今日はDAZN二本立て、と前に書きましたが、早朝英国、午前米国に加え、0時50分から、ドイツ、シュツットガルトより配信があるのですね。
さすがに全部かじりついて見るわけにもいかんので、おいおい、ということになります。
ひとまず木曜日のdTV、PXBについて、今頃感想文を。
中嶋一輝は、マイケル・ダスマリナスとのIBFイリミネーションに敗れた経歴のあるケニー・デメシーリョを8回TKO。
WBOアジアパシフィックの、スーパーバンタム級王者となりました。
中嶋は立ち上がりから、前にのめらず、さりとて引き込みすぎでもなく、前後のバランスがいつになく良い。
右リード、左ボディ、左ストレートをヒットして、冷静に見て外す。
少し体格的には見劣りするデメシーリョ相手ということもあるのでしょうが、冷静で、余裕を感じる。
これだけパンチのある選手が、しっかり構えて、見た上で当てて来る。
相手にしたらこれほどしんどいこともないだろうなあ、という感じ。
しかし5回、中嶋が前の手、右アッパーを打った際、ちょっと無理なバランスの崩し方をした後、デメシーリョが左右を振り回してヒットを取り、俄然、反撃の意欲を見せ始める。
この辺り、序盤は手を出そうという意志をくじかれるような突き放され方が続いていたが、その間合いが崩れ、一度なりとも左右を振ろう、という気になったら、それをきっかけに反撃が出来るようになる、というところか。
6回、中嶋はまた立て直そうとし、強打を連発するが、デメシーリョも左右を振って抵抗する。
このあたり、以前の中嶋の悪いところが戻ってきたかな、と思ったのですが、7回からまた立て直し。
左ボディブローが効いて、8回はロープ際へデメシーリョを釘付け。
デメシーリョなおも抵抗するが、中嶋は上への強打は控え気味、ボディを重点的に狙う冷静な攻撃。
その上で左が顔面にも入り、マーチン主審が割って入る。ストップ。
...と、両選手も両陣営も、場内の観客も、実況解説も、配信を見ているこちらも完全に納得、むしろ遅いくらいのストップだ、と思ったら、なんとスタンディングカウントを取った模様。
えーと、そんなもの、ルール上存在しないはずなんですが...唖然となるが、試合続行。
しょうがないので?中嶋また連打。フィリピン陣営からタオルが入って、ここでTKOとなりました。
最後の顛末というか、終わり方はどたばたしてしまいました。
えらく早いストップするかと思ったら逆やるし、でお馴染み、マーチンさんの極端レフェリングが炸裂しました。
本当に意味が分からんです。理解不能なものを見ました。
もうこれは「マーチンさんの世界」としか言いようが無いです。いや、笑い事じゃ無いですけどもね、本当に。
この辺はさておき、中嶋一輝、ちょっと打たれた、或いは打とうという意欲を相手に与えてしまった?ところは課題でしょうが、全体的には、相手との力関係や体格差を抜きにしても、闘い方に改善の意志が見えもしました。それが完全に実現された、とまでは言い切れないかもしれませんが。
とはいえ、ひとつのきっかけで、良い間合いが崩れかけ、少々乱れたものの、8回の詰めの段も、以前みたいに手応え欲しさ、或いは返しの右フックに固執する感じはなく、慌てずに当たるパンチを探しながら、それを軸に崩す、という形になっていた、という印象でした。
井上尚弥と同じ階級ですが、まだ先を急ぐ段階でもないでしょうし、じっくり構えて、力を見せ続けていけば良いと思いますね。
井上浩樹は再起戦、2回KO勝ち。
相手は肩幅広く、上体分厚く、しかしまあ、強いボクサーというよりは力持ちのお兄さん、という風情のタイ人、パコーン。
左右を力強く振ってくるが、井上はシャープなジャブで叩き、初回早々左で倒す。
2回、なおも迫ってくるタイ人に押され(圧され、てはいない)上体をのけぞらせるが、そこから、振りの小さい、肘と手首を回した左のカウンター、一閃。
タイ人、前のめりというか、真下に倒れ、ダメージ甚大。戦慄的なノックアウトとなりました。
解説の、かつて闘った細川バレンタインが言っていたように、試合ぶりどう以前に、リングに上がったときから、井上浩樹の表情が実に良い感じ、でした。
かつて細川と闘ったときや、その前のマーカス・スミス戦などからそうでしたが、おそらく練習段階から思うに任せぬ状態で、その翳りが表情にも出ていたものですが、今回はブランクの間に、その辺の憂いも無くなったものか。
心身の充実があればこそ、ああいう、明るくスッキリとした顔になるんだろうなあ、と。
もちろん、この相手を倒したからどう、というものではなく、まずは練習して減量してリングに上がって試合して、ということを久々に、大過なくやれた、というだけ、ではあります。
しかしあの顔付きを見ると、かつて大器、逸材として期待された井上浩樹の再スタートに、大きな期待をしたくもなります。
報道では永田大士との再戦を希望しているということですが、すぐ次とはいかずとも、次の次くらいには...色々楽しみなタレントが、リングに帰ってきたことを、まずは喜びたい、と思います。
ちなみにこちらは再起にまつわるエピソード。
「漫画ならいつでも描ける」とは。令和版「一瞬の夏」ですね(笑)。