さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

共に「真価」はこれから問われる 比嘉大吾と拳四朗、揃って王座奪取

2017-05-23 22:05:20 | 関東ボクシング




最近、もはや「流行っている」風ですらある、というのか、王者の計量失格騒動。
しかも、たいていの場合、タイトル保持より、試合当日のコンディションを崩したくないから、
無理に落とす努力はせず、グローブハンデなし、当日何の制限もなし、という試合に臨むパターンが
日本のみならず、世界中で散見されます。

人によっては事前に金銭で解決を図ったり、それを契約条項に最初から入れたり。
果ては試合一週間前に、契約ウェイトの変更を相手に強いる、豪の者まで。

先月、大阪での試合は結局、観戦はしなかったわけですが、今回はとうとう、かち合ってしまいました。
ミニマム級から上げてきた選手が、まさかこんなことをしでかすとは、想像してもいませんでした。

本当に、これからは両者がすんなり計量パスする方が珍しい、なんて時代が来るのかな、と。
それは大げさでも、年に2、3回は当たり前、という感じになったりするかも、と。怖い話ですが。


ファン・エルナンデスは、聞けば僅か200グラムオーバー。
200くらいなら、再計量までに何とか落とすだろうと誰もが思っていたそうですが、
すぐに諦めて水でも飲んだらしく、再計量では増えていたとのこと。

具志堅用高会長は当然不満爆発、一部報道には、試合当日午後4時に再計量し、
122ポンド以下なら試合許可となる、というような話も出ていました。
それならまだしも...と思っていましたが、当日、試合前のその辺の経緯がどうだったのか、
観客に向けての説明は、一切ありませんでした。

ほんまに、どこまでもエエ加減な...と呆れているところへ、
コミッショナー宣言とやらが「厳重な検査を行い」「共に適格と認めましたので」と
いつもどおりに述べられるに至っては、いちいち気にするこっちが馬鹿なのか、と
暗澹たる気分になりました。

後に聞いた話では、その「再計量」に、エルナンデスは姿すら見せなかったらしい、とのことでした。
どこにも事の次第が報じられていない(これもどうかと思いますが)ので、真偽のほどは定かではありませんが。

※エルナンデス当日計量の次第は、こちらに記事ありました。訂正します。
記事によると増量は3キロほどだった、とのことです。
やはり、好き放題に体力を蓄えてはいなかったようです。



試合が始まると、エルナンデスは一見、違和感なく足を使って回る。
しかし、どこか動きが浮ついて見える。
打つため、ステップを切り返すために、重心を落とす瞬間に、僅かにノッキングしているような印象も。

対する比嘉大吾は左を伸ばしつつ、動きを止めない相手を追う。
しかし手はあまり出ていない。


初回、ポイントはメキシカンに行った、と見ました。
比嘉は追うが、エルナンデスがコンスタントに手を出している以上、そうなると。
これは3回、4回も同じでした。

しかしその間の2回、比嘉の左がカウンターで決まると、あっさりとダウンシーンが起こります。
良いタイミングで決まった一打でしたが、同時に「え、あれで倒れるの」と感じました。

5回もまた、身体ごと飛び込んで打つ左フックで2度目。
試合展開は一気に変わり、6回は右ボディストレート、ボディブローから
上にアッパーを返す、比嘉得意のコンビネーションが再三決まり、立て続けにダウンを追加。
合計6度目のダウンでストップとなりました。


ひとたび好機を得ると、上下、内外を多彩なパンチの組み合わせで打ち、
倒してしまう比嘉大吾の攻撃力は、見事なものでした。
これまでの試合で見せた力を、世界戦の舞台でも、十全に発揮してのKO奪取でした。

具志堅会長が育てた初の世界王者となりましたが、そのスタイルやキャラクターは、
具志堅会長から良いところを引き継いだ部分があり、これから人気王者となってくれそうです。


しかし、敗れたエルナンデスの状態には、ちょっと疑問も感じました。
動き自体はまあ、問題なかったかもしれませんし、手も普通に出ていました。
ただ、ひとたび打たれると、あまりに脆く倒れ、受け身になった際には、
簡単に体勢を崩してしまい、まともに相手の力を受けてしまっていました。

計量失格後の身の処し方はともかく、そこに至るまでの減量苦、ないしは調整失敗が
ある程度、影響していたのだろうな、というのが率直な印象です。


比嘉大吾の勝利は、改めて見事なものだったと思います。
多大な注目を集めるイベントのセミファイナル、場内から大歓声を集める王座奪取。
6度のダウンシーンを経ての勝利は、かなりのインパクトがあったと思います。

しかし、その王者としての真価は、今後の試合ぶりによって問われるでしょう。
ボクサーとしての魅力は十分にアピール出来たとはいえ、この試合によって、
彼が世界王者としての実力を証明したかというと、残念ながらそうは言い切れません。

