さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

5分足らずの間にあった危機と逆襲 井上尚弥最強の証明、ドネアを2回KO

2022-06-08 17:47:12 | 井上尚弥





ということで埼玉から帰って参りました。簡単に、とはいきませんが、感想文です。


布袋寅泰のギタープレイ、ジミー・レノン・ジュニアの「イッツ・プライム・タイム!」で場内、大いに盛り上がってゴングが鳴ったわけですが、初回が始まると、リングの上には、一見すると静かながら、実は「恐怖劇」が繰り広げられていたように見えました。


早々に、ノニト・ドネアが左を伸ばす。強打というではないが、ヒットはしたように。
ドネアの動きが良いように見える。遠目にも、無駄がなく、程よく力強く、それでいて柔軟な動きに見える。

じわじわとプレスをかけてくるドネアに、井上尚弥はいつになく慎重。
左を返す。スピードは感じるが、強く打ち込むことよりも、体重を後ろ足へ速く戻すことを優先した打ち方に見えました。

前回の試合で打たれたことをどう省みているか、その痕跡を勝敗以前に見たい。
そう思って見ていた試合ですが、早々にそれが見えたような気がしました。
外すと同時に切り込んで強打する、という、刃の風を楽しみながら敵を斬る、という風に言われた方もいた、いつもの井上尚弥とは、少し違いました。


しかしそれは当然のこと、眼前の強打者ドネアに対して、然るべき対応であるはずです。
ただし、井上が下がって外すその空間をきちんと使って、ドネアが身体の軸を立て、いつでも打てる、いつでも外せる、自分のベストバランスを手にしてしまっている、そんな風にも見えました。

それは恐怖の光景でした。
井上の速い左をガードで払うだけでなく、自分のリズムで小刻みにステップして外し、同じリズムで前にも行く。
右のボディブローは井上が外すが、相対しなおすと、またドネアが間合いを詰めて対峙する。
この間合いから両者の拳が交錯したとき、井上尚弥よりもむしろ、ノニト・ドネアの方に、それこそ一打で敵を打倒する決め手を繰り出せる目がある。
そう感じました。

まさか、今日この日に、井上尚弥が初めて敗れる光景を、目の当たりにすることになるのか。
そんなことまで思いながら、リングを見下ろしていました。


井上はこの押され気味な位置関係を少し嫌ったか、強めに左ジャブを伸ばす。陣地回復を試みた、という風。
しかしドネア、即座に右リターン。両者が左フックを繰り返し応酬、ドネアが右ストレートで井上をロープに追う。
井上は無理せず回って捌くが、ドネアのプレスが強い上に、反応も速い。圧されている、と見えました。


前回の反省をもって、外すことを優先したスタートが悪い選択だとは思いませんが、やはりそれ「だけ」で、御することのできるような、生易しい敵ではない。
いつかはやはり、打ち込んで止めないと。
しかし眼下に映るドネア、非常に好調そうで、また充実して見え、そして殺気に満ちていました。


井上尚弥なら、この危機...に、実際には至っていないとはいえ、その入口に追われつつあるこの展開を、これまでの闘いのように、即座に切り換える力があるはずだ、とは思っていました。
エマヌエル・ロドリゲス戦の2回開始早々から、上ずり気味だった重心をしっかり落とし、より鋭い軌道のパンチであっという間にKOしたように、いつ「ギア」を入れるか、そのタイミングはけっこう急に来る。
とはいえ、それはこの初回を乗り切ってから、その後の話だろうが、とも思いつつ。


初回の終わり頃、共に観戦していた友人と、そんな話をしていたところでした。
井上がワンツーを飛ばし、ドネア打たれたか?よくわからなかったのですが、その直後、ドネアが身体を捻って外し、直後に右を打つ動作に入った、と見えたところに、井上が左を省略して右のカウンター。
これが「先手」で入って、ドネアがダウン。
場内の大スクリーンでスローリプレイを見ると、こめかみのあたりに入っていて、あ、これはかなり効いている、と。


あまりの急展開に、井上応援の心情も忘れて驚いた、というのが正直なところでした。
で、2回、これは「行く」かなと当然思ったのですが、まだ井上は初回同様、遠目から左を打って、リターン警戒を重視するバランスに見えました。
ダウンさせてダメージを負わせて、その上で若干セーフティに振ったバランスのまま闘う。
前回の2回に見た光景とは何もかもが違う。冷静、というより冷酷なその姿を見て、先ほどまでの心配は消し飛び、井上の勝利を確信しました。
もう「間違い」は絶対に起こらない、と。


