さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

均衡を一撃で打ち崩す、世界一流の技巧 クロフォード、ブルックをTKO

2020-11-16 07:30:26 | 海外ボクシング




ということで、昨日はWOWOWオンデマンドを楽しく...と言えない部分もありましたが、見ておりました。
まずはメインから、簡単に感想。



当代随一、いや史上最高のスイッチヒッターと言われるテレンス・クロフォード、今回は右構えでスタート。
対する強打ケル・ブルックは鋭くパワフルなジャブで先制。

2回、ブルックが左リードをジャブ、フックと打ち分け右クロス。クロフォード左フック被せ。
ブルック目先変えて右アッパーで入る。ここでクロフォード、サウスポーにスイッチ。これ以降、ずっと左構えでした。


実況解説が言うとおり、なんで右構えでスタートしたのか、と思ったクロフォードですが...ブルックはコンパクトで強い右を持ち、打ってもなかなか前にのめらないので、左構えで立ったところに、その右をリードパンチとして多用されると面倒だ、と考えたのかもしれません。
しかし、右構え同士で左リードの応酬となっても、ブルックが強く、結局、左に変えます。
これは後から思えば、クロフォードなりにリスクを取った「勝負」の選択でした。


3回、クロフォードが右ジャブ、フック被せ、逆ワンツーなどを出すが、ブルックの右も再三、際どく飛び、クロフォードを脅かす。
正面からの攻撃でありながらこの調子だから、ブルックが「外」を取れるようになったら...と思っていた4回、早々でした。

ブルックの右に合わせた、クロフォードのフック気味の右カウンター。
スナップで合わせただけのパンチながら、ブルックが力を込めて打つ瞬間を、完璧に捉えた一撃。
ブルックがロープ際によろめき、レフェリー、ロープが無ければダウンと見て、そう裁定。
再開しましたが、ブルック、ダメージ甚大で反撃出来ず、クロフォードが少し打ち込んだところでストップ。TKOでした。


クロフォード、最後の右カウンターには、ちょっと痺れました。
ブルックのような強打者相手の試合で、それもまだ序盤から中盤へ、という段階で、展開も有利だったわけでもない、均衡した状況。
それをたった一発、それも力で、強打で、ではなく、技のカウンター、一撃で打ち崩してしまう。
ブルックの強い右に、リスクもあるタイミングで狙った、と見えたカウンターですが、同時に極めて力の抜けた「合わせ」の技、その凄みがギラリと光った一撃でした。

それで試合を事実上決め、TKO勝ちですから、これはもうお見事、としか言いようがありません。
激戦階級ウェルターにおいて、技巧では世界一を謳われる、クロフォードの真骨頂を見た、という気がしました。



昨日、ちょこっと紹介した杉浦大介氏の記事にもあるとおり、クロフォードの、トップランクとの契約は、あと一年も残っていないらしく、もし延長がないのなら、その先はパッキャオやスペンスとの対戦を求めて...ということになるのかもしれません。
年齢的にも若くはなく、今日もスタートから少し苦戦気味だったクロフォードにとり、コロナ渦のことも含めて、あまり時間に余裕があるわけではないですから、ボブ・アラムとの誼がいかなるものであったとて、ここはひとつ、勝負どころかもしれません。
アラムやトップランクにとっては痛手でしょうが、さりとてこればかりは、どうしようもないとしか言えませんね。




セミファイナルはジョシュア・フランコvsアンドリュー・マロニーの再戦でしたが、もやもや、なんてものじゃない、納得感ゼロの試合になりました。

初回途中からフランコの右目周辺、上下とも腫れ上がる。
レフェリーは「偶然のバッディング」と言いましたが、え?頭なんか当たったかな、という印象。
結局、3回開始時にはフランコの右目が塞がっていて、レフェリーストップ。

しかし本部席?で映像を検証しても、レフェリーが裁定した「偶然のバッティング」はどこにも視認出来ず、マロニーのジャブが目に入ってから腫れだしたように見える。
しかし、その後も長々と時間をかけて映像をチェックし、話し合い、電話連絡みたいなことをぐずぐずと繰り返した挙げ句、出た裁定が「偶然のバッティング」により、とアナウンスした上で、負傷ドローではなく、無判定試合、というもの。


強打じゃなくても、ジャブの「芯」が目に入れば、周りが派手に腫れることはありますし、普通にマロニーのTKO勝ちだと思ったのですが。
それ以前に、誰にも見えていないバッティングにより、という裁定は、もはやオカルトの世界ですけども。
本当に、どういう理屈であんな裁定が出たものか、さっぱりわかりませんでした。
結果としてマロニー兄弟には、試練の11月になってしまいました。残念です。



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ということで、一曲。
KAI FIVE ”November Rain“ です。









コメント (2)
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