柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

赤ちゃんのお葬式

2008年04月29日 | 赤ちゃんのお葬式
産まれてすぐに、亡くなる赤ちゃんがいます。
死産の場合もあれば、障害を持って産まれ、数時間で亡くなる赤ちゃんもいます。

奥様は入院中なので、ご主人から葬儀社に電話がかかってきます。
葬儀の依頼というよりは、火葬の依頼が多いのです。

ご家族が、病院の看護士さんに「一体どうしたらいいのでしょう?」と伺うと
「こういう場合は、火葬だけされる方が多いですよ」とのアドバイスが
一般的のようです。

又、祖父母や周囲の方々も
「若い夫婦にとって、コレは不幸な出来事。辛い出来事は早く処理して、一日も早く立ち直って欲しい」
と願ってのアドバイスもあると思います。

当然、病院から直接、火葬場へ向うことを望まれます。
例え赤ちゃんであっても、死後24時間経過しないと火葬する事は出来ません。
病院もこのような赤ちゃんの場合は、火葬場に向う時間まで預かってくださいます。

でも、私はご主人にすぐに火葬をしないで欲しいとお願いをします。

「この子が、あなた方夫婦のお子さんである事は、消せない事実ですよ。
奥様はこの子の存在を、10ヶ月もおなかに感じてきました。
それを無かったことにはできません。あなた方のお子さんとして、せめて1日でもお家に連れ帰って、親子で過ごしてから、火葬場に行きませんか?」

この話を聞かれたご主人のほとんど全員が、奥様と相談をされます。
そうして赤ちゃんを連れて、一度お家に帰ります。

この提案に一番喜ばれるのは、奥様です。
母親にとっては、どんな状態の子でも愛おしく、抱きたいものです。
しかし、この時点では、ご当人達はそこまでの気付きがありません。

中には、心配して駆けつけた、おばあちゃんや伯母さんを説得して、ホテルに泊まってもらい、家で赤ちゃんと3人だけで一晩を過ごしたご夫妻もいました。

又、一日ではなく二日を過ごしたいとおっしゃった方もありました。

赤ちゃんを挟んで過ごす時間は、若いご夫婦をたった一日でパパとママに
育ててしまいます。

赤ちゃんに何がしてあげられるか、一生懸命考えられ
たった一日で、良くこれだけ準備が出来たと感心するほど多くの品物が
揃えられます。

ミルク、お菓子、おもちゃ、ぬいぐるみ、靴下、靴、
肌着、洋服、エプロン、絵本、パパとママの写真や手紙
そして、白紙の便箋を入れた封筒(宛名はパパとママの住所です。切手が張ってあります)、エンピツ・・・などなど

赤ちゃんの棺は大き目を・・が私の意見です。
いつも、蓋が閉まらないほど、持たせたい物があるのです。

本当は棺に入れる品物は「燃え易いものを少量」と言う鉄則があります。

でも、赤ちゃんの時だけは目をつぶります。

コレが最初で最後の、パパとママのプレゼントだからです。

棺も最近は可愛い模様や、レースがついた物が出てきましたが
私は、なるべく普通の木棺を選びます。

パパやママに絵を書いてもらったり、リボンや靴下やおもちゃを
貼り付けるなど、手作りをしてもらったり
時にはスタッフがビーズなどで可愛く仕立てます。

骨容器も同様に作ります。

いつも、リボンや手芸用品や、クレヨン、ボンドが会社に揃えてありました。

赤ちゃんの為に何かをすることが、パパとママには必要です。

そして、出棺前に短時間でもお別れの式をします。
子守唄をうたったり、折り紙を折ったり、パパやママの気持ちを
赤ちゃんに伝えてもらったり。

出席者が少ない時は、私達スタッフも一緒に送らせてもらいます。
この子の誕生を皆が迎え入れ、そして旅立ちを見送るのです。
ハイヤーの運転手さんや、事務事務所のスタッフに参加してもラたこともあります。

この場では、他人でもこの赤ちゃんが愛おしく思えてきます。

赤ちゃんと時間を共に過ごしたご夫妻は、しっかりと自分達の手で、わが子を送り出します。

私も、この仕事をしていなければ、このようなご夫婦に
「はやく忘れて、次には元気な赤ちゃんを産んでね」と
言っていたでしょう。

大きな悲しみの中で、母親を思いやる気持ちが
母親を一番、傷つけることもあります。

母親にとっては、流産であっても
子供を無くした気持ちに違いはありません。




赤ちゃんは、このパパとママを大好きになったと思いませんか?





痛いのは辛い。誰かの役に立つはず。

2008年04月26日 | sibatanoriko?
皆さん、リウマチって病気、知ってますか?

