さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

4戦目で見事な戴冠 松本流星、執念の森且貴を下し日本王者に

2024-09-26 11:03:46 | 関東ボクシング



そんなことで昨日のミニマム級祭り、いろいろな試合がありましたが、まずはメインの試合内容が素晴らしかった、ということで、取り急ぎメインの感想から。
高田勇仁のタイトル返上により、空位となった日本ミニマム級王座決定戦は、僅か4戦目のサウスポー、松本流星が、日本王座三度目挑戦となるファイター、森且貴を7回TKOで破り、戴冠なりました。

長身サウスポー松本は、浅いキャリアの中でもまずまず強いフィリピン人との対戦を重ね、相手の質はある方のキャリア。
だが、そこで好打されたりもしているし、何より線が細く見える。フィジカル面で出来上がるのに時間がかかるタイプだろうから、タイトルマッチ云々はもう少し先かと思っていました。
それが日本王座挑戦権を争う試合に出ると決まり、その後、それが繰り上がる形でタイトルマッチになったので...どうかなあ、ちょっと早いのかも、と。
対するはその敢闘で知られる森且貴。強打者ではないが、その果敢な連打攻撃で松本を押し切れるか。

そんな風に見ていた試合ですが、いざ始まると、松本が思うより早く、かなり強くなっていることがすぐにわかりました。
初回から速いワンツーがインサイドへ強く、鋭く飛ぶ。追撃のコンビも、アッパーを織り込んで正確。

2回、森は「容易ならざる」と早々に腹を括ったか、強引に身体を寄せて左右フックで打ちかかる。
時にラフに、執拗に手を出すが、松本は低い姿勢の森をアッパーで「狩る」攻撃。接近されてもクリンチで止め、また突き放し、狩る。

森は果敢に出ては食らいつこうとするが、5回、左アッパーでダメージ受けたか。
6回になると目の周辺が腫れ、ことに右目の方は半ば塞がっている。7回、なおも出る森に松本、右フック合わせる。森ダウン。
このダメージ自体は浅いものだったが、蓄積したものは大きく、さらに松本がワンツーで攻めると、レフェリーが止めました。


松本流星、これほど強くなっているとは。驚きでした。堂々たる新王者誕生だったと思います。
森且貴はけっしてやりやすくもなく、相性も...普通なら良い方と見るべきでしょうが、何しろ森とくれば、試合の度に勝敗を越えた「感嘆」を見る者に与える果敢なファイターで、今の時点で当ててどうかな、と思いましたが、要らぬ心配でした。
技術面では秀でたものがありますが、すでにして「筋金」が入っている、という風に見えもしました。
今後、大いに楽しみです。重岡兄弟や高田勇仁、小林豪己らに次ぐ...いや、将来的にはそれ以上の可能性を秘めたホープが登場しました。



破れた森且貴、これまでも感動的な数々の敢闘を見せてきましたが、これまではそれを打ち砕かれて、という風だったのが、今回は少しだけ印象が違うというか、若干「封じられた」感のある敗戦だったかな、と思ったりもします。
半ば捨て身で身体を寄せて打ちまくろうとしたが、その前にクリンチされ、その前後にはアッパーで狙われ、という具合で、常に先回りされていたように見えました。

いずれ進退を問われることでしょうが、厳しい決断に繋がる内容だったのかもしれない。今はただ、誰に対しても変わることのなかった数々の健闘に、敬意を表するのみ、です。



それにしても...幼年の頃、兵庫は高砂市のリングで、松本流星の左ストレートを受けて、リングの上を笑顔で転がるファン・マヌエル・マルケス(律儀に、ちゃんと試合用のシューズ、トランクスを着用してました)を見たのは、もう20年前になります。
あの幼子が、ついに日本チャンピオンです。思わず遠い目になってしまいますが、それがリカルド・ロペスの見守る前だった、というのも、運命を感じるところですね。
あの日の高砂、メインは三谷将之vsホセ・アンヘル・ベランサでした。セコンドにはかの名称、ナチョ・ベリスタインがついていたのですからね...。


コメント (1)
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