さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

前半後半でガラリと変わる? 奈良井翼、福井貫太の技巧に苦しむも勝利

2024-08-29 01:30:15 | 関東ボクシング




一昨日のLeminoフェニックスバトル、衝撃のメイン以下の試合も、色々とありました。
簡単に感想だけ。


日本スーパーフェザー級タイトルマッチは、王者の奈良井翼が僅差判定で福井貫太に勝利。
全般的にアクションは少なめだが、交錯したときは鋭い攻防が見られ、けっして退屈な試合ではありませんでした。

前半、福井が少ないヒットでラウンドを抑えたかと思ったら、奈良井がヒットを返して連打も追加した回もあり、やや奈良井の印象ながら、途中採点は2-1で割れ、福井がリード。
敵地のリングながら、福井の距離構築と有効打を、少なくともジャッジは無視せず見てくれている。これなら充分勝機あり、と思いました。
なので、後半もその展開を崩さなかった福井が、奈良井の追撃を振り切ったと見たのですが、採点は逆。
意外に差が付いた採点もあったりして、これ、前半と後半で採点基準がガラリと変わったのか、という印象。
私は6対4福井か、ドローかと見ました。


試合後、奈良井は「負けていた」という趣旨の発言を自らしました。
ああいうことは言わなくてもいい、謙虚に振る舞っても良いことなどない、勝負の世界なのだから、という考え方もありましょうし、それもわかりますが、個人的にはそういう姿勢は好ましく映りました。
奈良井、試合自体は苦戦でしたが、反面、相手の巧さに対し、妙な型の崩し方をしなかったあたり、以前より成長している印象でもあり。
苦戦を糧に、今後のさらなる成長に期待します。



日本ウェルター級王座決定戦、セムジュ・デビッドvs石脇麻生は、デビッドが軽打を多彩に当てて行くボクシングで圧倒。
攻防共に巧さを見せつけ、石脇を翻弄し、打ち込んでの7回TKO勝ちで王座奪取となりました。

石脇は相手の右旋回からの右フックで、的を外され打つ手を抑えられていました。
また、上へのヒットはなかなか取れないことは承知と見え、徐々にボディ打って止めたい、という狙いも見えましたが、どうしても上へのパンチを強振してミス、という悪い回りもあり。
防御については、頑張って頭を振っている間は良かったですが、どうしても止まってしまい、捉えられました。

デビッドは能嶋宏弥戦しか見たことがありませんでしたが、タイトルマッチで万全の構え、技巧を存分に発揮して戴冠しました。
パンチ力こそ感じませんが、あれだけヒット率が高く多彩だと、相手にとって脅威でしょう。
元王者の坂井祥紀、元暫定王者の小畑武尊らで、攻略なるかどうか。手強い技巧派チャンピオンが誕生しました。



アンダーでは安達陸虎が、小林柾貴とのスーパーウェルター級ランカー対決に7回TKO勝ち。
序盤、ジャブ突いて良い距離で先制し、優勢に立ちながら、割と安易に間を詰められた安達でしたが、またジャブから体勢を立て直し、ダウンを奪った上でのTKO勝ち。
課題はあるものの、良さも見えた試合。ランカー相手に価値ある勝利でした。


元日本スーパーバンタム級王者、ゾンビの尊称?を受ける田村亮一は、バンタム級ランカーの杉本太一に判定勝ち。
杉本の右クロスなども好打したが、手数で圧倒した田村が6回にボディでダウンをマークするなどして勝利。


第一試合は60キロ契約の6回戦。宮本陽樹というB級デビューのサウスポーが、タイのシッテティチャイ・ブアサを3度倒して4回TKO勝ち。
しかし初回、同じルート、同じタイミングで打つ攻撃を繰り返したところを、ブアサに左カウンターされてダウンする場面も。
とにかく相手から見て単調で、待っていれば同じ所に来る、という有様。いくらなんでも、これは狙われるだろうなあ、と思ったら案の定でした。
徐々に攻め口を変え、間を取って、となってからは大丈夫でしたが、危なっかしいデビュー戦でありました。


