さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

妙なカードがアンダーに並ぶ 「ホンマ」の試合は別会場

2019-11-26 13:28:06 | 海外ボクシング



ということで、WOWOW生中継を中心に、あれこれ見ていた日曜日ですが、ワイルダー、オルティス戦のアンダーには、妙なカードがふたつ並びました。


WBAのSバンタム、これは正規という名の第二王座ですが、王者ブランドン・フィゲロアがドロー防衛。
挑戦者のはずのフリオ・セハは、なんと計量4ポンド半ばかりオーバーで、勝っても王座奪取にはならない、という一戦でした。

セハは、日本におけるルイス・ネリーと同レベルのオーバー。フェザー級も超えてます。
しかし試合挙行。ネバダのコミッションが許可したことに驚きました。

以前、この問題について書いたとき、ランディ・カバジェロvsリー・ハスキンス戦中止の例を挙げて、こんなに酷いオーバーの場合は許可が出ないはずだ、という前提で話を進めたんですが、今回、その前提が崩れました。
コミッションには厳格な基準も、効力ある規定もなく、結局当事者同士の話し合いが優先されてしまう、というのは、洋の東西を問わない、と見るべきなのでしょうか?

試合自体は、解説の西岡利晃が指摘した、フィゲロアの拳の負傷を抜きにしても、やはりセハの体力にフィゲロアが苦しんだ感あり。
それでも押して、前に出て試合を作り、セハの攻撃をかなりのところまで封じたフィゲロアには感心もしましたが。

ただ、こんな試合、出来れば断ってほしかったなあ、とは思います。
経済的事情はもちろんのこと、そうした場合に何の保障もない、という、考えて見れば異常な現実があり、言いにくい部分ではありますが。

考えれば考えるほど、この問題については、あれこれと不備だらけですね。
この手の試合でリング渦でも起こらん限り、議論ひとつまともに始まらんのではないか、それが世界のボクシング界の現実なのかもしれない、と思うと、本当に気が滅入ります。


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で、もひとつ妙な、というか、セミのWBA、Sフェザー級「スーパー」王座決定戦。
さあ皆さん、色々突っ込んでおくんはなれ、と言われているようなマッチメイクです(笑)

前記事で「裏カード」と書いちゃいましたが、それはあくまでメインのヘビー級戦と比較しての話で、WBAのスーパーフェザー級タイトルマッチとしては、カンシオvsアルバラード戦が本来のもの、のはずです。
しかしスーパー王座を頭越しに作り、しかも決定戦に出るのは、元々フェザーのタイトルホルダーとコンテンダー。

昨今のレオ・サンタクルスは、世界どうこうというより、ヒスパニック系フランチャイズ王者、というのがしっくり来る存在でしたが、その路線継続とでも言いますか、もはや揺るがぬ感じです。
日曜の実況で、大病を患った父の治療費を稼ぐため、高額報酬の試合を望んでいる、という話が出ていましたが、加えて言うなら「高額の試合を継続して重ね、負けるリスクは極力負わない」というのが、その「望み」の実態でしょう。
こういうの、ええ話みたいには聞けないですね。無理がありすぎます。

試合自体はクリアに勝ちでしたが、見どころの乏しい内容でもあり、これで4階級制覇とか、内心忸怩たるものはないんですか、と訊きたくなります。
そもそもあちらのメディアって、こういうのを厳しく批判したりはしないものなんでしょうか。ようわかりませんが。

なんかもう、どんな横車でも通した者の勝ち、って感じがします。歯止めも何も無いのか、と。
計量の件も、こういうタイトル増殖の件も、本当に馬鹿が雪だるま式に大きくなっていくばかり、と見えてしまいます。


また、皮肉にも同日に闘われたカンシオ、アルバラード戦が凄い試合でして...あらゆる意味で、こっちが「ホンマ」やな、と。
勝った直後、歓喜と安堵でしばし、椅子から立てず落涙していたアルバラードの姿は、見ていてぐっと来るものでした。
周辺に諸々、色々あれど、やはりボクシングって凄いものだ、と素直に思える試合で、これこそビッグイベントのセミに相応しい、と思った次第です。



