柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

亡き親への悔いが、今も

2022年09月29日 | 
父親の13回忌を終えた方から、相談を受けました。がん末期を迎えた父からの一言に答えられなかった自分を今でも悔いているそうです。

ある日、なかなか良くならない体調に「この先、どうなっちゃうのかな?」とつぶやいた父親に何も言えず黙ってやりすごした自分に深い後悔の念があるそうです。
突然の思いがけない問いかけに「何と答えればよかったのか?」と思い出す度に今でも苦しくなるそうです。

この時点では父親の余命が無いことをこの方は分かっていたのでしょう。
正直に言えない自分と、嘘で返せない自分が居たはずです。
どちらかの返答をしても、やはり後悔は残るのではないでしょうか。
家族を看取った殆どの方が何らかの後悔を抱えていることを、私はよく知っています。

この言葉を呟いたお父さんは自分の行末をすでに感じていたのではないでしょうか?
もし、父親の人生への想いや死生観を理解していたら、子供としての対応も少し違ったものになったかもしれません。

死期が迫ったとき、延命をして少しでも長く生きたいのか?自然に任せて枯れるように亡くなりたいのか?
死は怖い、苦しいと考えているのか?死はごく当たり前で怖い物ではない、と考えているのか?死後の世界はどんなところなのか?天国のメージか地獄の様なイメージか?
その人の考えを知ることで答え方のヒントが得られるかも知れません。
お元気な時から、こんな話を茶のみ話の様にしておけるといいですね。

今は年齢に関わらず「もしもの時の延命をどうするか?」は家族間で伝え合っておくべき時代になりました。マスコミでも、よく取り上げていますよね。

その話を少し延長すると、最期は何処で過ごしたいとか、死後はお墓にいると思う、とかの話に入り易いとおもいます。

大切な人がこの世からいなくなることは寂しい事ですが、死は、産まれることと同じ様にごく自然な成り行きです。誰にでも訪れる事なので、親の気持ちを聞くというよりは「自分はこう考えている・・」と雑談気分でお互いの話をしてみてください。

その人の人生観や死生観を知ることで、「きっと良くなる」と励まし続けるのか・・・
「今までの感謝やねぎらい」を伝えてる時期を逃さぬようにするのか・・・
「好きなこと、やりたいこと」を叶えるように手助けをするのか・・・
最期の大事な時間に寄り添うことができる気がします。

私のアクティブノートには「人生会議の心づもり」という項目にそんな気持ちを書くページがあります。ご参考までに!


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迷子のペットを探す手立て。マイクロチップの装着

2022年09月25日 | 生活情報


我家で留守番をしている愛犬トラミです。
もう2か月逢っていません。急にいなくなった私に不信感を抱いてないか心配です。
今年の6月から繁殖・販売業者に犬、猫へのマイクロチップ装着義務が課せられるようになりました。
以前飼っていたどの犬も一度や二度は迷子になった経験が在ります。
どの子も無事に保護されましたが、マイクロチップが装着されていれば、なお安心ですね。
先代の甲斐犬は認知症になった知り合いの女性が、飼い主に黙ってお散歩に連れ出しそのまま出先で放置してしまい行方不明になりました。
連れ出した本人は散歩に行ったことも覚えていません。
友人たちが手分けして探してくれましたが行方が知れず、もしかしたら・・・と警察に問い合わせをしたら「お探しの犬とよく似たワンちゃんがいますが、確認しに来てもらえますか」という返事があり、主人が飛んでいきました。
警察の奥から現れた犬はまさしく我家の犬です。
情けなさそうに現れたそうです。

公園にぽつんと座っていたのを見つけて警察に届けてくれた方がいたのです。
よく動き回らずにその場にいてくれた!
見かけは怖そうな甲斐犬をよく保護してくださった!と感激の対面を果たしました。

すでに飼われている犬にはマイクロチップの装着努力義務が課されますが
今度こそ、トラミにはマイクロチップをつけます。

チップは直径2ミリ、長さ1センチの円筒形で注射器で注入。費用は数千円程度。
15桁の識別番号が記録され環境省のデーターベースと照合することで所有者の氏名や住所、犬猫の生年月日や品種がわかるようになっています。

退院したら獣医さんへ行くのが一番目の仕事です。

ご主人を見送った親友

2022年09月16日 | 
近隣の集会所で月に1回終活セミナーを、2年間実施していたことがあります。
そこに親友が毎回通ってきてくれました。

私自身の実体験も交えながら、具体的に高齢になると起きうる事態とその対処法を話すのが
私のセミナーです。介護の話なら、介護制度の仕組みよりある日突然、脳梗塞になった義母の様子や、その時の介護の選び方や、家族の想いや、費用問題などを話します。
葬儀も家族葬ばやりですが、手間暇や価格の点ばかりでなく、家族として悔いのない葬儀は、どんな葬儀なのか、実際に遺族のケアをした経験を踏まえて普通では聞けない心情を話します..
老後のお金の問題や、保険の活用法や、看取ることや、終末期の意思表示や相続問題も、なるべく身近に起きた例を取り上げて話しています。高齢になった私自身が気になった事柄を伝えるようにしています。