「よく、年寄りがなる病気?」
「神経痛?、関節痛?」
そう思っている人も多いです。

人間の体は、異常なものに対して攻撃をかける免疫力がありますよね。
簡単に説明すれば
体中にある関節の中で、自分自身に攻撃をかけてしまう免疫異常の病気
がリウマチなんですね。

その結果、炎症を起こして関節の骨が壊れてしまい、変形してしまいます。
とても、痛い病気です。

2年半位前ですが、その病気に突然なってしまいました。

夜間の葬儀専門学校で講義を終え、終電に近い電車で帰る時に
つり革に掴まろうとしたら、左腕が上がらないんです。

痛みがあり、ぜんぜん動かない。
「どうして?どうやったら動くの?どこまでなら動くんだろう?」
自力では動かないし、痛い!
右手で左腕を押し上げてやっと、つり革に届いた。
「あっ!50肩だ。とうとう来てしまった」

そんな、思いをして翌日病院へ出かけましたが
もう痛くて、痛くて

結局一ヶ月後にリウマチと診断されました。

それからは、痛みの連続で、足首、膝、手首、指の関節がはれ上がり
動かすこともできなくなり、布団に横たわることも容易にできず
布団派からベット派に転向。

人間横になるには足首を動かして、膝を折るのです。
両方利かないと、寝ることができないのを、この時知りました。

起きる時にも、膝を使えると簡単だけど
使えない場合は、どこかに掴まって、痛いのを我慢して起き上がる
けれど、手首の関節がダメなので、捕まれない。

荷物を持つのも、包丁を握るのも、ペンを持つのもドアノブをまわすのも大変。
歩くのも、大変。坂道はもっと大変。

唯一、座ることだけが楽なこと。
でも座り続けると、膝の関節が固まって、すぐに動くことができない。

とにかく、毎日が大変づくめでした。

症状に合わせて出して頂いた薬も、効くのは初めだけで、すぐ痛みのほうが
上回ってしまいます。私は進行がすごく早い。

そんな状態が1年位続きましたが、
心配したご遺族の方が、雑誌に載っていたリウマチ治療の記事を送ってくださいました。
その薬は、リウマチになった当初に、先生から「いざとなったらこんな薬もあるよ」と言われてはいましたが、「いざ」がいつなのか分からず、その話も頭の中から消えていたんです。

診察日に、その記事を先生に見せたら「すべての薬が効かない人に薦める薬だけど
若い人や、まだ働きたい人は使ってますよ。進行が止まって、痛みがなくなる。
だけど、治る訳ではないからね。使い始めたら一生使う覚悟でね」

それから、その薬が体に合うか検査していただき、3ヵ月後には投薬が始まりました。
週に2回、自己注射をします。エンブレルといいます。
2ヶ月に1回、点滴を打つレミケードという薬もありますが、私にはエンブレルのほうが良いようです。

信じられません。
薬を使い始めてすぐに効果が出てきました。

痛みが楽。
回を重ねるごとに、楽になり今では、一年前が嘘のようです。

関節の腫れも消え、変形せずにすんでいます。
動きも普通です。
長時間の徒歩や、駆け足はダメ。畳に座ることもダメですが。
見た目は健康そのものです。

この薬のお陰ですね。
副作用が無いとは言えないでしょうが、私には特に困った症状はありません。

リウマチで苦しんでいる方で、この薬を知らない方が沢山います。

私も、人に教えられたのがきっかけで、この薬とめぐり合いました。

もし、周りにリウマチで苦しんでいる方がいたら、教えてあげてください。
誰にでも、使える訳ではないでしょうが、効きます。

私の場合は現在、リウマチ因子の数字は限りなく0に近いです。


でも、リウマチになって見えてきたことが沢山ありました。
それは私にとって、得難い経験でした。

一番、ひどい状態でも、仕事を休まなかったことも貴重な体験です。
研修先で、どれだけ親切な行為を受けてきたことか。

私、病気をして確実に変わったと思います。

でも、今病気の方は、そんなことより、少しでも楽になる事が望みです。
是非この話、教えてあげてください。

コレだけは多くの人が読んでくれる事を望んでいます。

近いうちに、私の母が体験した、「圧迫骨折」に効く治療も紹介します。
コレも劇的に効きましたし、ほとんどの方が知らない治療です。

たまたま知った、私は教える義務があると感じています。
なるべく早めに書きますね。



困ったものだね。選びようがありません。

2008年04月25日 | お葬式
お葬式に行くと、礼状と会葬の返礼品を頂きます。
箱を受け取りながら、「又、タオルだ!」と分かってしまうほどタオルが多い。

皆さんの家にも、お葬式のタオルが押入れに積んであるでしょう?
嘘を行っても無駄ですよ。
絶対、使ってないタオルがあるはずです。
だって、葬儀屋さんはタオルしか売ってないのですから。

「ち、ち、ちょっと過激な発言です・・・」とコメント好きな
ポンポンダリアさんに怒られそうですが

正確に申しあげれば、
葬儀社さんがお客様に見せる、返礼品のカタログには
お茶、海苔、タオル、金封セットがやたら多いと言うことです。

お客様はその中から、お礼の品物を選ばれるので
どうしてもタオルが多くなります。

返礼品は、お香典に関係なく、会葬者全員に差し上げます。
ご夫妻で見えれば、2つの品を渡します。

平均5~600円位の品です。
お茶や海苔では少し高くなるので、タオルの金額は手ごろです。

ですから、タオルが多いのです。

私達がタオル攻めから、身を守る為にはどうしたらよいのでしょうか?