もちろん、大いに期待出来る、可能性大、だとも思います。
すぐに統一戦だなんだとはいかないでしょうから、上位の選手相手との対戦において、
また豪快な、爆発的なファイトを見せてほしいものです。


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ガニガン・ロペス対拳四朗は、事前に思っていたような、クリアな拳四朗の勝利にはなりませんでした。

現時点で、TV放送が初回と最終回のみ、とのことですので、簡単に経過などを。メモ程度ですが。

初回、ロペスが手を出す。拳四朗、正対した位置取り。左は当たる。ややロペス。
2回、拳四朗の右リードがややまさるか。拳四朗。
3回、拳四朗の右ショート、ボディ打ち、ロングにカウンター。ロペス顔赤い。拳四朗。
4回、拳四朗ジャブ、右カウンターを差し込む。拳四朗。

5回、ロペス採点劣勢を知り、出てくる。拳四朗手数減る。ややロペス。
6回、正対する位置取りをロペスが左で狙う。ロペス。
7回、拳四朗右アッパー、ロペス右フック、軽い連打。拳四朗右ボディ。迷う回。
8回、拳四朗右ボディ。カウンター。ロペス手数落ちる。拳四朗。

9回、拳四朗足とジャブで捌く。拳四朗。
10回、拳四朗逃げ切り体勢に入る。早すぎる。ロペス左打って前に。ロペス。
11回、ヒットの応酬、ロペス必死、拳四朗逐一下がってしまう。印象悪い。ロペスか。
12回、拳四朗、セコンドに言われたか、ロープに押されるも手は出る。ボディが効いて打ち勝つ。拳四朗。

採点は2-0で拳四朗。7対5が二者、ドローが一人という採点でした。
私の採点も、迷う回次第ですが、同様の数字でした。


序盤は、技巧派同士の対戦らしく、静かな展開ながら、拳四朗の巧さがまさった印象。
しかし途中採点で劣勢を知ったロペス、手数を増し、執拗に攻めてきて、
拳四朗も徐々に苦しい展開になっていきます。

それでも8回終了後、三者とも2ポイントリードと出て、9回も抑えたように見えました。
このまま行けるかと思ったら、10回、大きく足を使っての逃げ切り体勢をとります。
最終回残り30秒、とかならさておき、いかにも早い、これでは相手の奮起を引き出すだけや...と
思っていたら案の定、ロペス必死の形相で追撃。11回も「絵」としては同様。
最終回、ボディ攻撃で打ち勝って、僅差で勝ちましたが、とても快勝とは言えない試合でした。

もっと良い回りで、好打して捌いて、クリアに勝って欲しいと思っていましたが、
ガニガン・ロペスの粘り強さ、執拗さには、改めて感心されられました。
この選手をクリアに突き放したり、倒して勝つというのは、相当桁外れの力が無いと無理だ、
見終えてそう思わされました。

逆に言えば、若い拳四朗にとって、よく競り勝った、と称えるべき試合だったとも。
世界初挑戦で、そういう試練の一戦を勝ち抜いた拳四朗には、これを糧にさらなる飛躍を期待します。

しかし、TV放送はどうなるんでしょうかね。後日、深夜録画放送でしょうか。



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5 コメント

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Unknown (neo)
2017-05-23 22:41:25
比嘉は、はじめて見ることが出来ましたが、なかなかの強打者ですね。タイプ的には川嶋勝重を思い出しました。比嘉も野球出身で格闘技歴は浅いそうですね。しかし、沖縄ファイターの血が色濃く流れていて、好感を持ちました。
ただし、今回、エルナンデスが十分でなかったのは自分も同感で、それでも半ばまでアウトボックスされていましたから、今後アウトボクサーとどう戦うかが課題ですね。特に右回りを上手く使うサウスポー相手には苦労しそうな印象を持ちました。
拳四朗は、対サウスポー初戦?という話を聞きましたが、それであれば陣営は良くこの相手にぶつけたな、と驚きました。ガニガン・ロペス、メキシコで鍛えられたサウスポーらしく、差し合いで分が悪いと見るや、すかさず前進してしぶとく戦うスタイルに変えるあたり、メキシカンやなあ、一筋縄ではいかんなあ、と。拳四朗、初回から最後までいつもの距離感が冴えず、ずれて軽打をもらい、やりづらそうに見えました。それでもパンチ当てて試合を作り、しかも勝つあたり、やはり只者ではないなあ、と思いました。今後、もう少し経験を積みたいですね。ただ、やはり間合いに関してはセンスを感じますし、楽しみだと思いました。
次世代エースの本格発進 (タウ)
2017-05-24 08:08:27
比嘉大吾、私は現時点でこの選手の実力は井岡一翔、そして井上尚弥を越える領域に来ていると思います。
エルナンデスは簡単に倒れたわけではない。2ラウンドのダウンは完全に死角から、しかも絶好のタイミングカウンターで顎を捉えていた。スロー再生を観てみると一目瞭然。エルナンデスはパンチが全く見えていなかった。もしあれに体重が乗っていたらと思うと寒気がします。
6ラウンドに立て続けにダウンを喫したのは、単に前回のラウンドのダメージが残っていただけの事。5ラウンドにエルナンデスの顎をカウンターで捉えた沈めた身体を起き上がらせながら打った左フック、所謂ガゼルパンチ。エルナンデスのダメージは甚大で、あれで実質勝負はついた。
パンチ力やパワーに目が行きがちですが、硬いガードと膝、上体を駆使したディフェンス能力、的確に急所を射抜くパンチの精度は極めてハイレベル。
対戦相手のレベルは間違いなく上がっているにも関わらず、いつも通りの倒しっぷり。凄まじい成長速度です。
遠からず、彼の時代がやって来ると感じましたね。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-05-24 14:29:44
>neoさん

