柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

家族葬を考える 何故、家族の死を秘密にするのか

2023年03月02日 | お葬式
「家族葬」というネーミングは家族だけで行う葬儀というイメージを植え付けています。
「葬儀はいらない、とまでは考えないがそこに家族以外の人が立ち会う必要はない」という考え方を持つ人が増えました。
人が亡くなると訃報を出し、親戚を集め、故人や家族が関わった人達に知らせるという葬式が長年行われていましたが、今はそれぞれの考えで葬式の選択ができるようになりました。 「火葬のみ」「一日葬」「家族葬」「従来の葬式」「無宗教葬」そして「お別れ会」も定着しつつありますね。

弔い方がどんな形であってもいいと思いますが、最近では家族の死を知らせずに葬儀を終えるご家庭が増えたことが気になります。
長年、住み暮らした地域にも親しかった友人にも「死」を秘密にする必要があるのでしょうか。
「知らせれば気遣いをさせるから」
「家族だけで送るから」
「聞かれたら伝えればよい」
「喪中はがきを出すから」
と、いろいろな声が聞こえます。

中には介護施設で亡くなり、自宅に戻ることなく葬儀を終えてしまう場合もあります。
独居の高齢者が亡くなり、ご遺族にとってその地域と縁が無くなるからと黙って葬式を終える場合もあります。
病院で亡くなくなると葬儀会館に安置するご家庭も多くなり、ご近所では死の気配さえわかり辛くなっています。

人は人生を送る中で人や地域と関わることなく暮らすことはできません。
「世間に世話など受けていない」とおっしゃる方もいますが、そこにその方の存在がある限り周囲と無関係で暮らすことは不可能でしょう。
最近では独居高齢者を地域ぐるみで見守りをしていることもあります。
声には出さずとも「具合が悪そう」「顔が見えない」「窓が閉まったまま」などと気にしているご近所はいるものです。
例え言葉を交わす機会がないとしても、その存在を知っていれば火事や地震が起きれば、ご近所の人たちは安否確認をしてくれるはずです。
人は誰かに支えられ、誰かを支えて暮らしていくものだと思いませんか。

訃報はごく親しい人に告げれば、自然と伝わるべきところには届きます。
もし、家族だけの葬儀を望むのであればその旨を伝えればいいのです。
反対に「家族葬だけど、もしよかったらお別れに来てね」と声をかけるのも喜ばれるものです。
「お隣のおばあちゃんが亡くなったみたいよ」とご近所が気が付いても当のご家族が話さない限り、曖昧な判断しかできずに困ります。

人は必ず死にます。
死は人に言えないほど隠すべきことなのでしょうか。
死因に問題があって秘密にするなどの事情がないのであれば、せめて隣人や付き合いがあった人や、属している自治会には家族の死を知らせる必要があるのではないでしょうか。



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