葬儀社さんがもっと他の品物を用意すれば良いのです。

頂いて、困らない物がいいですね。

最近では、食品も出てきてますよ。
和洋菓子、スープなんかいいですかね。

私的には、洗濯洗剤とか、靴磨きのクリームとかでも、いいなと思います。

以前、小さなお米パックが喜ばれたこともありましたね。

とにかく、
せっかくご好意で頂くので、無駄にしないような物を用意してくれませんか。

わたしも、返礼品の発掘には結構、力入れてます。
各地で提案すると「この辺では出ませんから、そういう物は」
といわれてしまいますが、

試しに、使ってみたら、爆発的にご利用がありました。
ちなみに、それは洋菓子です。

少人数の家族には、1回で食べきれる量はかえって、嬉しいものです。

タオルが悪い訳ではないですよ。

家から、タオル類が無くなれば、又、頂くと嬉しいものです。
だから、私、今「白いハンカチなら欲しいな」と思っています。
白いハンカチって頂かないですよね。
でも、あると便利。
ポッケットチーフやお葬式に持っていけますね。

どんなに便利でも、同じものばかり頂いたら困ります。
タオルが10年近くも、出続けている事実を認識してくださいね。
お香典返しのお茶も同じ運命かもしれません。

返礼品の会社の方、頑張ってください。
葬儀屋さんの顔色見るより、ご葬家の希望を考えて商品作りしてください。
ご葬家が喜んで使ってくだされば、結局、葬儀屋さんも喜ぶのですから。
この道筋を間違えないでください。

葬儀社の方、新しい提案を「面倒だとか」「こんなの出ない」と
言って、つぶさずに、よく検討してください。
良い商品を揃えるのもサービスの一環です。

そして、お客様となる身の皆さん!
代金を支払うのですから、納得する商品を要求してください。






無駄に、年取ってません

2008年04月23日 | 葬祭スタッフ
今日も1日、葬儀社さんのスタッフと研修をしました。

今日は女性ばかりの新入社員です。

女性で葬儀全般を執り行うための研修です。

「どうして、この仕事を選んだの?」この質問から始めました。

全員40~50代の方です。
全員、転職組みです。

「以前からこの仕事に興味があって。色々葬儀社さんに問い合わせたけど
年齢が30才までだって断られました。こちらでは年齢の制限が無かったから応募しました」

同じような答えを数人がしていました。

どうして30才までなのでしょう?

不思議ですね~。

私は43歳からこの仕事に就きました。

何の不自由もしませんでしたけど。

若くないから、お客様に喜ばれない・・・と思います?

反対ですよ。喜ばれた事に自信アリです。
多少なりとも、人生経験があるんですから、人とまともな話できますもの。

「今までは、子供や家族の為に、働いてきました。
でも、これからは、自分の為に働きたいんです」

「ここでは、女性でも仕事を収得すれば、男性と同じような待遇が与えられる
と聞きました。自分が社会に貢献できて、仕事としてやりがいを感じられるなら
頑張って、学びたいです。今、毎日仕事で学べることが、楽しくて、楽しくて」

力強い、言葉を言ってくれます!
私の一句一語すら聞き漏らさないぞ・・そんな気迫があります。

コレだから、人を育てるのは、たまらなく素晴らしい。

もちろん、若い子だって大歓迎です。
こんな環境にいられると、若い子もすごく伸びます。

「皆にお願いがあるの。ここでは綺麗でいてね。
忙しいからといって、疲れた顔しないでね。あなた方が元気でいないと
家族を亡くして、ここへ来た方は、ヨレヨレの人には頼る気になれないよ。
優しく,はつらつとしてね」

その次の研修の時、ビックリしました。
全員が前回より、若返ってる。

無理してるのではなく、心も体もはつらつ☆☆☆

こんな、よい人材を他社は見捨てたんですか?

悪いですね。こちらで貰っちゃいましたよ~。





なかなか、いい気分。

2008年04月22日 | sibatanoriko?
今日は出張先の、ホテルにいます。

自分でコンサルタントを始めて、こういう機会が多くなりました。

最初は一人でホテルに泊まるのが心細かった・・・いえいえ、それどころか
新幹線や、飛行機に乗るのも、一人じゃ間が持たないし不安だらけでした。

でもね、今や十分に一人を楽しんでます。

私は一応主婦なので、家に帰れば、結構家事が忙しいんですよ。

昔は良妻賢母を目指してたんですが、すぐに向かないと分かり諦めました。
割と諦めがいいんですね。  後を引かないというか・・・

それでも、やることは沢山あって、時間に追われる日々なんです。


出張した時は、好きな時間に食事して、時間を気にせず買い物したり
部屋で長電話したり、本よんだり、手紙書いたり

仕事が間に合わないと、部屋でパソコンと格闘したり
でも時間に追われてない

たまには、仕事先のスタッフと葬儀談義、人生相談、もしますしね。


それなりに充実した時間が送れます。

明日は夕方まで、こちらで仕事をして帰ります。


おやすみなさい。

でも、まだ寝ません。






これで安心! 葬儀社の選び方!