過去のベストである、アーデン・ディアレ戦同様、或いはそれ以上に見事な攻め落としでしたね。ボディから上へ攻撃をつなぐパターンが多彩で、相手からしたらなかなか防ぎにくいでしょう。今後については相手も色々あるでしょうが、生半可なボクサータイプで捌けるような、生易しい選手では無いですね。エルナンデスはどうかと見ていましたが、やはり僅かな綻びが見え、それが致命傷になったような気がします。
拳四朗は、サウスポーとのスパーを重ねてきたという話でしたが、左右以前に、ロペスの執拗さに苦しめられましたね。スピードもパワーも並でしたが、それ故に身につけた粘りがある選手でした。
拳四朗は序盤、サウスポー相手に左から当てて行き、ロペスが動きを変えたら右リードで追う、という切り替えを、すんなりこなしていました。あのあたりは、地味ながら流石のセンスですね。世界上位に通じる巧さ、感覚的なものを持っている選手です。

>タウさん

比嘉大吾の将来に、大きな可能性を感じるのは同感です。「評」すればもちろん、それ以前にあの闘い方、果敢であり、かつ攻撃パターンに「理」が見えることも素晴らしいですね。現状で井上と伍して闘えるかというと、私はまだそこまでではない、と見ますが。井岡との比較は、例えば井岡側から見たら、非常に怖い、扱いかねる、という感じかもしれませんね。
今回の試合は、エルナンデスは一見、前の試合などと変わらず動けているように見えましたが、打たれたときには、本来止まっていてはいけない位置で止まり、無理して打って、比嘉の左をカウンターでもらったように見えました。耐久力自体も、もっとあるはずなのに、と。5回、6回に関しては、もう比嘉の猛攻が凄かった、と思います。
村田諒太の、ミドル級、金メダリストという価値の大きさを別にすれば、日本のボクシングは今後、井上と田中恒成のツートップが背負っていくだろう、と思いますが、比嘉大吾がこの二人に肩を並べるようになっても、何ら不思議ではありませんね。何しろ、スターの素質があります。今後が楽しみですね。


Unknown (R35ファン)
2017-05-24 19:44:28
こんばんは。心配した通り、ケンシロウ君の試合は最初と最後しか入らず、私は勝った、良かったしか言えないのが悔しい。CSでもいいから後日録画見たいです。
エルナンデスの綻びは確かに見えましたがそれでも世界初挑戦の若武者の相手としては充分高いレベルだったと感じました。ましてや体重を守らなかった訳ですし。その相手をきちんとルール守った上で見事に叩きのめしてくれた比嘉君は素晴らしかったです。あれだけ低く、深く踏み込んでもしっかり強い連打打てる足腰の強さ、日本人ファイターには珍しい多角、多彩なパンチ、きちんとしたガード、今回はジャブも良かったし、会長さん含めてもっと人気出ていいと思います。フライ級がつまらんと前に申しましたが比嘉君や田中君のおかげで楽しみになりました。
さてあの唯一無二様は先に比嘉君とやってみたいとか前にコメントしてましたがどうするんですかね。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-05-25 18:29:10
>R35ファンさん

ロペスvs拳四朗戦は、YouTubeの動画を別記事に貼りました。画質がよろしくありませんが...。
エルナンデスは当日計量で、だいたい54キロ前後だったみたいで、好き放題に飲み食いして体力を蓄えた、という風ではなかったようです。それ以前に減量に苦しみ、体調も悪かったのかもしれませんが。比嘉は相手どう以前に、自分の力を出し切ったと思います。減量は厳しそうですが、食事面などから見直して調整したという話ですし、これからさらなる飛躍に期待ですね。
浪速のワンアンドオンリーさんは、結局はこれまで通りだと思います。ゾウ・シミンの名前が「話題」に上がっていますが、これまで通り、名前使うだけなら一銭もかかりませんしね。比嘉やの、まして田中恒成など、やるわけないと思います。TBSが業を煮やして田中恒成と組もうとするかもしれませんが、もし受けるとしたら、大いなる勘違いとしか言えないでしょうね。是非、一度くらいそういう勘違いをしてもらいたいものですが...。

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