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そんなことで、一曲。
Eve「レーゾンデートル」。





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4 コメント

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Unknown (アラフォーファン)
2019-11-26 15:50:14
おっしゃる通りですよね。セハのだらしない腹回りに呆れ、打っても効かないで押す姿にアンフェアさが露わに、見ていて腹立ちました。減量する気あった?と言いたくなるあの酷さ。ボクシングの根幹に関わる問題ですよ。
で、サンタクルスもあんな迫力ないラッシュがまかり通る相手に決定戦、つまんねーと。同じ階級でもベルチェルトやアルバラード、はたまた伊藤雅雪君には勝てないでしょう。こういうタイトル増発、ルールめちゃくちゃ、またはメキシカンびいき、WBAかCのどちらかは(あるいはどちらも)そろそろ存在意義ないとすら思います。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2019-11-26 20:22:45
>アラフォーファンさん

あの試合は、フェザー超えの相手に、押し返して攻勢をあの程度に抑え、ドローに持ち込んだフィゲロアの実力証明になった試合だったかもしれませんね。事故になったらどうするんや、と思ったりもしましたが。
サンタクルスは、フェザー上がり同士の「転級初戦」でいきなりタイトルですから、鼻白むしかないですね。130ポンドの「ホンマ」の上位陣と闘ってどうか。まあそこでも安定して強い可能性もありますが、そもそもそんな試合しないと思います。別に報酬が従来の倍になるわけでもないでしょうし。
統括団体は、普通の考えなら、ここまで出鱈目続きだと、そのうちに...と思うところなんですが、誰もそんなこと問題にしてない、というのがあちらの現実だ、という話も漏れ伝わってきますね。本来の存在意義を失っているからこそ、ビジネスの論理が優先される世界で生き長らえていられるのかもしれません。

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Unknown (海の猫)
2019-11-28 10:50:11
ネリの大幅なオーバーにも関わらず試合が強行された時は、「日本は本当に先進国か?」と思いましたが、米国でもやっちゃうんですね…。気になってカバジェロの件を改めて見たら、海外記事では、「ハスキンス陣営が金での解決を拒否したから」となってました。NSACやIBFが安全面に考慮して~なんて話ではなかったみたいですね。そんな風に報じられていた気がするのですが。

BoxingSceneにロドリゲスのコメントが出てました。試合を拒否したのは「彼が繰り返してきたことを止めるため」、「過去の対戦相手は彼の罠に陥った」「彼が二度としないことを望む」。ファンに出来るのは、こういった決断、発言を賞賛し、支持することでしょうね。それをしつつ、本来は選手・陣営の判断に任せるものではなく、コミッション、認定団体、主催者がどうにかすべき問題であるということを忘れない。そしてルールを守れない選手を徹底的に拒否する、評価もしない、とこれくらいでしょうかね。これも「本来は」ファンの仕事じゃないよなあとも思いますが、どんな業界も「ファンの目」という監視によって保たれているのかもしれません。ファンは政治で言えば、「有権者」みたいなものでしょうかね。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2019-11-28 19:12:24
>海の猫さん

カバジェロvsハスキンス中止の件、私は勝手に「模範例」だと思い込んでいたんですが、違ったんですね。IBFは当日計量ルールを作った団体でもあり、その辺も含めて、誤解していたのでしょう。
ロドリゲスや陣営の判断が「好例」として今後、重く受け止められてもらいたいものですね。ファンの反応はネリーの支持層を中心に「細かいことで」みたいなのも一部あるようですが、そういう雑な考えを、ジャーナリスト達が少しでも正し、啓蒙してほしい、とも思います。ファンに出来ることは仰るとおり、限られてはいますが。有権者、というのもそうですが、一歩進んで「ステークホルダー」と...までは、なかなか難しいところですかね。

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