井上がワンツー、スリー、さらにコンビネーションを重ねて行く。
ドネアを下がらせて、そこにさらに自分の身体の軸を運び、さらに身体をしっかり回して打つ、という流れ。
そのさなかに左フック好打。ロープに追い、スリーパンチのスリーを、やや真っ直ぐに近い軌道で返すヒットが二度。

さらに詰める井上だが、ドネアが反撃し、身体を入れ替え、井上をロープに押し込む。
普通なら劣勢のまま仕留められるところだが、井上相手に、前に出て保たせようとするだけでも、やはり並外れている。畏るべし。

しかし井上が、相手のガードのインサイドを破る、井上ならではの左フックを決めると、足が伸びたドネアがよろめく。
ここから先は、井上のクッキングタイムとなりました。
4連打、ワンツー、3連打。右から左フックの返しでドネアがダウン。レフェリーが試合を止めました。




わずか5分足らずの間でしたが、見ていて息つく暇もないような、濃密な攻防でした。
ノニト・ドネアはキャリア晩年にあるはずが、それでもなお、現在考え得る中で最強の挑戦者である、と思っていて、しかもいざ試合が始まったら、これまた考え得る中で最高の調子に見えました。
その姿は、戦慄の倒し屋だった若き日の幻影ではなく、立った今、この時、この闘いにおいて、井上尚弥をさまざまに脅かしうる実体を伴った、恐怖の男そのものでした。


ところが、それを一度のきっかけで打ち倒し、あっという間に展開をひっくり返して、仕留めてしまう。
その逆襲の鋭さと強さ、そしてそれを実現する、し続ける井上尚弥は、改めて神々しく映りました。

試合後、少しだけ、故障云々の報道も出ましたが、おそらく表には出ない疲弊や、減量の難しさもきっとあるだろう、と思います。
最初の世界タイトル獲得からでも、もう8年。少年時代からの日々を思うと、彼はけっして、ボクサーとして若いとは言えません。
しかし、その長きに渡るボクシングへの献身に支えられた、圧倒的な強さに驚嘆するのみならず、危機と見える展開にも揺るがず、この大きな舞台で、少年時代から憧れてもいたという、生ける伝説を相手に、己の力を十全に発揮出来る心身の確かさにも、心底から敬意を...というより、畏怖の念を抱いてしまいます。


真の世界最強、真のチャンピオンとはこうでなくては、と思いはしても、それはやはり人間の仕業でもあるはずです。
しかしこれまで通り、今回も、井上尚弥は我々の期待を越え、危機に陥るかと見えても、我々の想像の一歩手前から逆襲し、勝利しました。

彼の試合の見終えた後は大抵そうですが、またも試合後、言葉に尽くせぬ感動に包まれて、会場を後にしました。
多少無理をしましたが、なんとか会場で見られて良かったです。




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7 コメント

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Unknown (Neo)
2022-06-08 22:03:11
お疲れ様でした.凄い試合を生で見られましたですね.
自分は2点,まずは井上が1R終盤あの機会を捉えたこととドネアの老いと凄みと共に見れたことに感銘を受けました.
まずは井上尚弥,技自体は感覚的に出たのかもですが、あのシチュエーション・間合いになったら狙うつもりで練習していたと見ました.本当に理に適っている機会で,打ち合いの流れの中一瞬距離も時間も開くタイミング,スピードに勝り肉体的にピークを迎えつつある井上が強靭な足腰で瞬間的に切り返し絶対に先が取れる,そこで一番打ちそうな左リードを見せる,するとドネアも後の先は体に染み付いているから自動的に右のプルカウンターのモーションに入る,そこをズドン!やっぱり練習しないと打てない機会だし,餌の撒き方も完璧だし,あそこまで綺麗に決まるかどうかは運もあると思いますが芸術でしたね.
ドネアは調子自体は良さそうでしたが,心身ともに良くも悪くもいつもより余裕のない印象を受けました.リカバリーもいつもより少なかったそうで,やはり年齢の影響があるのだろうと感じました.しかしながら初っ端左フックをコネクトし,1R終盤のあのパンチまではほぼほぼ互角に渡り合い(中盤以降井上がパンチをしっかり振れる様になるまではむしろ優勢でした),その後のピンチも前に出て重いパンチを振るい押し返すとベテラン強打者に出来ることは全部見せてくれましたね.敗れた後の振る舞いも実に素晴らしく,涙が出そうになりました.
時間は短かったですが濃密でした.素晴らしい戦いでした.
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素晴らしき戦い (もみあげ魔神)
2022-06-09 03:00:52
ブログに書かれているように、時間にすれば短くとも、2人の凄さが凝縮された264秒だと感じました。
ドネアのファーストショットで、この試合が非常に高いレベルで行われることがわかりましたし、1R、ドネアが圧している(かのように見える)シーンもありました。
ボクシングをある程度見ている目があれば、一定レベルまでの試合であれば「ここがこうで。ここがこう」と頭のなかで整理しながら見れたりもするのでしょうが、正直、あとでプロの解説を聞かないと、何が行われていたかわからない(^^)、研ぎ澄まされた攻防でした。
もちろん、往時のドネアと戦ったらどんな試合になっただろう、というボクシングファンの想像(妄想(^^))もあるでしょうが、ドネアの今の力が、一段高い井上尚弥を引き出したのは間違いないと思います。