2008年04月21日 | お葬式
葬儀社の仕事は、病院へ故人をお迎えに行くことから始まります。

ここで、皆さんに大事なことを教えます。

病院には、決まった葬儀社がいる・・・だから、そこに頼まないと
と思っています?
今はそう思っている人少ないと思うのですが
時々、思い込んでいる方に会います。

病院に特定の葬儀社さんがいるのは、病室から霊安室まで故人を
移送するのが仕事です。
霊安室から、ご自宅に送ってもらったり、その先の葬儀を依頼するのは
ご家族の意思で決めてください。

亡くなる前から「お葬式はここの葬儀社で」と決めていれば問題はないのですが
(その場合は、亡くなったら、すぐにそこの葬儀社に連絡をして、迎えに来て
もらいましょうね)
まだ、何も考えてない・・時は、とりあえず病院の葬儀社でも、近くの葬儀社でも
構いませんから、自宅に送ってもらいましょう。
この、自宅への移送から、料金が発生します。

そして、慌てて、その葬儀社に葬儀の依頼はしないで下さい。
自宅の布団(普段、故人が使っていた布団、又はベットでいいのですよ)に安置してもらいましょう。

そして、ドライアイスの処置とお線香が上げられる支度(これを枕飾りと言います)だけして、とりあえず引き取ってもらいましょう。

代金は後で請求書を、届けてもらいましょう。
この場で払うのは請求内容も分からないので、危険ですよ。

安置が終わったら、まず次の事を家族で相談してください。
1 葬式の形式は 仏教ですか?それ以外の宗教ですか?無宗教ですか?
2 葬式の規模は 呼ぶ人は制限する?それとも普通に知らせます?
3 葬式の内容は その地域で行う内容でよいか?(料理、返礼品、香典返し等)
4 葬式の場所は 葬儀社の会館?、公営の斎場や貸ホール?寺院?自宅?
5 葬儀社の条件は 設備?価格?対応?安心?

大まかに以上のことを決めたら近隣の葬儀社、数社に電話します。
葬儀社へ問い合わせる内容は、家族で相談した内容でしてくださいね。
以下の問い合わせは、皆さんが分かりやすい為の一例です。

「そちらで、葬儀をお願いすると、どの位かかるでしょうか?
例えば、場所はお宅の会館で、親族20人、会葬者全員で100人の場合、平均的な祭壇を使い、料理、返礼品、香典返し、車輌関係等、《葬儀終了までの総額》を教えてください?ごく、平均的な品を使ってお願いします。」

「そちらの会館は控え室がありますか?駐車場はありますか?」

「親戚が集まって、相談をしていますので、早急に(1時間以内で)ファックスして(電話して)下さい」

こんな風に伝えてください。
このときの対応が親切か、信用できるかもチェックしましょう。

これで送られた資料を見比べて、葬儀社を決めましょう。
決めたら、その葬儀会館を見学してみると尚更良くわかります。
その後に、葬儀の依頼をしましょう。

こんなに、面倒なのか! とお感じですか?

あなたの大切な人が亡くなって、葬式が終わったら目の前から姿が消えてしまうんです。
やり直しなんて、出来ないんです。
お葬式に不満を持った遺族は沢山います。
その上、安い金額ではないんですよ。(車1台買えますよ)
最近では、上の条件だと、平均ですが、150~200万位ではないでしょうか。

そんなに時間かけて大丈夫・・・と不安ですか?
大丈夫ですよ。

ドライアイスは大体24時間効果があります。
ご遺体の安置した部屋は室温を上げないように、日を遮ったり、クーラーをかけておきましょう。
もし、薄い掛け布団が掛かっていたら普通の掛け布団に変えましょう。
ドライアイスは気化するので、布団が薄いと冷気が逃げやすく、体を冷やす意味が
ありません。
そんな安置をした葬儀社は、知識のない葬儀社ですね。

急いで、亡くなったその日に通夜をする必要はありません。
ご家族に、考える余裕すら無いまま、葬式の詳細を決めるのはとても危険です。

第一、何でそんなに、急いで故人の姿を無くしてしまうのですか?
姿がある間、心から、語りかけてください。
この時間が、後になってとてもだいじな時間と気付くはずです。

でも、亡くなった後に葬儀社を決めるのは、大変なことなので
やはり、時間の猶予があるうちに良い葬儀社を調べておきましょう。
それには、さっきの条件で調べると便利です。

今日は、大事な話だと思ったので、驚くほど、長くなってしまいました。
よくぞ、最後まで付き合ってくれました。

有難うございます。


















赤ちゃんのお葬式

2008年04月19日 | 赤ちゃんのお葬式
「子供が亡くなりました。お葬式をお願いしたいのですが」
それは、生まれて11日目の赤ちゃんお葬式でした。

出産して、里帰りしてすぐのことでした。
急に赤ちゃんの様子が変わり、救急車で病院へ向いましたが
赤ちゃんは亡くなり、解剖されてお母さんの元へ帰ってきました。

奥様のご実家はクリスチャン。ご主人の家は仏教徒です。
でも、無宗教で家族だけで送りたい。というご希望でした。

部屋には、レンタルされたベビーベットがあり、まだ使ってないと事。

それでは、ベビーベットに今日は寝かせてあげましょう。

その隣にあるテーブルにマーガレットを飾り、写真を置きました。

産院でお母さん抱かれ、唯一撮った写真。それが遺影写真になりました。

夕方、ご夫妻と小さなお兄ちゃんとおばあちゃん、九州からご主人のご両親、会社からご主人の同僚3名が駆けつけてのお通夜です。


・・・赤ちゃんは11日と言う短い命でした。
   昨日、病院から帰ってきた、赤ちゃんを抱きしめて
   「お母さんのところに、帰ってきて」と涙を流されたお母さん。その横で
   3歳のお兄ちゃんは「お母さん、泣かないで」と声を掛けていました。
   楽しい思い出さえも作ることなく、送る葬儀は本当に辛い葬儀です。
   ご縁があって、私がこの場を勤めておりますが、この子を送るのに
   良い葬儀などあろうはずがありません。
   しかし、すでに赤ちゃんは逝ってしまいました。
   ご家族の為に、この式が少しでもお慰めになる事を念じて
   勤めさせていただきます・・・


