山智浩さんと歌舞伎町のBE-WAVEで 】Ustream

枡野浩一に対して「君は奥さんより自分を優先したんだ、論理で奥さんを苦しめてたんだ、恋愛においては小さな行き違いが大きな問題になるんだ」と説教する。

その後、「実は自分もそうだった」と彼は自分の話を始める。

そして、それをどう乗り越えたか、という話を始める。

ちなみに言っとくと町山智浩という人は元々編集者&ライターで、奥さんの仕事の関係でアメリカに移住した。

移住したときにはほとんど業界を追われたような形で仕事が無かった。奥さんはアメリカの企業で仕事をしていて、自分は無職でほぼハウスハズバンド(主夫)のような形だった。

そこからの話、と思ってお読みください。

(ほんとは会話なんだけど、面倒なので適当にモノローグ風に編集してます。)

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君は奥さんを論理で苦しめてきたけど、俺もそれやってきた。俺たち夫婦だって壊れかけたよ、何回かね。

その時に、俺だって思ったよ、「なんでお前は俺を嫌いになるんだ、おかしい」って。

そりゃ口喧嘩とかはしているけど、俺は何も違反行為もしてない。ばくちをやるわけでもないし不倫してるわけでも無い、それで俺が嫌われるのは理不尽だと思ったよ。

でもその時、俺は「俺は悪くない」って言おうとしなかったのね。

たぶん、細かいことの積み重ねなんだろうと思った。

だからそれは俺が悪い、もうここまではダメだったと、積み重ねてしまったことは全部失敗だ、と思った。

じゃあこれからどう結婚生活を維持しようか、と思った時に、過去を追求しないことにした。「過去はこうだった、過去、君はこうだった、過去、俺はここまでしてやった」って言うことをやめたんだ。

そして、そこから先、新しい恋愛を始めようとしたの、カミさんと、ゼロから。

どうやったらカミさんが俺を惚れ直してくれるだろうか、どうしたら女から見てかっこいい男になれるか、どう振る舞えばカミさんから見てかっこいいか、ってことだけを考えた。

何も責めない、一切負担かけないようにしよう、って決めたの。

だから、ハッキリ言うと寝なかった。

家事全部やって、子育てやって、カミさんが寝てから本書いて…、そのとき初めての本を出したんだけど、だからあの本、すごく短い時間で書いてるんだよ。慌てたから。

まず、もうはっきりと宣言して、「年収を3倍に持ってく」って言ったの、その時。…4倍に持ってったけどね、最終的には。寝てなかったけれども。

そしたらカッコいいじゃん! とりあえず。

「お前のためにやったよ」って言いたかったの、オレは。

とりあえずさ、今失敗しちゃったってことを、グチャグチャやるんじゃなくて、そこから、ゼロから惚れさせるしかないって思ったよ、その時は。

だって1年ぐらい家庭内別居だったもん。ソファに寝てたもん、オレ。

家事も子育ても仕事も全部やる。でも「俺は家事してるよ」とは言わなかった、一切。黙ってやる。

黙ってやって、黙ってやって、それで夜中、カミさん寝てる間も原稿書いて、やってたら、ある日、一年くらいかかったけど、収入増えた。

それを、黙って見せてさ。まぁ黙って見せなくても、見せなきゃなんないから見せたけど、そしたらある日突然、カミさんが、「今日から一緒に寝ていいよ」って言ってくれたの。

で、その時に、「ほら見ろ!」とか、オレは言わなかった(笑)、ただ黙って「うん」って言ったけどね。

実はそこで新しい恋愛をしてたんだよ、ふたりで。
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町山さん!かっこいいよ!あんたそりゃ奥さんも「一緒に寝よう」って言うよ!!

いい話だなぁー、グッと来るなぁ。

なにが一番かっこいいってね、「ほら見ろ!」って言わなかったこと。はぁーーーー。

もちろんこれは結果論だから、「じゃあ年収増えなかったらどうだったんだ?」とか「結局、年収増えたことがポイントかよ、金かよ」とか思うかも知れないけど、それは誰にも分からないよね。

年収増えてなかったら離婚してたかも知れないし。

でも、もしかしたら年収が増えて無くても奥さんが「あなたがそこまでがんばってくれてることは分かった」って話になったかも知れない。

そこはまぁWho knows?(誰に分かる?)って話だよね。

で、これはこれとしてかっこいいんだけど、僕がこの人を思想家として本当に共感できる部分はまた別のとこで、それは次回。