生中継を見終えました。
まずは簡単に感想を。
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三浦隆司vsミゲル・ローマン戦は、中盤まで「これは具合悪いなー」という試合でした。
小柄なローマンは、高くて締まったガード、広いスタンスで低い重心を設定し、
小さい割に遠く、懐が案外深い。
三浦にとって、なかなか打ちにくい的になっていました。
そして、三浦が打ちに行くと腕を固められてしまい、そのまま打たれてしまう、という流れ。
これで相手のペースを崩し、執拗な連打で攻め込む、攻め落とす、という
過去のローマンの試合で見られたパターンに、三浦はきっちりはまっていました。
しかし7回、三浦が一打ごとに獣のような声を上げて打っていき、試合の様相が変わっていきます。
「今時やないなあ」なんて冷やかしをも飛び越えた、見ていて怖くなるようなその様は、
必ずしも高い頻度でのクリーンヒットを取れているとも見えず、また、こんな打ち方、攻め方をしていたら
次の回以降に失速するのではないか、それにほぼ完全に防御を忘れているではないか、等々、
こちらの気落ちをざわつかせるものでもありました。
実際、回が進むにつれ、軽打が多かったとはいえ、相手のパンチを、かなりの頻度でもらい続けていました。
ローマンの右アッパーを巧くブロックしたり、右フックをダックしたりは、序盤の何度かだけ。
フランシスコ・バルガス戦で見られた「決壊」が、再び繰り返されるのではないか、と思いつつ、
しかしながら、三浦が露わにした「殺傷本能」剥き出しの姿を見て、震えるような気持ちでもありました。
10回、ラスト10秒切ってからの、刃物で斬り付けるような左ボディブローは、普通のボクサーでは到底打てない、
三浦隆司のそうした本能故に決まった一撃だったというべきなんでしょう。
11回「ストップ用」の連打で倒し、最終回は得意の左一発がようやく決まり、KOとなりましたが、
序盤の劣勢を覆したのは、技術でも戦略でもなく、さらに言うなら「闘志」という言葉すら飛び越えた、
三浦隆司の「キラー」な部分だった。そう思います。
どの試合でも、どんな強敵、難敵相手でも、結局は試合そのものをスリラー、恐怖劇に変えてしまう。
常識では測れない殺傷本能の持ち主、三浦隆司の闘いは、ミゲル・ベルチェット挑戦へと続きます。
この日の試合ぶりを見る限り、大柄でスピードのあるベルチェットがスタートから飛ばしてきたら、
三浦がそれに追いつく時間が足りない、或いは最初からほぼ無い、というような試合展開を想像してしまいます。
しかし、試合の端緒がそのようなものであろうとも、結果が仮に厳しいものであるかも知れずとも、
三浦隆司がその試合を闘う以上、「それだけ」では済まない何事かを見ることになるのだろう、とも思います。
そして、勝ち負け以前の、その何事かに、何よりも心惹かれてしまっている。それが正直な気持ちです。
またしても震えるような闘いぶりでした。
勝利だ敗北だという以前に、これぞ三浦隆司の試合だった、というに尽きる。
今日の試合はそんな試合でした。
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それにしても、この4人をどう組み合わせようと、尋常ならざる試合になるだろう、と
事前に充分想像はしていましたが、いざ実際に、こういう試合を立て続けに見ると、しばし言葉を失います。
そして、WBCのこの辺のクラス上位のメキシカン達の中に、日本人のボクサーが一人混じって、
違和感なくどころか、ひときわ異彩を放ってしまっていることにも、また。
改めて三浦隆司の偉大さ...というか、凄さには、尊敬というより畏敬の念を抱きますね。
こんなまるでリアルはじめの一歩みたいな試合されてしまうと、
もうなんか技術論がどうとか関係ないですね。
実質試合を決めた10℞のボデイなんて、
もうローマンの方も見ないで、
全然違う方向見ながらとにかく振り回してるのがドンピシャで直撃と。
いやあ、
三浦は何かを持ってる男ですね。
三浦の左にゃ夢がある!!
・・・でですよ。
日本ボクサーがこんな本場の敵地で大暴れしてきたってのに、
1億2千万人の日本人で何人知ってるんでしょーか。
wowowや海外サイトで見た人間なんて、
100万人…10万人・・・
・・・・1万人くらい??
なんといいますか、他人よりも過酷な環境で結果を出した人は、
それだけ高く評価して認知されなければ、そのジャンルが正常に発展するわきゃないですわなあ。
・・・なんかテレビ局とねんごろになって、
日本国内で適当なカードで適当な試合して、
どんなもんじゃい☆
って言って小金稼いだ人が一番の成功者!!
・・・なんて昭和のドメステイックビジネスから脱却できない限り、
いつまでたっても日本ボク界の新時代なんて訪れないわけで。
山中に井上!!
てか本田さんに大橋さん!!
今こそ時代変える大チャンスでしょーが!!