試合後、井上尚弥が、「今回はドラマにするつもりはない」という発言は「自分にプレッシャーをかけるため」だったと言っていましたが、今回もまさに「有言実行」を地で行く試合でした。
ただ、有言実行を辞書で引くと、「言ったことを必ず実行する」といった意味が出てきますが、井上の試合を見ていると、そこに「そして、実行するために、あらゆる状況を想定して準備しておくこと」という意味を付け加えたくなります。
今回も、当然、様々な状況からの左フックを回避する練習をしてきたでしょうし、ともすると、左フックを食った後のシチュエーションも想定していたかもしれません。

今後については、バトラー戦か、1階級上げるかという話が出ていますが、個人的には、イギリスでのバトラーとの試合が見てみたい。
バトラーの試合でそういうシーンが起こるかはわかりませんが、観客のセブンネーションアーミーが響き渡るなか、井上がそのMonsterたる所以をイギリスのファンに披露する光景が見てみたいですね。
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Unknown (モノクマ)
2022-06-09 04:29:35
いやあ、すごい試合でしたね
自分はアマプラで見ていて、両者が向かい合うまでは井上の勝利を祈るあまり不安で画面すらまともに見ていられなかったのですが、リング中央で向かい合った瞬間、1戦目の時の印象と異なり井上がでかかったので急に頼もしく思え、そこからしっかり画面を見ることができました笑
井上が大きかったということもあって、序盤のドネアの圧力も両者の交錯も(開始直後の左フック以外)なぜか安心して見ており、その交錯のテンポの中で急に井上が加速したかのように見えたらドネアが倒れていて、そこからは井上の独壇場という試合の印象でした。
この試合で井上が今までより大きく変わったなと思ったことは、1つ目は安易にロープ際に詰めさせなくなったことです。素早いフットワークと相手を脅かすパワー、テクニックを持つ井上なら難なく脱出できるはずなのに、圧倒している試合でも簡単にロープに詰められ、ガードで固まるなといつも不思議に思っていたのですが、あれは相手が有利な状況を作って手を出させカウンターを取るためにわざとやっていたのだなと今回の試合で簡単に脱出する様やレジェンドの比嘉戦での対応を思い出して感じました。今回の試合ではそうしたおごり(相手の実力を見誤ることがなければKOをとるのに有効なのかもしれませんが)がなくなり、1戦目のピンチを招いた最大の原因に対しての対処がみられよかったです。
2つ目はハンドスピードがあり、危機管理ができたラッシュをしていた点です。相手が死に体とみるや、パワーを生かし体ごとぶつけるような理不尽なラッシュは井上の最大の武器でもあり、階級が上るにあたっては相手の耐久力やパワー上昇からラッシュの隙をつかれた際に最大の不安要素にもなるとマクドネル戦以来感じていたのですが、今回の試合でハンドスピードと相手の対応にも対処しながら追い詰めていくラッシュをしていて、それに対する回答が見ることができたと感じました。
こうした井上の変化を見ることができたのも、バンタムの中で理不尽なサイズをもち、今までの経験を達人のようなスキルに変換したドネアがいたからこそだと思うので、感謝したいです
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Unknown (アラフォーファン)
2022-06-09 07:22:27
濃密でしたね。結果は2ラウンド快勝、ただ長谷川さんが解説で指摘した通り、ドネアさまは尚弥様のジャブをある程度見切っていた。これは今までなく、足の動きもよく、これは、と思ったらあの右ですからね。あの居合い抜きのようなパンチがある尚弥様、化け物です。考えたらロドリゲス戦の2ラウンドKOも、最初に尚弥様のジャブに右被せてきて、もしやと思ったらあのKO。
あの時も今回もそうでしたがその前に左フックを強く振り、空振りした後相手が撃ちにきたら次恐ろしく速くコンパクトなパンチを決めて倒しているんですよね。ロドリゲス戦では左フックを内から当ててましたが。
もしかしてあの左空振りは相手を煽る伏線だったのか、と思え、だとしたら恐ろしい。
いずれにしろすごい試合見させてもらいました。
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Unknown (おう)
2022-06-09 12:48:00
私はアマプラで観戦しました。
どうしても前回の展開が頭をよぎり、入場から緊張感MAXだったのですが、布袋さんがギターを抱えて出てきた瞬間一気に冷静になりました。
というか、引きました。

