さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

技巧に立ち返って闘える 堤聖也、大嶋剣心をKO 来春、南出仁と激突

2022-10-21 16:40:17 | 関東ボクシング



ということで昨夜はBoxingRaiseのライブ配信を楽しく見ておりました。

メインの日本バンタム級タイトルマッチは、堤聖也が持ち前の技巧で、長いレンジの左ジャブを強打する大嶋剣心の構築する距離を徐々に攻略、終盤打ち込んで、9回、大嶋の反撃を右カウンターで狙い打っての、痛烈なKO勝ちでした。

序盤は大嶋がしっかり構えて、強いジャブで堤を突き放し、食い止めるスタート。
若干小柄な堤は、距離の克服が求められましたが、ジャブの突き合いでまともに行っても、序盤のうちは苦しいということで、右のパンチを捨てて左に力を込めて打つ、軸を変えた攻め口で徐々に入っていく。

中盤、距離が近くなって、堤の精度の高さが映える。しかし大嶋、相打ち気味でも怖れず、右強打を狙ってくる。
アッパー、ボディブローなど互いに決め合うが、堤は散らして狙う、大嶋は半ば捨て身で打ちに行く、という違いが見える。

7回、互いにヒットの応酬も、より正確に当ててきた堤が優勢。大嶋はダメージありあり、横向いてしのぐ場面もあり。
大嶋、それでも果敢に反撃するが、8回以降、堤は冷静に左から当てて攻め、大嶋の反撃も見切って、9回のKOに繋げました。

終盤、試合としては壮絶な展開を経て迎えましたが、ここで堤が自身のスタイル、普段からやっていることというか、多彩な左から崩していく技巧派のボクシングに立ち返って闘えたの対し、大嶋はその闘志、果敢さを称えたい反面、もう捨て身の「勝負」をするのみで、序盤に堤を苦しめていた強い左ジャブからのボクシングは、完全に失われていた。

激闘の末、両者の明暗を分けたのはこのあたりだなあ、と思った次第。
そしてこれが、日本バンタム級チャンピオンたるボクサーが持っているべき、グレードの高さなのだろうなあ、とも。

堤聖也、見事な勝利でした。大嶋の健闘にも拍手です。
日本タイトルマッチに相応しい熱戦、出来るだけ多くの目に触れて欲しい試合でした。



昨日はアンダーカードも充実していて、セミは南出仁と与那覇勇気の、これも熱戦。
与那覇得意の右アッパー、ボディブローは南出を脅かしていましたが、左ショートの正確なヒットが評価されてか、見た印象よりもだいぶ差が付いて南出の3-0判定勝ち。

南出はメインの後、来年対戦する堤とフェイスオフ。
とはいえ、ソーシャルディスタンスということで2メートルくらい離れて、とリングアナが言うとおり、少し離れてました。


「ベルト磨いて待っとけ」
「寝言は寝てから言え」

と、なかなか鋭い応酬があり、ええどええど、もっと揉めろ(笑)と思ったのも束の間、堤が南出へのリスペクトも併せて語り出して、まあそれはそれで良いんですけど、うーん、という感じもしました(笑)。



あと、アンダーでは飯村樹輝弥が4戦目で初黒星。
フィリピンのエスネス・ドミンゴは18戦16勝(8KO)2敗という戦績で、どれだけ中身を低く見積もったとて、普通、4戦目に当てる相手でもなさそう。

初回、飯村が左出してもはぐらかされ、途中まで見ていたドミンゴが左を出し始めると、けっこうな確率で「届く」感じで、飯村は圧されて横向いて外す場面が二度。
体格ではドミンゴが一階級ぶんくらい小さい?が、技量力量ではドミンゴが格上。
これは飯村にとり、試練のチャレンジマッチになる。
それが初回3分見終えての印象でしたが、結果はそのとおり、3度ダウンを喫した飯村が6回、レフェリーにストップされてのTKO負けとなりました。


結果は厳しいものでしたが、しかしこういう手強い相手との「勝負」で、時に厳しい結果を見ることもまた、ボクシングを見ることです。
どう見ても体格が著しく違ったり、緩んだ身体付きだったり、それこそ4回戦程度の戦績で、日本人同士だったら許可されないけどタイ人だったら組める、みたいな相手に鮮やかなKO勝ちをして、ガッツポーズして喜ぶボクサー、拍手喝采の身内応援団、でも私みたいな部外者はどっちらけ、みたいなこともよくありますが、そんな試合とも言えない代物よりも、100倍価値のある試合でした。

飯村樹輝弥、おそらく失望、落胆のさなかにいることでしょうが、本当の勝負をして見せてくれたことを、まずは称えたいです。
そして、簡単に言えることではないでしょうが、この一戦を糧に、もう一度起ち、さらに成長した姿を見せて欲しい、とも。




ということで、充実した試合の数々をライブで見られました。
これが月額料金の範囲内ですから、本当に有り難い限り。
また、実況解説がついた上に、思いの外画質も良い。無いのは唯一、スローリプレイだけ。これは仕方ないですか。

ホールでの試合、タイトルマッチクラスの試合じゃないと無理なんでしょうが、今後も是非、ライブでお願いしたいものです。
やっぱり入ってて良かったBoxingRaise、という、いつも通りの結論が出ました。
と、明日もライブ配信ですね。これもありがたく視聴します。





コメント (2)
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