世界に誇れるボクサー抱えたあなた方業界トップが、
この三浦の奮闘見て動かんでどーするんすか!!(直訴
ローマンは小柄さを逆用して途中までは三浦を上手くコントロールしていたと思います。巧さでは明らかにローマン。その巧さも、恐るべきキラーマシンが本性を現したら力づくで破壊されてしまう。三浦のここぞという時の当て勘は本当に異常ですね。チャンスの後の詰めは今回含めて毎度気持ちが空回りして下手そのものなのですが、狙いすましたかのごとき一撃は本当によく当たり、甚大なダメージを与えてしまう。ロマチェンコ・コラレス・デービスのような手合いにも同じように出来れば大したものと言えましょうが。
この興行のメイン4人の内3人がメキシカンの同階級トップファイターという潰し合い。日本ではあり得ないですね。田中・八重樫・田口・拳・高山が潰し合うようなものですからね。しかし、仮にも世界一のタイトルを巡って争うならば、本来それこそ健全な流れなのであり、その過酷なサバイバルを勝ち残る流れだからこそ、アマで振るわず現代ボクシングからやや取り残された古臭い立ち位置でも、メキシコが今なお米市場でも重宝されるボクシング大国でいられるのだろうと思います。それに混じった三浦も、まずはサバイバルを生き残りました。デラホーヤ、ホプキンスからもスーパースターになり得る男と太鼓判を押される存在になった。それに続く人間が出て来て欲しいです。三浦は日本人が世界的スターになる為の重要なロールモデルたりうる偉大な存在だと心から思います。
ベルチェルトは強かったですがバルガスは絶対激闘続きの影響があったとおもってます。バルガスよりベルチェルトのほうが三浦は噛み合うとおもいますよ。KO負けの過去があるし三浦の左が炸裂すればわからないです。
とにかく今日だけは絶対負けられなかったんです。本当に三浦にありがとうと言いたいです。私のなかでもう年間最高試合です。
まあ、ホントに勘のあるボクサーってものは、時に傍目ですら見えてない当てどころが見えたりするものでしょうね。目で見て無くても、拳の先にセンサーでもついてんのかいな、という。三浦がそうなのかと言われてもわからないんですけど。
今日の試合がWOWOW視聴者限定というのはいかにも惜しいし、そゆことで良いんですか、とは西岡や、三浦の過去の試合でも思ったことですが、階級のこともあり、報酬自体はまあまあなんでしょうね。そこだけは救いというか。ただ、ここ数年、WOWOWのボクシング視聴者数は、原因ははっきりしないのですが着実に右肩上がりで、そういった層が例えばボクマガの増刊(パーフェクトガイド)とかを良く買うらしいですね。
よく言われる「外様」故の海外進出、というのは事実としてあるんでしょうね。そうでない選手については、プロ入り時に色々、縛りがあったり約束があったりで、海外で安い報酬で危険な試合を数試合乗り越えて、その先で勝負、とはいかない場合もあるのでしょう。軽量級故のビジネスの難しさも同様ですね。
ただ、大橋会長にせよ、海外で勝負とか、過去に言ったことがあるんで、言うたらやれよ、って話ではありますが。最初から出来もしないような会長さんよりは、だいぶマシな存在ではありますけど、やっぱり不信感を持ってしまいます。5月にエストラーダやカシメロ、アンカハスなんかを呼んでくれるんなら嬉しいですが、オーレドンなんかだったら...いっぺん、ボイコット宣言したろか、と思うくらいです。
>月庵さん
悪い展開やな、と思って見ていましたが、本田会長は早い判断で切り替えを命じたんですね。この辺はさすがですね。それを受けて、あのように気を入れ直す三浦もまた、凄いです。
ローマンは自分の型をよく理解している、しぶとく巧い難敵でした。ヒットの数は圧倒的で、あのままなし崩しに攻め落とされていても不思議なかったですが、それをひっくり返す三浦は驚異でした。小柄ながら遠く、詰めたら揉み合いが巧く、こつこつ当てられ、これ以上ない「難儀」な展開だったのですが。
http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201701290003-spnavi
こちらの杉浦大介氏の記事によれば、この試合の評価は高く、ベルチェット戦以外に、挙げられた面々との対戦の可能性も、との記述です。あまりに打たれる頻度が高いので、予想有利とはいえませんが、是非挑んでほしいし、その姿を見せてもらいたい、と強く願います。
国内で同様の試合が少ないのは、結局は「頂点」以外に目指すものがあるから、でしょうね。そうでなければ「どんなもんじゃい」の跳梁跋扈などあり得なかったでしょう。TBSはスカ屁兄弟一点張りでしたが、これが海外なら、同時期にデビューした名城信男、大場浩平や中広大吾などをひとまとめにして売り出し、競わせて、その試合をビジネスにしたことでしょう。しかるに実際どうだったかというと、皆様ご存じの通りだったわけで。ライトフライの現在もまた、構図としては同じです。我々が見たいもの、望むもの、信じるものを見せようという気は、残念ながらさらさらないし、そういうファン、客、消費者を切り捨てて身内の論理で突っ走っているのが現状ですね。三浦隆司が体現しているものは、その中にあって非常に貴重で、故に彼は偉大である。同感です。