まあ、それは置いといて
ドネアは素人目にも絶好調に見えました。
いきなりのパンと入ったジャブではない左で、いきなり来るか?と恐怖すら感じましたね。
さすがにドネアも慎重でそれはありませんでしたが。
結果的に試合は1R終了10秒前の攻防で決まった感じですが、何度見直しても一瞬左をピクっと動かして瞬時に右ストレート一閃!
あの時の左ピクはフェイントではないと思うのです。
ドネアも全く見えないところから来たと言ったように、流れから一瞬の隙を見つける天性のモノ
もちろん練習のたまものなんだと思います。
2Rについては見た通りで、私は恐怖に怯えたようなドネアの顔が印象的でした。

バトラーにはやってやる、という男気を見せて欲しいですが、どうかなあ・・・
観戦おつかれさまでした。
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Unknown (おう)
2022-06-09 12:55:51
連続書き込みすいません

書き忘れたのですが、ストップが掛かった瞬間、祝福するより前にいち早くドネアの元に駆けつけた井上トレーナーが素晴らしいと思いました。

結果だけでドネアが衰えたからと急に言い始める人も多いようですが、前回からここまでの戦績を見ろと。
フェイスオフや計量からの立ち振る舞いといい、素晴らしい選手です。
少し休んで、また天性の後出しジャンケン左フックを見せて欲しいと願っています。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2022-06-09 17:23:52
>Neoさん

あの左省略(=フェイント)、誘導、右ダイレクトは、あの狙いで練習していたのかもしれませんが、出るか出ないかは咄嗟、なのでしょうかね。何しろ天性と度胸、心技体の錬磨、全てが高次元過ぎて、リアルタイムでは理解が追いつきませんでした。凄いものを見た、と、言えたとしたらそれだけです。ホンマに世界一強いボクサーというのは、こういうところが違うのだ、と。
ドネアは、会場で見ていた印象だと、全てが良いバランスで整っているように見えたんですが、いろいろ報道などでは違う印象も語られていますね。
私の印象では、軸がしっかり決まっていて、引き気味の井上を追い込んで相打ちに持ち込んだら、井上が倒れるんではないかと思って、怖かったほどです。倒される直前の防御動作から動きを切らずに打とうとしていた右など、その狙いだったのでしょう。それが結果「先手のカウンター」で倒されるとは、夢にも思わぬ、まさしく「暗転」だったんでしょうね。
本当に短いながらも、戦慄的な、濃密な闘いだったと。観戦出来て良かったです。


>もみあげ魔神さん

会場で見ていると、ドネアの圧力、というのみならず、柔軟さやリズムの確立、バランスの良さなどが相まっての「恐怖」が、初回2分45秒くらいまでは、リングを支配していたような印象でした。それだけに、その後の急展開は衝撃的でした。単に井上圧勝、井上強かった、という見方では語りきれない試合だったと思います。
往時のドネアとの闘い、というか、お互いに稚気が残る段階で当たっていたら、という想像は確かに楽しいものですね。
しかし、年齢が10違うんでしたっけ、それで実際に闘って、これだけ凄い試合を見せてくれたんですから、まずは両者に感謝したい、というところです。
仰る通り、有言実行のための土台作りの部分ですね。そこが凡百の言葉との違いです。かつては鬼塚勝也の自虐的ですらある悲観主義が知られましたが、素質の面で鬼塚を大きく上回る井上が、心の構えの面でも同等かそれ以上のものを備えているように見えます。
バトラー戦はほぼ決まっているようなものでしょうね。やるなら日本というのも同じくです。かつてマクドネルが得た好条件以上のものを求めての来日、というのが既定路線でしょう。英国でのロケーション、確かに見たいですが、残念ながらそうはならなさそうですね。