ほんの15分ほどの通夜でした。

翌日、出棺の準備で伺うと、奥様が赤ちゃんを抱っこしていました。

「私、昨夜はずっとこの子を抱っこしてたんです。内緒だけど、夜中におっぱいも
あげました。」
「私、この子の様子にどうして気付かなかったのかしら」
「今でも、悔やんでいます。あの暗い、冷たい、警察の霊安室に
この子を、1人で置いてきた事を。ずっとそばにいてあげればよかった」

よしよし、と赤ちゃんを腕の中でゆすりながら、独り言のように話しかけてきます。

出棺が迫り、赤ちゃんを棺に納めた時
今まで、冷静に振舞っていた奥様が「いやー」と悲鳴をあげ棺に取りすがりました。

今でも、忘れられません。

その後、ご主人の膝に抱かれた棺と共に火葬場に向われました。



この奥様からその後、何度もお手紙を頂きました。

この季節になると、花屋さんの店先に出る、マーガレットを
見るのが辛くなります。
でも、やっぱりマーガレットを買って供えてしまいます。
この前、上の子が窓を指差し「おじいちゃんが赤ちゃんを抱っこして
来ているよ。赤ちゃんがお母さんは悪くないよって言ってるよ」と
話してくれました。子供には見えたのでしょうか。

この奥様のお父様は1年前に亡くなられています。

奥様の心の負担を取りにこられたのかもしれません。

今、お兄ちゃんは中学生になりました。












見た目じゃ、わかりません2

2008年04月17日 | sibatanoriko?
見た目と違うのは、私も一緒。

自慢じゃないけど第一印象は「辛口のバリバリ人間」に見えるんです。

背は大きし、姿勢はいいし、言葉は下町育ちでハッキリしてる。

私への挨拶は「おはようございます」って
語尾まできちんと言わないと怒られそう!とよく言われます。

仕事をしていると、特にこんな珍しい職業だと
余計に威圧感があるみたいですね。

私と長年付き合いのある人は
それがどんなに大きな間違いかを良く知っています。

ある日、社員ミーティングで椅子から立ち上がって、熱く語りました。
皆、感動している。もしかして、すごくカッコいい?
終わって、座ったら椅子が無かった!
立った勢いで、椅子は私のはるか後ろに滑っていました。
突然、目の前から私が消えたので、社員もビックリ、大爆笑。

車を降りて、「今日は目の調子が悪い。大分視力が落ちたみたい。よく見えないのよ」と話しかけながら、眼鏡を外したら、
アラ!!何で指がフレームを突き抜けてるの?
眼鏡のレンズが外れてなかった。
やだ!見えないのに運転しちゃった。

同じ過ちは2度起きる
目が充血して、ゴロゴロ痛い
コンタクトにゴミが入ったらしい。
レンズに汚れが付いたみたい、ぼやけてる。
エイ!痛いからとっちゃえ
左目、いくら探してもレンズが無い。なんで?
それもそのはず、右目に2枚着いていた。
嘘みたいでしょ。

お弁当買ってきました。
柴田さん、こぼさないで空けてくださいよ。
やってあげましょうか?

あ、話に手振りがついてきましたね。
ちょっと待った!
周りのお茶、片付けますから。
はい、話の続きをどうぞ。

こんな具合です。

黙ってりゃいいのに、すぐに失敗を披露する。
だから、皆が気遣って、周りの世話をしてくれる。

ありがとうございます。
私が、こうして怪我もせずに、毎日過ごせるのも
みなさんのお陰です。

これからも、なが~い目で見てください。


今までで、この話、一番早くできた。
何の迷いも無く、スラスラ打てた。  どういう事???




見た目じゃ、わかりません

2008年04月16日 | 私の半径100メートル
A葬儀社に行くときには、駅前のタクシー乗り場から、同じ会社のタクシー
をよく利用します。

お客様にティシュペーパーをサービスしてくださるタクシー会社で
私もいつも、頂いてます。
「お客さん、これどうぞ」
「あら、有難う。サービスいいのね」
「こんな物で、すみませんね」

こんなやり取りが、結構楽しいものです。

ある日、いつものように、そのタクシーに乗りました。
運転席の横には、やはりあのティシュペーパーが置いてあります。

運転手さんは優しそうな50歳前後の方で、
とても、丁寧な話し方をしています。

ところが、その運転手さんはティシュペーパーを渡す気配がないまま
目的地に着いてしまいました。

にこやかに挨拶して、タクシーは去っていきましたが
私は、ちょっとガッカリしてしまいました。

ティッシュペーパーが欲しかった・・・なんて思わないでくださいね。
バックの中に、今まで頂いたのがまだ残ってます。

私が、旅行用のバッグを持っていたし、会話からこの土地のお客ではないと
判断された、と感じたのです。

お客様によって、サービスを変えちゃ、サービス業の名が廃りますよ!

そう思いません?  見かけは良い人だったけど!