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3 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-08-29 06:31:19
奈良井くんと福井さんの試合、私も福井さんが僅差で勝ち抜いたかなとは思いました。長い距離とフェイントを駆使しつつ、時折鋭い右クロス。良く練られた戦いでしたね。
奈良井くんがやや正直なところあり、その強さを封じたので明白とは言わないまでも福井さんかなと思ったのですが…あの後半の採点はちょっとわからないですね。
奈良井くんが後半を4対1か全部取ったというジャッジなんでしょうが、前半と比べてそんな変わりましたか?
長谷川さんの解説でもその印象はなかったですし。
とはいえ不当判定とまではなく、両者の鍔迫り合いは緊迫感ある好試合でしたし、奈良井くんのあの態度はまっすぐで、私も良い印象持ちましたね。
どちらも今後また精進して欲しいです。

石脇くん、これが普通の日本ランカーなら良い試合になったんでしょうがね。相手が日本レベル超えてましたね。
いやはや。ただこのデビットに挑む選手たちがどんどん出るようでないといけませんね。何なら佐々木尽くんが、世界前哨戦とかでやってもいいと思います
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Unknown (海の猫)
2024-08-29 14:18:24
セミは動きは少なくとも緊張感あり、なかなか面白い試合でした。
自分は後半、福井はあと少し手を出すか前に出るだけで勝てるのに、本当にもったいないと思いながら見ていました。どちらも決定打のない微妙な R が多かったですが、後半はどちらかに振るとしたら、より積極的な奈良井かなと。おそらく両者ともに勝ったとは思わなかったのでは。福井は途中明らかに届かないワンツーを出したりと、足りないと分かっていながら踏み込めなかったかと。奈良井は自身のボクシングを全くさせてもらえなかったという点で負けと感じたでしょうね。ただその戦いぶりは最後まで状況を打破しようとする姿勢が見られましたし、試合後のコメントは自分も好感持ちました。

デビッドは上手かったですね。ジャブは軽そうでしたが、数とタイミングでしっかり相手をコントロールしてました。打ち方的にスタミナも消耗しなさそうですし、非常に多彩で効果的でしたね。日本人選手にはどんどん挑戦して欲しいです。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-08-29 19:05:06
>R45ファンさん

アクションの数は少なかったですが、ヒット数を見やすい展開でもあり、採点はやや福井かなと見えたんですけどね。
石田ジム側がどう見ていたかはわかりませんが、やはり前半のリード採点を受けて、このペースで良いのだと判断した面がありそうです。
これは私の勝手な傍目ですが「ジャッジに途中で掌返されたような採点」だと感じました。後半、奈良井の4対1はさすがにないなあと。むしろ、あるなら前半の方じゃないかと。
全体を見て、逆があってもおかしくない、というのは、あの途中採点を聞いていなければ、という条件がつきますね。
試合としては見ていて、良いものでした。同感です。
デビッドは巧かったし、巧さの出し方も適切でしたね。ジムの指導陣が、デビッドの巧さをプロのリング向きに、上手く転換しているのだろう、と思います。佐々木尽戦ですか。強打で捉えられるかどうかですが、強打以外の部分でも何か、秀でたところを見せないと難しいでしょうね。いずれにせよ、多分組まれることのない試合でしょう。


>海の猫さん

言われて、私はその「もったいない」という感じの歯がゆさを前半の5ラウンズに感じていました。それが福井リードと出たので、これは「僥倖」だとも思ったのです。ところが...後楽園ホールは地方のボクサーにとり、聖地ではなく魔境だと何度か思ったことがありますが、今回もそんな感じだったかもしれません。福井や石田ジム側のコメントがどうかわかりませんし、おそらく掘った取材もなされないでしょうが、どういう見方だったのか興味ありますね。
奈良井の方に打開の意志が見えたのは同感です。それが勝ちを引き寄せたという試合だったんだろう、とも。
デビッドは日本の上位にとって難しい相手ですね。一発強打を秘めていないと難しいでしょう。ならば佐々木尽となるところですが、たぶん実現しないでしょうね。
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