>モノクマさん

アーカイブで映像を見た印象は、確かに会場でのそれとはだいぶ違いました。私はもう、初回の大半、恐怖しつつ見ていましたので。安心するタイミングが違うだけかもしれませんが(笑)。
井上の周到さは、回り込みや、打つときのバランスに出ていましたね。やはりきちんと外すことがテーマだったのでしょう。
前回は仰る通り、無用な「停止」をきっかけに打たれたので、そこを省みた部分かと。
とはいえ、今回の選択は、それはそれで、悪くすればドネアのような強者相手に踏み込まれ、引き込んでしまうこともあり得るわけです。しかしそれを、あっという間に打開してしまうんだから凄いですね。
2回の闘いぶりは、記事にも書いたとおり、非常に頼もしく映りました。ここで本腰入れて安心しました(笑)。仰る通り、リスクを排除しつつ、詰めの前段階の闘いをしていましたね。効かせたあとも同様でした。
ドネアに対しては改めて敬意しかないですね。真の王者から、新たな王者への継承式が、結果として14ラウンズを要したということでしょうか。昔なら一試合で済んだのかもしれませんが。


>アラフォーファンさん

仰る通り、ドネアの何が怖かったかといって、足が小刻みに動いていたところですね。前後左右、いつでも動けて、しかも最小限の動きで打てる、外せる状態が維持されていた。打っても避けても軸がぶれない。対して、やや引き気味だった時間帯の井上が、そこから打ったときに、相打ちにでもなったら...当たるタイミングが遅れ、ウェイトの乗りでも負け、なんてことになったら...と思って、怖くてしょうがなかったです。
最初のダウンシーンは、急すぎてびっくりしました。確かに、いつ試合の流れを覆すか、そのために叩きにかかるか、そのタイミングが、いつも見ているこちらの想像の先を行く、まあ滅多にいない類いの選手だとわかっているんですが、それにしても、という。
もう何回も驚かされているんだからエエ加減慣れろ、と言われたら返す言葉もないですが、今回もまた、改めて新鮮な気持ちで驚かせてもらいました。
井上尚弥は本当に凄い、という、まあありきたりな結論の繰り返しですね(笑)。


>おうさん

布袋寅泰のギタープレイは、私は肯定的な口です。まあ音楽的に好みは分かれるところがあって当然ですし、リングの上で演奏というのも、批判的な意見はおありでしょうが。私は他に苦手な音楽ジャンルがあり、それが入場曲に使われるよりは良かったかな、というところです。この辺はあまり深入りするとピンチを招くところですが(笑)。
あのダウンシーンは、準備とか計算とか、それこそ「誘導」であるとか、いろいろ見方はあるにせよ、実際あのドネアと相対してのリング上で、それだけで実行出来るものでもないでしょうね。本人は事も無げに言うかもしれませんが、仰る天性、本能、嗅覚のようなものが備わって初めて、ああいうことが出来るんでしょう。
ドネアはダウンシーンについて自ら語っているようですが、あのように強く、滅多に自分が倒れる側に廻らない御仁が倒れるときというのは、記憶や感覚が喪失していることが多いのかもしれません。
ガン、と衝撃が来て、目の前が一瞬暗くなり、気づいたらレフェリーのカウントが聞こえて驚く。かつて渡嘉敷勝男が韓国で、張正九と闘ってダウンしたときの述懐と全く同じ内容でした。衝撃的だったのでしょうね。
バトラー、やる気は大いにあるようです。本人や周囲が、あまりに分不相応な要求をしないように、と、それだけが唯一の気がかりです。
陣営のマナーは会場では目が行きませんでしたが、素晴らしいことです。
今回の試合で、ドネアがそう見えたなら、残念でした、と言うしかないですかね。勿体ないなあ、と思うのみ、というか...。
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