親友のご主人が脳梗塞で倒れ介護生活に入った時も、介護施設に入所の決断をするときも
いよいよ余命が迫ってきた時も「あなたの話を聞いていて良かった。慌てずに済んだ」と言ってくれました。

先週、このご主人が亡くなりましたが、介護施設で容態が悪化し病院へ入院、その頃から家族でご主人の「もしもの時の話」を何度も繰り返ししてきたそうです。
入院中に食事が取れなくなった時点で、担当医と相談して、介護施設にご主人を戻しました。
コロナで家族は思うように会えない日々が続く中、ご主人の最期には長い間お世話をしてくれた多くのスタッフがいる介護施設の方がご主人への声かけも多いのではないか、との判断です。
そして1週間後、ご主人は穏やかに息を引き取ったそうです。
遠方に住む子供達も後悔のないように、父親との面会を重ねてきました。
葬儀社とも事前に相談をして見積もりも立ててもらいました。
施設から葬儀社へ向かう時は、介護施設の医師や看護師、介護スタッフが大勢で列を作って見送ってくれたそうです。
その時にご主人とスタッフとの触れ合いも聞かせてもらったようで「嬉しい時間だった」と伝えてくれました。

私は入院中でお葬式にも参列はできませんでしたが、思いがけない出来事があったのです。
ご主人の入院先は私がリハビリで入っている同じ病院で同じ病棟だったのです。
親友がご主人を病院から介護施設に戻すその瞬間に、偶然にも私は車椅子で廊下に出て、お二人を見かけました。外部の人や患者同士での対面は叶いませんでしたが、少し離れたところでストレッチャーに横たわったご主人の横顔が見れたのです。
付き添っていた親友は穏やかな顔で目線を交わしてくれました。

神様がくれた粋な計らいでしょう。
その数日後に「すべて無事に終わりました、ありがとう」とメールが届きました。

哀悼の花言葉 イトスギ

別れの動画を作った緩和ケアのお医者様

2022年09月13日 | お葬式
千人近いがん患者さんを看取った緩和ケアの医師が、亡くなる2年ほど前に自分の葬式用に別れの挨拶を撮った動画が話題を呼んでいます。
がん患者の最期を痛みや不安から、安らかに自分らしく生き抜く手助けをするのが緩和ケアの医師です。
その方ご自身も癌に侵され47歳で亡くなりました。
多くの死を見て来られて、いろいろな想いがあったのでしょう。
ご自分の葬儀の挨拶は自分自身でしたいと、体調がまだいい時期に録画され、それを通夜、告別式で流されたそうです。
葬儀に参列した方は、きっと感動したと思います。
偽りのないご自身からのお礼とお別れの言葉です。
私も葬儀の世界にいた頃、故人が残された言葉が葬儀に流されるといいなーと、ずっと思っていました。
ほんの数人ですが、ご本人が書いた別れのご挨拶を出棺時にお伝えしたことがあります。どなたの文章も胸を打つものでした。

ですから私が作成したアクティブノートの葬儀の項目の中には、葬儀でお伝えしたい別れの言葉を書く欄が作ってあります。
名言集にある様な挨拶より、ご自分らしい言葉でのお別れは、たとえ短文であっても胸に残ります。
一度で書き上げるなんて思わずに、何度でも書いてみてください。
そのためには鉛筆で書くことをお薦めします。
死の間際に書くことは困難です。
と言って明日の命の保証は誰にもありません。
だから、今の想いを書いてみてください。
生きているうちに見られるのが嫌だったら便せんに書いて封筒に入れてエンディングノートに貼り付けておきましょう。
あなたも書いてみませんか?


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きょうだい不仲のきっかけは相続が影響大?

2022年09月03日 | 終活セミナー
親を亡くすと相続が発生します。
その相続で揉めている家族は意外と多くいるものです。
私の知人達もご多分にずれ兄弟姉妹間の気持ちのずれを経験しています。
私は幸いにも義きょうだい、実きょうだいとも問題がなく相続を終えました。
たまたま入院中の病棟に置いてある雑誌に血縁の問題が載っていたので興味深く読みました。

40代、50代、60代、70代に「現在きょうだいの交流があるか?」のアンケート結果では50~65%が「ある」18~40%が「ない」9~18%が「きょうだいによって」と答えています。
きょうだいの交流は思っている以上に難しいものですね。

