さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

不変

2008-10-28 00:28:33 | 辰吉丈一郎
今まで(たぶん)見たことのない「GBR」さんというサイトに、
辰吉の試合の様子が詳細に報じられていました

動画も複数アップされていまして、そちらも見ました。
しかし、辰吉の試合が動画サイトでしか見られないという事態を、
かつて辰吉丈一郎のボクシングに熱狂していた頃には、
全く想像できなかったですね。
まぁ、動画サイトの存在そのものが想像できませんでしたが(^^;)

辰吉のデキについて言えば、彼の壮絶なキャリアと、
そこに加わった5年のブランクを考えれば、リングに立つだけでも難事だと思います。
まして専属トレーナーもおらず、所属ジムの支援もない状態です。
動きが悪くて当然、良かったらそれこそ化け物ですね。

今回の相手、極めて弱かったです。
そして今の辰吉にとっては、この相手選び、悲しいことに正解でした。
辰吉本人にとっては、この相手と試合すること自体が屈辱でもありますが、
それを受け容れてでも闘うことこそ、辰吉自身が望んだことでもあります。

5年前、足の故障を押して強行されたアビラ戦以降、
今回の、試合自体も背景も厳しい再起戦に至るまで、
5年もの時間が、無駄に使われたような気がしてなりません。
ひたらく言うと「どうにかならんかったんかいな」です。

辰吉の状態が、こういう相手としか闘えない状態なら、
どうにかして国内でやっておけばよかったし、
その時々の状態に応じた相手と、相応の試合をしながら、
辰吉が調子を取り戻すために段階を踏んでいけば良かったのです。

しかしそういう当たり前の考えが通らなかった様々な事情こそ、
辰吉丈一郎の悲劇、苦難だったのでしょう。


今回、辰吉のやっていたボクシングは、やはり辰吉のものでした。
やや左足加重、前傾気味で、ヘッドスリップに依存した防御、
低いガード、しかし左のリードとボディブローを巧く散らして
攻撃の端緒とし、コンビネーションで切り込んでいく。

辰吉はかつての自分自身を、変わりなく追い求め続けていることが、
Youtubeの画像からも、はっきり伝わってきました。
そして悲しいことに、もう、彼が追い求めるかつての彼自身を
取り戻すことは二度と無いだろう、ということも確信できました。


今回の試合については、様々な形で辰吉を捉えた意見が
既にあちらこちらに出ていました。
様々な困難を乗り越えて、曲がりなりにも試合をするところまで
辿り着いた辰吉を称える声、
辰吉の身体を案じる声、試合が行われた背景についての議論など、
どれもこれも共感でき、また一理ある意見ばかりでした。

ボクサー辰吉丈一郎は、かつての天才を失って、多くの傷を負い、
長く苦しいブランクを経てなお、多くのボクシングファンにとり、
敬意や愛情、または敵意、峻拒の対象であり続けています。

そして、それ故の栄光と苦難を経て、なおかつ闘い続ける意志。
その主、辰吉丈一郎は、故・佐瀬稔氏の言葉通り「極めて希有な存在」です。
彼の先行きがどうあろうと、それだけは変わることなく。


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4 コメント

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Unknown (ココット)
2008-10-28 21:06:50
相手がノラシンだったら厳しかったですね。

辰吉は「相手が長谷川でも必ずベルトを取る」と言っているらしいですね。それはどれだけ無謀でもやるということなんでしょうか・・・。

気になるのは辰吉のこの挑戦がどういう形で終わるのかということです。試合が出来なくなるまで戦う気なんでしょうか?非常に心配です。
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Unknown (SATOYAMA)
2008-10-28 22:04:33
かつて辰吉を打ちのめしたダニエル・サラゴサは対戦当時、今の辰吉と同じ38歳でした。
心のどこかで「老いても闘う術はある。」という気持ちがあるのでしょうか。

例え格下に勝っても、待ち受けているのは袋小路だけ。
私が清原や三浦カズのファンなら最後まで見届ける事が出来るでしょうが、辰吉はボクサーです。

身体が心配でなりません。


返信する
Unknown (とみー)
2008-10-31 21:50:59
YouTube見ました。

もらってますね・・・。左ボディはかわらずうまいけど、詰めにも迫力がないし。

5年ぶりの試合、確かにデビュー戦のような緊張感があったとは思いますけどね・・・。

仮に日本ランカーとやって、試合になるのか・・・? 厳しい気がしますね。

さみしいけれど、はやくKO負けで幕を下ろしてもらいたい気分です。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2008-11-07 13:35:02
>ココットさん、SATOYAMAさん、とみーさん

レス遅くなりましてすみません。この問題は試合後、あれこれと話がありまして、それについてはまた書きたいと思います。

試合自体については、相手がボクサーとも言えないような手合いでしたし、皆さんと同じく辰吉の現状には厳しい見方しかできません。チャンピオンとか上位ランカーとまで言わずとも「まともなプロのボクサー」相手に、辰吉が勝てるとは思えないです...。

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