さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

右リードで勝り、それを失って勝ちきれず 細川王座奪回ならず、野中ドロー防衛

2015-04-20 00:07:26 | 関西ボクシング



本日は住吉区民センターにて、野中佑樹vs細川貴之戦を見てきました。


試合は序盤、細川が低い姿勢から右リードを突き上げて先制。
この、最短距離を通る正確な右ジャブは、当然一打必倒の威力はないが、相手のペースを確実に乱す効果があり、
ボクサー細川の最大の武器です。

この右を抑えたかったのであろう野中は、開始早々から細川の右肩越しに、左を数回叩きましたが、
細川がその後も右を止めず、その狙いが果たせなかった感じでした。

序盤は踏み込んでの左が決まらず、どうにもやりにくそうな野中に、細川が少しずつヒットを奪い、
際どいながらもポイントを拾っていく流れ。
細川の右、ボディを打たれ、反撃はクリンチで切られ、野中はいつもなら良いはずの序盤、失点を重ねました。


後半、少しずつ細川も疲れ、7回あたりからは野中が徐々に攻勢。攻め手が増え、左も照準が合い始める。
8回からは左ボディも当たり、細川は疲れとダメージを抱え、あの嫌らしい右リードが激減。
対する野中は力みが消え、こつこつ手を出しては当てていく。右フックで飛び込み、左は下。
左をヒットしてロープやコーナーに細川を追い、攻勢。
最終回までこの流れで、野中は挽回、細川は前半の貯金を失いました。

私の採点は96-95、野中逆転かと見ましたが微妙。判定は三者三様のドローでした。

細川は序盤リードした右のヒットを、終盤は完全に失い、挽回を許しました。
終盤に体力を失い、相手を封殺する展開を手放したことは、これまでの試合でも見られた彼の課題でした。
いつもは序盤スパートする逃げ切り型の野中を、立ち上がり抑えていたのに勝ちきれなかった痛恨は、
彼の今後をどう変えるのでしょう。



試合後は共に、再戦して決着を、と訴え、表だって健闘を称え合うことはしなかった両者ですが、
関西拠点の重量級サウスポー同士、ここまで対戦はなくとも、スパーリングの機会は多かったのだそうです。

そのせいか、試合前からちょっとした舌戦が繰り広げられているのを見ても、険しい感じは特になし。
さりとて「知った仲だからやりにくい」という甘い感じもなく、プロ同士の宿命に殉じるボクサーの
純然たる姿だけが見えるように、試合前から思っていましたが、その印象は試合後も変わらず、でした。

派手な展開は無かった試合ですが、それなりに味わい深い一戦でした。
再戦があるのだとしたら、両者にとり、いよいよ重大な闘いになることでしょう。


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諸事情により一試合少なかった前座は、向井寛文vs富山浩之介戦がセミ。
55キロ契約というウェイトに驚きましたが、両者良い動きで、好調。
しかし展開は向井の好スタート、左ストレートが速く、良い角度でビシビシ決まる。
ウェイトを上げて好調だった向井に、終盤は富山が半ば捨て身の攻勢をかけるが挽回ならず。
向井のクリアな勝利でした。

元々、少ない試合数で強い相手に当てられてばかりで、苦闘のイメージが残る向井ですが、
日本ランカーの上位クラスでなら、その強さは充分、秀でたものがあり、じっくりキャリアを積んで
上を目指していれば、こういう試合を経て自信もつけただろうに、と思わせる試合でした。
最適階級がどこか、という問題はありましょうが、上々の勝利でした。



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