きょうだいが疎遠になった理由は50代~70代では1位が「金銭問題・遺産相続」で2位、3位は「不仲」「親の死」「親の介護」となています。

生まれた時から一緒に生活してもそれぞれの気性も違うし、親から受ける愛情が違う場合もあります。
幼少期から仲が悪いきょうだいもあり、それぞれに家族を持ちその環境で人柄が変わることもありますね。
相続時の争いは、それまでの過程で蓄積された心のひずみが親が亡くなったことで表面化する場合が多いように感じます。
親の立場としては子供への想いをどこかに記録しておくことが大事な気がします。
親子と言えども面と向かって、「あなたのことはこう考えている」と伝えることは難しく、お互いに思い違いをしていることも多々あるのではのでしょうか。
ハッキリ言えることは相続で揉めたきょうだい仲が修復すことは先ずないと言えます。

親として死後の相続を円満にしたいのであれば、財産の額に関係なく自分の考えている相続を書面化しておくことでしょう。
そう考えた理由も伝えるといいでしょう。それを知ることで、多少のトラブルは飲み込むこともありえます。

それでも家族間で揉めそうなら公正証書の遺言書を作成しておきましょう。




コロナ患者は死後も危険物扱い?、、、正しい知識を望むばかり

2022年09月02日 | 葬儀の世界
Yahooニュース で読んだ西日本新聞の記事です。
コロナ患者の死後、遺族が顔も見られない、当日に火葬してしまう、搬送料金が異常な価格であることが報じられています。コロナが流行り始めてもう3年がたちましたが、ウィルスの特徴が分り始め私達に伝わる情報も刻々と変わってきています。
葬儀業界がいまだにこんな対応をとっていると知り非常に悲しくなりました。
家族の死は、人生でも一大事な出来事です。
葬儀社はその事実を一番知っているはずです。
どこの葬儀社のHPやチラシでは大切な人の葬儀は、遺族にはとても大切な時間と説き、当葬儀社では
ご遺族の気持ちに寄り添って・・・・などと書かれていますよね。
それなのにこの記事には遺族のためにとる対応とは思えない行為がありました。

コロナに感染すると現場はその対応に神経を使います。
私は今入院中でそのことを切実に感じています。同じ病棟からコロナ患者が出るとすぐに病棟を遮断。
陰性であっても同じ病棟の患者の行動は規制されます。
コロナ感染者からは呼気も体液も排出されるから直接医療に当たる医師や看護師さんは最大の注意を図ります。
でも看護師さんも医師も交代で持ち場を変わり、陰性の患者の対応もしてくれます。

コロナウィルスの危険は明確にされてきました。
亡くなった後の患者は先ず、呼気をしませんし、十分に対処していれば体液も漏れません。
正しい対処をすれば遺体からは感染は起こりません。
結核や肝炎で亡くなった方も葬儀社は同じような扱いをします。

コロナ患者の対面を断る葬儀社は、そんな最低限の知識もなくご遺体を扱ってるのでしょうか。
反対に言えば、普通のご遺体の安全な処理は出ているのかも不安になります。
死因は一つでも持っている病気は一つではありません。どんな危険があるかもしれない事を前提に遺族がお体を触っても、頬刷りしても安全なように遺体処置をすべきです。
何もせずにドライアイスを置くのはお粗末すぎます。

コロナ患者を納体袋に入れるのはコロナが発症した当時に未知のウィルスとして厚生労働省が推奨した指針です。
「納体袋に入っているのでお顔は見せられません」と言われた遺族は、病院では最後の時間に対面させてくれたのに、死後にどうして故人の顔が見れないのか疑問をいだいています。
どう考えても読んだ記事では葬儀社が「コロナ感染者の葬儀はこうしておけば簡単でいい」と思っているか、コロナ感染者の知識がないとしか見えません。

同じように火葬場の対応も考えてほしいものです。
当日の火葬の強行や、最後の対面できない、参列者の規制が極端に厳しいのは、今となっては意図が解りません。
遺体からの感染はないのですから参列者間の会話を避けマスクを着用すれば、この行動規制の緩和された世の中で問題はないはずです。一度決めたら状況が変わってもそのまま押し通したいのでしょうか。

搬送料金が30万を超えると記事にもありましたが、何を使って搬送の感染対策をしているのでしょうか?
病院でも病室内もストレッチャーもトイレもアルコールで除菌しています。

正しい知識と、故人の尊厳と、遺族の心をケアしている葬儀社が全国に沢山あることも私は知っています。そんな葬儀社が一部の心ない対応の葬儀社のために誤解を受けるのはあまりに悲しいことです。

新しい知識と新しい体制を得ることが難なくできる葬儀社と、苦手な葬儀社の格差が広がっています。
葬儀は安価な費用ではありません。

どうぞ葬儀社選びを慎重になさって、後悔のないお別れをして欲しいと思っています。