その夜、タクシーに乗ったら、ティッシュペーパーを渡され、又その会社の車に乗ったと、気が付きました。

暗くて、背中しか見えないけど、
体格いいし、声は野太くて、低いし、
余り愛想が良い人には見えないな・・と人間ウォッチング。

ふと見ると、運転手さんの横に小さな花のバスケットが置いてあるんです。

そういえば、卒業や送迎会の時期、お客様のプレゼントかな?
「可愛い花ね。誰かに貰ったの?」の問いかけに
「いえ、私が買って飾ってるんです」と野太い、低音で言われてしまいました。

イヤイヤ、そんなステキな心遣いをする方だったのかと申し訳なく思ったら
「お客さん、よかっったらアメどうですか?」と
キャンディーまで頂いちゃいました。

感激です、この意外性。

そうなんですよ。
人は、想像以上の対応を受けると、満足度が増すんですよね。

この運転手さん。
まさに、サービス業をしています。

1日のうちに2回もこんな勉強をさせていただくなんて!!

ありがた~い1日でした。





なんで葬儀なの?

2008年04月14日 | sibatanoriko?
なんで、葬儀の仕事をしているんでしょうね。
たまたま、近くに出来た葬儀会館にパートに出たのがキッカケ。

葬儀に興味があったと言うより、人を喜ばせたのが本音ですね。
これをすると、私が嬉しいのです。
充実感があるのです。
ある意味、自分勝手ですかね・・・。

葬儀で人を喜ばせるのは、おかしいですか?

悲しみ色の人を喜ばせるって・・・・
最初に思ったのは、「故人を大切にしてあげる事」だと思いました。

その他に何をしたら喜んでもらえるか?
悲しみ色をした遺族には「やっぱり優しくしなければ」と次に思いました。

そうそう、お別れしに来てくださる方にも優しくしよう。
故人を思って来てくださるのだから。

遺族にとって、お寺様はこれからずーとお付き合いするのだから
ご遺族の顔を潰さぬように丁重に接しなければ

結局「故人の360度に優しく」が答えだったんですね。

私は人を喜ばせたいから、この仕事を続けているのです。

あと、とって付ければ
父の従兄弟はとても僧侶でした。ある有名なお寺の貫主でした。
母の実家は神官です。

私が人を送る仕事に就いたのは、こんなご縁があるのかも知れません。

申し訳ないのですが、ご縁だけで、私は信心に欠けますが。



香典辞退に物申す

2008年04月13日 | お葬式
知り合いのお葬式があると、いつ?どこで?と出かける予定を立てます。
香典袋が無くって、コンビ二に寄っていくことも、よくあります。

最近、京都や大阪で香典辞退をする葬家が多くなりました。理由は
「お参りに来てくださる方に、迷惑になるから」との言い分です。

これってどこかで聞いたセリフですよ。
家族葬をされる方がよく同じ事をおっしゃいますね。

私は、知り合いのお葬式に行くのを迷惑だなんて思った事はありません。
多少でもお付き合いがあったら、「最後のお見送りを」と素直に思います。
もし、迷惑と考えるなら、最初から出向きません。

親しい友人が「母が亡くなったの。もう葬儀は済んだのよ」と言われた時
正直、ちょっとショックを受けました。
親しかったのに、遠方だった訳でもないのに、お参りくらいしたかったな・・
それに故人を惜しむだけでなく、友人の悲しみに少しは気遣いたいという気持ち
もありました。

お葬式って、遺族へのそういう意味もあるんじゃないでしょうか。

日本のお葬式ってお金がかかるんですね。
祭壇も結構高いですよね。それに料理や返礼品も出すでしょう。
でも、これを辞めるという人はいないんですよ。

アメリカでは葬儀費用は40万~80万位だそうです。
棺と教会の礼拝と埋葬の費用が主です。

アメリカには香典はありませんから、自分の葬儀費用は
自分で支度をするのです。

日本の人は気遣いの文化を持っているでしょう。
香典は「こんな時だから、少しでも何かのお役に立てて」と言う
思いで、皆さんは支度すると思うのですが・・・
これを、受ける側が一方的にに拒否されるのは、ちょっと傲慢な気もします。

葬家側は「香典を貰うのは迷惑掛けるから、お断りするけど、来た方には
きちんとお礼がしたいの」と言うことらしいんです。

日本の香典って、よく考えられているんです。
会葬者にかかる、料理や会葬礼品や車輌費用は頂いた香典で全て賄えるように
なっているのです。

だから、遺族は祭壇分だけ自分で支度すれば、普通のお葬式は出来るようになっています。経済的に大変な時でもこれで組織が出来るようになっているんです。

最近は、祭壇も安い物もあり、又祭壇無しという葬儀もありますよね。



子供が小さい頃、近所のお母さんたちと約束事をしました。
子供の誕生日プレゼントは頂くけど、お互い様だからお返しは無ね。って

でも必ず「これ、この前のお礼なの」品物を下さるお母さんがいる。
これと似ていませんか?


お香典を頂かないのなら、いっそのこと
祭壇も料理も会葬のお礼もなくしたらどうでしょうか?

