さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

加治木了太と坂晃典、一部二部で逆転KO競演 興行ラッシュの週末は激闘の連続(動画追加)

2015-04-04 23:35:52 | 関西ボクシング



ということで今日は天満橋のエルおおさかという会場で、一部二部興行を両方観戦してきました。
こういうことはたぶん今までやったことがないと思うんですが(あったかな?)、
双方の興行に「これは見ておきたい」カードがあり、見たい若手選手もいたもので、これも修行(?)やと思って、見てきました。

結果、見所たくさん、というのを通り越した、劇的な試合に出くわし、非常に満足しております。
というか、これは見てない人、損しましたねー、と言いたくなるような気分です(^^)
そういうことで、ざっと観戦記です。

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一部は大鵬ジム主催興行。メインは日本スーパーフェザー級13位の加治木了太。
対するは元フェザー級ランカーの西岡斗輝矢、明石ジム。58.5キロ契約。

初回、加治木じりじり出て、重い右を叩く。西岡はフェザーの頃、やや華奢な印象だったのが、上の体重での試合で
意外に小さくは見えない。むしろ安定して、好調そう。左フックを一発ヒット。速い。

ラウンド中盤、打ち合いの後、西岡のワンツー、右が加治木をクリーンヒット、加治木ダウン。
加治木立ったが、けっこうダメージあるか、西岡が攻め込む。ロープ際で連打。
しかし正面から同じリズムで打ち続け、空回り。加治木が右当てて押し返す。

2回、打ち合い、加治木左フック。西岡右。スリリングな攻防。共に攻めるとはっきり防御が空くせいでもあるが。
しかし馬力にまさる加治木が打ち勝ち、右ショートで西岡がロープ際に飛ばされ、横倒しにダウン。
立った西岡だが加治木が右から左フックを決め、痛烈なダウン。レフェリー、カウント途中でストップ宣告。
西岡しばらく立てず、一時は担架が出るほど。のち、地力で立ちましたが。

加治木は試合後「(西岡は)巧かったです。良い勉強をさせてもらいました」と語っていました。
今日もメインイベンターとしての務めをしっかり果たした加治木、地力があってパンチがあって、
本人は不本意かもですが、スリルも提供してくれる貴重なランカーです。
希望通りに、金子大樹戦以来の、タイトル挑戦が実現してほしいものです。


セミファイナルは西脇一歩(大鵬)と岡島広和(ロマンサ雅)の8回戦。
西脇がジャブで岡島を止められず、懐に入れてしまうが、そこでアッパーが決まらず、クリンチの繰り返し。
西脇がヒットの差で3-0の判定を手にしましたが、いずれも小差で、苦戦でした。
もっと厳しく自分の距離を維持してほしいですし、インファイトがあまりに不得手なのも問題です。
ちょっと停滞感のある試合ぶりでした。



そろそろ、前座で新人王予選が見られる季節になってきました。
一部興行のお目当てはスーパーフライ級、風間ジムの平野拳生。
以前一度試合を見たとき、シャープな左の連打、足捌きなどに目を引かれ、また見たいなと思っていた選手です。
ここまで3戦3勝(1KO)、今日が4戦目。相手は渥美ジムの原和美、1戦1分、今日が2戦目。
新人王戦出場規定が改訂された関係か、こういう戦績の差があるカードが増えている印象です。

平野は初回から打ち込みにかかる闘い方。左ダブル、トリプルを交えて連打で攻める。
しかし前に見たときの、適切な足捌きが少し減って、攻撃に比重が掛かっている印象で、単発ながら反撃も受ける。

2回、その辺を気にしたか、コーナーから「動け」「遊べ」という声が再三飛ぶ。
それでもまだ、打ち気が勝つ感じだったが、徐々に足を使い出し、連打がヒット、右が効いて相手が少し止まる。
3回、右フックから内、外にアッパー、攻め立てたところでレフェリーストップ、という流れでした。


オープン戦3勝を経ての新人王予選に挑んだ平野、おそらく115ポンド級西軍代表の有力候補だと思います。
攻撃力は前よりも増している印象でした。
しかし序盤、ちょっと雑な試合運びが気になったのも確かです。
攻防のバランスに留意して、冷静に捌いてから連打を内外、上下に打ち分けるスタイルを磨いてほしいところです。

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二部は大阪帝拳主催。
本日の白眉はこの二部セミ、京口竜人(大阪帝拳)vs坂晃典(仲里)でした。

