柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

家族葬を考える 故人を送るための工夫 

2023年03月25日 | お葬式
家族葬を検索してみると「式の流れは一般の葬式と同じ」となっています。

「誰を呼ぶか」は家族が決める範囲ですがどの葬儀社も一様に親族の範囲きめが難しいとしています。
故人からみれば自分の所帯だけが家族ではなく、兄弟も家族に含まれると考える人もいます。
血のつながりは薄くても、何かと行き来のある親戚が身近に感じることもありますよね。
親族間だけに後々の関係を十分に考慮しての線引きが必要ですね。

友人、知人に関しては「喪主が声をかけた人と限定する」としているようですが、予定外の方が見えても断らずに参列していただくのがマナーとも書かれています。これも一般の葬式に通じるものがありますね。
以前にも書きましたが、家族から見た故人との付き合いではなく、故人の最期に立ち会いたい人も来れる伝え方をしてほしいです。
そのためにも、家族が誰に声をかけたらいいか迷わぬように、エンディングノートに葬式に呼ぶ友人名を書き残しておいてください。
自分の死を知らせることは迷惑をかけることではないと気づいて下さいね。会葬に来る来ないはその人の選択です。

では「別れる場・時間」という点ではどうなのでしょうか。
家族、親族の集合時間は通夜前の1時間半か2時間前でしょう。
この時間にゆっくり、別れの時間を持って、というのは無理なことだと思います。慣れないことなので気もそぞろですし、確認事も沢山あります。
通夜時間の20分前には式場内に着席します。間に合うように来る方がほとんどで、当然故人や家族と触れ合う時間はないでしょう。

通夜が終了すると、近しい友人も家族同様に通夜振る舞いの会食に案内されることがありますが、一度席に着くと会場内をうろつくことも気が引けます。
ここでも喪主は打ち合わせや挨拶に追われます。

会食室に柩が安置されていなければ故人との対面もままならないかもしれません。

会葬者は縁のある故人にお別れに来ているのです。遺族にお悔やみを伝えたいと思っているのです
「ご愁傷様でした」の言葉で終わるのでなく、最期の様子や家族の想いを聞き、慰めたい人が集まるのが「家族葬」だと言われています。
それならば本来の目的通りに、通夜時に故人、家族、会葬者が別れるための時間と場を作りたいものです。


例えば、
通夜の読経時間は地域によって様々ですが50分前後のところも多いでしょう。
通夜の読経(通常は6時~)を定刻より1時間前に開始し家族、親族のみで焼香を済ませておきます。元々、通夜は親族のための時間でした。
会葬者が集まる6時には式場内に故人の柩を最前に安置し、焼香して故人に対面し、家族と会葬者が言葉を交わせる場を作るのはどうでしょうか。
僧侶は退場していますので、自由に動き会話をすることができます。
場合によっては、その部屋の一角に軽食を支度して、簡単な通夜振る舞いとしてもいいですよね。
実は私の父の通夜はこの方法を実践しました、
会葬に来てくださった方は家族と父の思い出だけでなく、泣いたり、笑ったり、多様な時間を過ごしました。
通夜後に私たちに届いた会葬者の感想は
・こんな通夜をしてもいいのですね
・今までで一番素敵な通夜だった
・御父上に逢ったことはなかったが、どんなご家族だったのかよくわかった
・遠くから来たかいがあた
・不謹慎な言い方かもしれないが、読経を聞いているより楽しい通夜だった
等でした。

故人らしさを出すために、故人の好きだったコーヒーとお菓子を家族が振る舞ったり、
故人の趣味の社交ダンスやコーラスを披露したり、この場で故人へのメッセージを書いてもらったり。
家族や会葬者から故人の思い出話を伝えたり、、、
そんなお別れはできないものでしょうか。

通夜の1時間を、「お別れに来たかいがあった」と会葬者が思え、
「この別れを故人は喜んでいるに違いない」と家族が思えるような通夜にできないでしょうか。

翌日の葬儀告別式は時間調整ができない流れです。
せめて故人の姿が目の前にある通夜に、故人との最期の時間を縁ある人達と共有できたらいいと思いませんか。




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