葬儀社のコンサルタントをする身としては
余りに危険な提案ですが・・・









お元気そうで、安心しました

2008年04月10日 | 悲しみのケア

義母が足を痛め、今日は一緒に病院へ行ってきました。
桜も咲き終わったと言うのに、肌寒い雨降りです。

病院の玄関でタクシーを降りると、ボランティアの方が出迎えてくれます。
この病院は、院内の案内などを多くのボランティアの方がされています。

出迎えてくれたその女性は、エプロンに大きなマスクをしていましたが
一目見て、以前お世話した喪主のYさんだとわかりました。

義母の降車を手伝うYさんは、私の視線に気がつき、「あら」と軽いご挨拶。
私も車椅子に母を乗せ、先を急いだのでそのままになりましたが
お元気そうでした。

Yさんのご主人はとても几帳面な方で、普段から何でも書き留める方でした。
亡くなられた時も、ご自分の葬儀内容を詳細に残されており、ご家族は忠実に
その通りのご葬儀をされました。

ご長男は「自分の葬式まで決めていくなんて、親父らしい」と苦笑いされ
奥様もご長女も「思い通りにして上げられて、私達は心残りが無い」と満足げなご様子でした。

皆様の表情は、とても明るく、打合せ時には、笑い声さえありました。

無事に葬式も終了し、暫く経ってから、ご家族に変化が現れました。

奥様から「娘の落ち込みが激しい」とお聞きし、心配していましたが
奥様自身も様子が変わってこられました。

当初は「遺族の会」にも積極的に参加されていたのに、やがて姿を見かける事は
なくなりました。

ご主人の死を受け入れたつもりが、時間が経つにつれ、寂しさが増してきたではないでしょうか。

時折する電話で「病院のボランティアをしている」と伺っていたので、今日、病院につくなり、Yさんと気付きました。

よく「悲しみのショートカットは出来ない」と言われます。
<悲しみは閉じ込めた>
<悲しみむ暇など無かった>
<悲しみを考えないようにした>

それでも、悲しみは隙間を狙って忍び込んできます。
きっと、避けては通れない道なのです。
だから、自然に訪れる悲しみには、真正面から向き合うしかないのです。
周りの人は、その悲しみを止めてはいけないのです。

家族とはそれだけ、密接な絆を育んでいるのですね。
普段はそんなこと、何も感じてはいないのに。
愛も憎しみも、無視さえも、縁ある絆かもしれません。

帰り際に見かけたYさんは、患者さんの問いに熱心に聞き入っていました。
きっと、悲しみを受け止められた時間があったのでしょう。

























新幹線の出来事

2008年04月08日 | 私の半径100メートル
毎週、大阪へ新幹線で出かけます。
約2時間半はいつも読書タイムです。

新幹線では仕事柄か、車内販売や、乗務員の方の動作が気になります。
だから、趣味は「人間ウォッチング」なんです。

よく駅の改札で、利用客に声を掛けさせられている駅員さんがいますよね。
度胸試しでしょうか?気の毒に!
事務的な挨拶は人の心をつかみません。もっとほかの研修の方が良くない?

寄り道をしましたが、先週の新幹線の出来事です。
久しぶりに晴天で、富士山がくっきりと見えました。裾野まで。
こんなにきれいな富士山は本当に珍しい。

周りの人は余り気が付いてないみたい。
もったいないな~。デモね、声を張り上げるのもね~。

でも、もったいない。そうだ、せめて斜め後ろに座っている外人親子には
教えてあげよう。
「見て!! 富士山きれいよ」とジェスチャーで教えると
ご主人は長いこと、カメラで撮影してました。
やっぱり教えて良かった。
日本に来て、こんなにきれいな富士山の前を通っているのに知らなかったじゃ
かわいそう。
知ってますか、外国人のお土産の上位に富士山の写真があるんですよ。

さて、読書タイム。と思ったら
斜め前の3人組のおしゃべりと笑い声が気にかかる。
どうやら、新入社員。これから、研修に向うのか大きなカバンを持って
テキストを手に、夢中で話しています。

一番前の席で、目の前は壁。
周りの人が目に入らない位置。だんだん声が大きくなってきた。
周りの人は・・と観察すると笑い声が上がる度に、怪訝な目線を送ってる。
頭45度にして寝ている人も、声の高さに目が覚めて「一体、誰?」

暫く静観していたけど、人に気遣いを教えている身。
彼女達に悪気はないだけに、大人として教えるべきではないかと、自分を諭し
行動に出ました。

「突然に、ゴメンナサイね。あのね、あなたたち気が付いてないと思うけど、
話し声や、笑い声がだんだん大きくなっていて、周囲の人が気にしていると思うの。ここ、壁だから判り辛いよね。」
「もしかして、新入社員?これから研修に行くの?私もこれから研修しに行くのよ
大変だね、ガンバッテネ」

私が話しかけた途端、口に手を当てて「すみません」と言っていました。
それからは、とても静かになって、彼女達は名古屋で降りていきました。
人は愛をもって接すれば、必ず受け入れてくれる・・・これ私の持論です。
彼女達の社会人1日目も、おせっかいオバサン登場で、記念が出来たと思います。

わたしの娘も、ある会社で人事部の研修室に勤めています。
そろそろ、新人研修のはず・・とメールをしてみたら「今、研修の合宿に向ってます。準備で、此のところ、寝てないよ~」と返事が来ました。

皆、頑張ってますね。

翌日の新幹線構内の売店で、他の女性と重なり「お先にどうぞ」と声を掛けたら
「いいえ、あなたからお先にどうぞ」と言われました。「恐れ入ります」とお礼を申しあげたら、相手の方は大宅映子さんでした。
細身で長身のステキな方でした。

