ということで一昨日ですが、スマホの画面ではありますが、フェニックスバトルのライブ配信を楽しく見ておりました。
やっぱりPC視聴への対応はならず。
昨年、それまで使っていたAndroidタブレットが壊れて、買い換えを考えていましたが、本来の用途に加えて、やっぱりせめて10インチ以上の画面で、この興行の配信を見たい、という気にもなり、近々何か買おうと思っています。
まあ、そんな話はどうでもええのですが、平岡アンディ、アオキクリスチャーノの奮戦に、やや苦しい中盤でしたが、10回、攻め込まれたと見えたところで左カウンター、一撃でのKO勝ち。
最後は強烈なイメージを残したものの、本人は心身ともに疲弊していて、笑顔はまったくなし。
インタビューでも喜びの声はなく、ひたすら反省の言。それを聞き終えて配信を切ったので、報道を見るのみですが、脱水症状が出て、自力で控え室に帰れなかった、とのことです。
アオキが担架で退場したので、そちらを心配していたら、平岡の方も大変だった模様。
アオキの奮闘ぶりは確かに感動的でさえありましたが、平岡の足捌きとパンチの精度は、それをもっと無力化出来るはずでした。
しかし防御は良いとして、攻撃面で単調な上に、どうも多彩さも厚みも足りない印象で、それが6回以降、外す動きも落ち加減。
当然アオキに攻められて、10回、一撃精算、という強烈なエンディング直前までは、さらに劣勢の色が濃く...という展開になりかけていたところでした。
試合翌日の様子ですが、相手の頑張りとは別に、本人の体調にも問題があったのでしょう。
これはもう、ウェルター級転向待ったなし、というところではないでしょうか。
日本のボクシング界から、ミドル級以下でいまだ世界王者が出ていない唯一のクラス、ウェルター級については、古くからのファンほど、憧れつつ怖れる対象だったりします。
辻本章次、龍反町、尾崎富士雄(二度)といった名選手が世界タイトル挑戦で敗れ、高橋美徳や亀田昭雄、吉野弘幸は、国内ではそれまでウェルター級で活動していたものの、世界はジュニアウェルター(=スーパーライト)で挑戦、という選択をしています。
今は小原佳太が第一人者ですが、世界タイトル「挑戦権」のところで、その厚い壁に撥ね返されています。
平岡アンディというボクサーの素質は、非常に秀でたものがあると思います。
この先、順調に強くなり、WBOルートでランキングが上昇すれば、そのうちトップランク興行の枠内で、世界ランキング上位の選手と対戦し、そこで勝てれば...選手層の厚いスーパーライト級でも、世界挑戦の機会を掴めるか、という期待を持てるボクサーです。
しかし、ことウェルター級となると、世界タイトルの価値がさらに一段上がり、いわば挑む段階で、ランク上位であるという事実のみならず、ひとかどの「スター候補」としての評価を得ていないと難しい。それは事実だと思います。
その辺も当然、陣営としては考えているのでしょう。
今回の試合のようなことが起こる前から、平岡アンディは華奢なところのある不安定な若手ボクサーから、もう階級のレベルを超えた、引き締まった体格を持つ、安定感抜群のチャンピオンになりましたが、同時に、これは相当減量が...というのは、素人目にも明らかでした。
それでも階級を上げる、とは簡単に言えなかったのでしょう。
しかし、今回、幸いにも試合に負けずに済んだとはいえ、起こった事態は深刻です。
悪くすれば選手生命に関わったかもしれない状況になった以上、今後はウェルター級に転じて闘う「べき」でしょう。
階級の情勢が、世界挑戦の可能性が、段違いに厳しいものになるのは事実ですが、さりとて選手のコンディションを後回しにして、階級を選ぶなど、もはや昭和の世界です。
そして、今は小原佳太がそうであるように、或いは過去の名選手たちがそうであったように、結果どうあれ何より先に、日本未踏の最高峰であるウェルター級の世界に挑む平岡アンディの姿は、それ自体が、敬意を持って応援する対象となるはずです。
まずは彼自身のベストパフォーマンスが、存分に発揮される姿を見たい、と思います。それが結果で言えば厳しいものになるのだとしても、優先されるべきものは何か、それを違えた道行きを選んでほしくはありません。
(さらに言うなら、無理をして何とかなるほど、スーパーライトという階級とて、甘いものではないはずですし)
そして何より、平岡アンディというボクサーの素質、可能性自体を信じたい、という気持ちでもあります。
元々、若手時代に何度か直に見て、素質は感じるが心身共に頼りないなあ、と見えた頃からすれば、今の姿は文字通り「見違える」レベルです。
それが今回、体調のせいもあって、危うく見える試合ぶりではありましたが、ベストの状態であれば、攻撃面の不足に課題は残れど、抜群の体格を持つサウスポーであり、足で外す防御を磨き、攻防とも世界上位に通じそうなセンスを発揮出来れば、将来的には、ウェルター級でも世界上位選手と伍して闘えるのではないか。
甘いかもしれませんが、そんな期待と信頼を向けたい対象、それが平岡アンディです。
今回の試合は色々大変でしたが、今はひとまず身体を休めて、今後の闘いに向けて、英気を養ってもらいたいですね。