さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

突き放し、撥ね付け、圧倒した 大器・大森将平 14戦全勝で日本王者に

2015-04-14 05:29:51 | 関西ボクシング


そういうことで、今年最初の平日弾丸観戦ツアーを敢行しました。
ホール以外、どこに寄るでも観光するでもなく、ただ半日空けて試合見て、翌日早朝にトンボ返り。
普通の頭で考えたら、何と物好きな、と言われて当然ですが、まあ良いのです。
ことに今回のような、衝撃的な王座奪取劇を見られた場合には。



試合については、大森将平の強さが、あらゆる局面で王者、益田健太郎の健闘をも上回った、という内容でした。
大まかな展開については速報したとおりですが、初回から大森の正確な攻撃と懐深い防御が、
王者である益田を圧倒していました。


益田は岩佐亮祐戦の完敗を経て、ボクシングの奥深さを知り、その後、改めてボクサーとしての自分を
根本から再構築し、王座に就いた選手です。
左リードを多用して、そのリードを軸に攻め、それを根拠に外し、守り、という選択が出来る。
攻撃的ながら丁寧な、理屈の見えるボクシングであり、なおかつ従来からの身体の強さが生かされている。
昨年の富山浩之介戦の快勝は、日本王者としての益田の価値を高める、見事なものでした。


しかし大森は、その左リードを結果として抑え、ほぼ無力化しました。
hiroさんの見解によると、益田は左リードを封じられて大振りになってしまった、とのことですが、
おそらく岩佐戦を経験する前の益田もそうだったのでしょう。

懐深い大森が、柔軟に身体を揺すりながら前進し、突き放すパンチで距離を創出する展開を
益田が打開しようとする。だが肝心の左は大森のロングのパンチを封じる作業に忙殺されて出せない。
これが右リードや左ストレートだけならまだしも、時にアッパーが遠くから来て、それにも対処せねばならず。

益田はそれでも果敢に攻めて出ましたが奏功せず、初回から大森のコンビネーションに捉えられ、ダウン。
かなりダメージを受けたせいか、二度目のダウンはロープ際から無理に振った右を外され、
右フックのカウンターをまともに打たれたものでした。

初回終了間際、TKO宣告かとさえ思えた微妙なタイミングでレフェリーが割って入りましたが、
益田の窮地は続き、それでも果敢に打って、ガードを絞って凌いで、と粘ったものの、
ダメージが尾を引いていて、3回に左をヒットされたところで、今度は本当にTKOとなりました。


率直に言って、こういう内容と結果を期待してはいましたが、
実際その通りになるほど甘くはない、とも思っていました。
大森の大器ぶりには、改めて感心させられた次第です。

そして、体格とスピード、センスに恵まれている選手が、それにかまけてキャリア早々から
雑な手抜きを覚え、受け身のボクシングを身につけてしまう例もありますが、
大森は労を厭わず、丁寧で能動的なボクシングを終始貫いて、
王者益田を突き放し、撥ね付け、圧倒しました。

彼の素質の輝き以上に、その厳しさ、確かさこそが、これからの彼を護り、救い、強くする。
そう確信させてくれた闘いぶりが、見ていてとても嬉しく思えました。

ちょっと偉そうですが、今の心がけを忘れず、ますますの精進と、その先の大成を期待します。



敗れた益田健太郎についても、改めて。

従来の空手風?スイッチ多用の変則から、スタイルを作り替えて日本の頂点に立ち、
好試合を見せてきた益田は、今回また厳しい結果に直面しました。
今はその現実の前に、誰もが沈黙せねばならない時かも知れません。

しかし、窮地にあってなお、懸命に粘り、何事かを起こして局面を変えよう、打開しようとして
ガードを絞って凌ぎ、足がついてこなくとも、打てる限りのパンチを打ち、また動き...

もちろん王者として、ボクサーとして、彼は当然のこととして、懸命に闘っていた。
ただそれだけのことに過ぎないのでしょう。

それでもなお、その姿は、大森の勝利を期待する私にとっても、
王者として、仰ぎ見るべき存在であると感じさせられるものでした。

そして、大森将平にとり、この王者と闘えたことは幸福であり、光栄、ですらあったのではないか、と。
大森の王座奪取を価値あるものとしたものは、この王者が相手だったからこそなのだと。


優勝劣敗の掟のもと、また勝者と敗者の光と影が、鮮やかに切り分けられたのち、
そのような思いも抱く、そんな、素晴らしい試合を見ることが出来ました。



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そういうことで、この試合でおなかいっぱいになってしまい、小原佳太の試合は、
相手のこともよく知らないし、という、極めていい加減な感じで見ていたんですが、
広島から来た挑戦者、岡崎祐也という選手の大健闘に目を見張らされました。

結果は6回、打たれてダメージを負ったかに見えた小原が、その直後に意地の?猛攻を見せ
岡崎を10発以上の連打で打ちまくって、逆転?TKO勝ちを収めたわけですが、
それまで劣勢かと思えば、身体ごとぶつけるような反撃で場内を湧かせた岡崎の健闘に、
場内からは大きな拍手が送られました。私も当然、参加しました(^^)


小原は試合後、余裕を失っていたわけではない、という発言をしていたそうですが、
見ていて、ほんまかいな...という気もしました。
ウェルター転級の話はなくなって、スーパーライトに留まるような話ですが、
そろそろ荒川、亀海、チャーリーらのような、一定の枠を超えた「挑戦」に踏み切る時期でしょう。
色々難しいところもあるでしょうが、なんとか、前向きな展開になってほしいものですね。


コメント (5)
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