今日も新幹線に乗ります。



















初めての無宗教葬儀

2008年04月07日 | 自由葬・無宗教葬
私が担当した初めての無宗教葬儀は、平成10年のことでした。

47歳のスポーツ記者の方で、奥様のお姉さまが中心になって、葬式の打合せをされました。遺族に負担がかからないように、故人の縁を大事にという主旨がはっきりされていたので、無宗教葬儀の経験が無い私でも、お手伝いし易い葬式でした。

各方面のスポーツを担当されていましたが、特にラグビーには思い入れがあったようです。ご本人もが大学時代選手として活躍されており、ユニフォームを棺にかけて、飾りました。

通夜はお身内だけで、故人を偲ばれ、翌日500名の方が「お別れ会」に参列されました。

献花は、何種類ものお花を用意して、お好きな花を選んでいただき、棺の前に
長いオアシスを置き、そこにお花を挿していただきました。
その時に、故人のお顔が見えるように棺の蓋は開けたままにしておきました。
献花が終わった時に、棺の前が花畑になるようにしたかったのです。

献花が終わった後に、1人のお客様が遅れて来られました。
金髪で体格の良い方です。

「ウォー、ウォー」(と私には聞こえたのですが)大声で大粒の涙を流されながら皆さんの見守る中、献花して下さいました。

その方は、プロレスラーのダンプ松本さんでした。
あまりの見事な泣きっぷりに、大勢の方がもらい泣きされていたのが印象に残っています。

その後、奥様は仕事に出られるようになりました。
ご自宅は新築でしたが、ご主人がこの家にいる時間はあまり無かったようです。

何の問題も無く終わりましたが、今思えば、まだまだ未熟な無宗教葬儀でした。
どう言う訳か、その後、その葬儀社は無宗教儀(自由葬儀)が得意分野になり、ご依頼を多く受けました。

葬儀は担当者が1人で出来るものではなく、スタッフ全員のサポートが必要です。
その当時のスタッフは私の葬儀理念(葬儀は究極のサービス業である。それには無類の優しさを提供する)をよく理解してくれて、1つの葬式に全員の気持ちが集中していました。

そのスタッフ達が施行した無宗教葬儀は、思いで深いものばかりです。
あたたかい葬儀をする処は、やさしいスタッフのいるところです。

これ、本当ですよ。


遺族ケアを始めた理由

2008年04月05日 | 悲しみのケア
葬式の後、遺族は法事や仏壇の相談に葬儀社を訪れる事はあっても、長い付き合いはしないし、したくない・・・と思っていませんか?

私は以前勤めていた葬儀社でお世話したご遺族と、とても長いお付き合いをしています。
昨年の暮れにも、10名程のご遺族と食事をしながら近況を話し、楽しいひと時を過ごしました。皆さん8~3年前のご遺族です。

「葬儀屋とこんなに長く付き合うとは思ってもいなかった。そのお陰で今の自分がある。ずいぶん助けてもらったよ」そんな言葉をおっしゃってくださいます。

一体何をしてきたの? と不思議でしょう?
たいした事は何もしていません。
遺族の方が集まる場所と時間を提供しただけです。
そこで、皆さんのお話を頷いて聞いていただけです。

その話の中から、私は遺族の気持ちを学ぶ事が出来ました。
どんな講演や研修でも得ることが出来ない、大きな学びです。

私が葬儀に携わって以来、ずっと守っている葬儀理念があります。
「葬儀は究極のサービス業である、それには無類の優しさを提供する」というものです。
この理念を根底にして、葬儀メニュー、価格、企画、施行、ご遺族対応、スタッフ教育などを行ってきました。

ご遺族のために良いと感じた気付きは、臆することなく実行してきました。例え
今までの葬儀に前例が無かったとしても。
その結果は満足だけでなく、熱い信頼も頂くことができました。

そろそろ、遺骨前のお花が枯れて、始末に困ってないかしら。
お参りの人が少なくなって、寂しい頃かも。
近くまで来たから、ちょっと声を掛けてみようか。
お元気かしら、手紙を書いてみよう。

結局、式後もこんなやり取りがほとんどの方と続きました。
葬儀後、ご遺族には私達の想像をはるかに超えた、悲しみや辛さが押し寄せてくることを知りました。
今まで頂いた信頼があればこそなのでしょうが、伺ったときにはその想いが溢れ出てきます。

そこで、遺族の方たちが集まれる会を月に1回開くことにしました。
同じ痛みや、境遇の中で、ご遺族は安心して自分の気持ちを話されます。
時間と共に、自分の生活を取り戻した方はそっと卒業していかれます。
そのまま、ずっと通われる方もいます。
その会は、私がその葬儀社を退社するまで、7年間続きました。

このことを「ずいぶん助けられた」と、今でも思ってくださる方々がいます。
そこに同席していた私も、皆さんから学び、知らないうちに癒されていたのだと思います。

あなたの周りに、家族や愛する人を亡くした人はいませんか?
ペットを亡くしても同じような悲嘆があります。
この悲しみや苦しみを理解してくれる人が増えれば、遺族は自分を取り戻すことが少し早くなります。

これから、皆さんに遺族の気持ちをお話していきたいと思っています。

どうぞ、時々このページを覗いてみてください。