>れい れなーどさん
7回以降、驚くほど変わりましたね。私はあの猛攻が却って不安で、こんなことして保つのか、これは敗北へのきっかけではないのか、と思って見ていました。ボディ攻撃がかなり効いて、もっと打てと思っていましたが、倒したパンチはびっくりしましたね。あんなの当たりますか、普通...。
防御はしかし、いくらなんでもと思いましたね。攻めに出ているから仕方ない、という理屈を超えて、打たれっぱなしでした。相手がパンチのある選手だったら、いくらなんでも保たないでしょう。ローマンは時に強弱つけて、強めのパンチも当ててはいましたが、全般を見ればやはり軽打者で、それに救われた面もあるかもしれません。小柄なローマンが巧く闘ったこともあり、思うように攻められなかった序盤の劣勢を覆すため、相手の特性を踏まえた上での、致し方ない闘い方でもあったのでしょうが。仮にベルチェットと闘えば、相手の攻撃力が増す反面、こちらももっと思うように打ち込める部分もありましょうね。
デラホーヤも年間最高試合候補だ、とツイートしたらしいですね。時間的に酒を飲むヒマもなかったでしょうから、シラフでツイートしたものだと思って大丈夫でしょう(笑)三浦の今後が楽しみですね。怖いような気持ちもありますが。
山中慎介がこれでもか、とばかりに右ジャブからの左ストレートだけ(ではないでしょうが)でバンバン相手をなぎ倒していくのを見るにつけ、武器を持ってる選手は強い、小細工せずに自分の武器を信じて戦ったほうが世界には通用するのかも知れませんね。
今日のセミ&メインはどちらも面白い良い試合でしたが、日本でも世界戦と次期挑戦者決定戦をセットにした興行を是非やって欲しいですね。ランキング最上位の選手同士でないと意味は無いですが、分かり易いし盛り上がると思います。
ローマンがキャリア豊富でKO率も高かったので、正直いい結果が出そうにないと予想していました。が、三浦選手の逆転KO勝ち、凄いです。
三浦選手に荒ぶる魂のレイジングブルを見たような気がしました。
もし、防御を意識することで攻撃の質が落ち、量が不足するのだとしたら、それは良し悪しもそうですが、技量力量自体の問題である場合であり、或いは相手との力関係がそうだったり、色々なんでしょう。三浦の場合は、ローマン相手に捌いて当てて勝つには、その方面の技量が欠けていた、足りなかった、という部分の方が残念ながら大きかったように見ています。今回は切り替えが上手くいって勝てましたが、相手が違えばその選択の是非も変わってくるのではないでしょうか。仰る「小細工」が全くない闘い方で、違う相手に勝てるかどうかは、正直何とも言えないと思います。ロマチェンコやベルチェット、デービスといったあたりとの対戦では、当然ながら改善せねばならないところも出てくるでしょうね。
>こここさん
初めまして。今後ともよろしくお願いします。
前半の展開は正直言って、これ今日はあかんかな、と暗い気持ちにさせられるものでした。まさかあんな風にひっくり返せるとは、三浦の持つ本能の凄さを改めて思い知らされた試合でしたね。
何か三浦選手ならアメリカだろうが、ロシアだろうがイギリスだろうが、場所はどこでも関係なさそうですね。次戦が楽しみです。
一方で、海外向き選手のメンタルについても考えさせられる一戦でした。7Rの開き直りを出来る選手が例えトップ選手であってもどれほどいるのか、敵地で戦う心構えを作れない選手は国内で戦った方が結局は幸せなのか・・・。ある意味、キャリアの早い時期に海外経験をさせて、選手のタイプを見極めることも重要かもですね。
今時のボクサーにはあまりいないですね。昭和の...なんて例えも散見しますが、私の友人いわく「昭和でもあんな選手おらんよ」とのことです(笑)。実際、呻き声出しながら打っていった7回の姿には、度肝を抜かれました。
仰るとおり、どこのリングであろうと、三浦は三浦として闘い、勝ったり負けたりするんでしょうね。次はベルチェット戦になるわけでしょうが、今から震えるような思いです。
>hiroさん
刃物というか大鎌というか、何かもう「ボディブロー」って表現じゃない何かでしたね。その昔、ドナルド・カリーを倒したマイク・マッカラムの左フックが、悪魔が持っている長い柄の鎌に見えたような気がしましたが、ある意味あれに通じるものが...。
三浦は日本王者時代から、ファイターだけどクリーンな、白黒はっきりした闘い方を貫く姿勢が好きでしたが、海外向きかどうかなんて、考えたこともなかったですねー。うーん。その昔、ひ弱な技巧派に見えた八尋史郎が、ロスで試合したら案外堂々と、逞しく見えたりしたことがあって、そういう見極めというか判断って、なかなか難しいぞ、と思ったりしたものです。海外経験をさせるのは、選手にとって貴重なキャリアでしょうね。見た目やタイプではない、見えないところでの「骨太」さが海外での試合では必要なのでしょう。三浦はあまりに端的に、極端にそれを持つ選手ですね。