新人王時代、辰吉2世と言われる強打と、一瞬の閃き、切れ味で名を売った京口。
その後不調な試合も見ましたが、最近は復調してきて、良い内容の試合をしているとのこと。
対する坂晃典は、闘志とタフネス、しっかり重心を落としてショートを打てる、クラシカルなファイター。

これはなかなかの好カード、と思って見に行ったわけですが、実際には「なかなか」どころではない、
大変な試合となりました。


初回、共にジャブを突き、前に。熾烈な「陣地」の取り合い。
「お前が下がれ」「嫌だ、お前が下がれ」という声が聞こえてくるかのよう。
この攻防、多彩さで京口がまさる。左ボディ、右アッパーを交えると、徐々に坂が京口を軸に回り始める。
坂は右クロスを外から、ショートを内に狙う。

この攻防のさなか、京口の右ストレートが見事に決まり、坂がダウン。
立ち上がった坂に京口追撃、右から左を決めるが、坂が粘り、打ち返し、クリンチ。
京口攻め立てるが少し大振り。京口のラウンド、10-8。坂カット、パンチによる。

2回、京口ボディ攻撃から右ヒット。左フックも。坂は耐えてボディで反撃。左右、共に決まる。
スピードとセンス、切れで京口、タフネスで坂という対比が鮮やかに見え始める。

京口、右のカウンターを決める。強烈に見えた一撃だが、坂右クロス返す。もつれて京口スリップダウン。
少し疲れか、ダメージか、ハイペースで攻める京口に不安の影。坂ワンツーで追う。坂が挽回したか。

3回、またジャブの応酬から打ち合い、坂が体力に任せ前に、京口がカウンターする展開。
京口がまた右をクリーンヒット、と見えた直後、坂の右クロスが、京口のアゴに、まともに入る。
京口膝から崩れダウン。
立ち上がるが、坂が猛攻、右が2発、3発と立て続けに決まり、京口が倒れると同時に、レフェリーが試合を止めました。

あまりに劇的な逆転TKOでした。一部の加治木も相当なものでしたが、これはもう、往年の高橋ナオトの試合もかくや、
というと大げさかも知れませんが、そんな名前を想起させられるような、短くも激しい、壮絶な試合でした。

どの試合でも、燃えたぎる闘志を十全に表現し、観客にその熱を確かに伝える、本物のファイター、坂晃典。
時に脆さを見せつつ、抜群の素質と切れ味を発揮する、蠱惑的な魅力の持ち主、京口竜人。
今日の試合は、そんな二人の若手が、その魅力を存分に発揮した一戦でした。

勝ち負けを抜きに、なんて、簡単に言えないことは承知ですが、傍目に見ているファンの勝手として、
それでも今はただ、勝った坂、敗れた京口の両者を称え、拍手を送りたい気分です。
ボクシングが持つ、ある種類の魅力を、端的に見せてくれた、見事な闘いぶりだったと思います。



で、この後のメインは関西軽量級の実力者、こちらも熱い試合でお馴染み、李明浩の試合。
相手はダウット・マノップカーンチャーン、という、か細いタイ人でした。

李がリズムを刻み、丁寧にジャブを突き、アッパーからボディを叩くと、初回早々ダウン。
二度目は攻められて、下向いてしまい自ら沈む。でも立つ。
2回、少し打ち返したが、李がボディから上に右。三度目のダウンでKO。

最近、こういうあからさまなの、珍しいんやけどなぁ、という感じのタイ人でした。
どこも不景気で、飛行機代も高いから、タイ人より日本人対決が増えている、というのがここ数年の
良い(?)傾向かなと勝手に思っていたんですが...何か、懐かしささえ覚える、哀愁漂う負け方で、
さっきの試合とえらい違いやなぁ、これホンマに同じスポーツかいな...という感じ。
李も、試合後のインタビューで、ちょっと困った様子でした。どないもこないも、ですね。


セミセミでは見高文太(大阪帝拳)と河村真吾(堺東ミツキ)の、13年全日本新人王対決。
ただ、残念ながら噛み合わず、バッティングで見高が負傷、3回で続行不可能、ドローでした。


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そんなことでこの週末、興行ラッシュの大阪ですが、明日はまた府立地下で一部二部があり、
加えて住吉でも六島ジム主催興行があります。なんともかとも。

私は明日、昼間は見に行けないのですが、夜(というか、夕方)の部には行けそうです。
メインがOPBFバンタム級戦で、前座にも注目選手がいるので、何とか見に行きたいと思っています。
中谷正義の試合も観たいですが、まあこれは後日、スカイAで見てから、何か書くということで...。


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京口vs坂、動画ありましたので紹介させていただきます。









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